製紙業界の動向や現状、ランキングなど

製紙工場の様子

製紙業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。製紙業界の過去の業界規模の推移をはじめ、紙生産量の推移グラフ、近年急増している段ボール需要の動向、各社の新素材の取り組みなども解説しています。

製紙業界(2022-2023年)

製紙業界の推移と基本情報

業界規模

5.9兆円

成長率

4.7

利益率

3.3

平均年収

595万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

製紙業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年には下落となりましたが、2022年には増加に転じています。

製紙業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年も「段ボール」需要継続 衛生用品の需要も堅調

下のグラフは、国内の紙・板紙の生産量の推移を示したものです。

紙・板紙の国内生産量の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

2022年の紙・板紙の国内生産量は前年比1.2%増の2,366万トンでした。内訳を見てみると、「紙」は前年比3.5%減の1,127万トン、「板紙」は1.1%増の1,238万トンとなり、紙が減少、板紙は微増となりました。2020年には「紙」と「板紙」の生産量が逆転しています。

製紙業界が生産する紙は、主に「紙」と「板紙」に大別されています。「紙」は新聞、雑誌、書籍向けの印刷・情報用紙や包装用紙、ティッシュやトイレットペーパーなどの衛生用品に使用されます。「板紙」は主に段ボールに利用される原紙となります。

近年の製紙業界の動向を見ますと、デジタル化の進行によって新聞や雑誌・書籍、チラシなど需要が低迷。それに伴い「印刷・情報用紙」の需要も減少傾向にあります。一方、ネット通販の拡大により、段ボール需要は堅調に推移、加えてティッシュやペーパータオルなどの衛生用紙も底堅い伸びを見せています。

国内の紙需要は一部カテゴリーにおいては堅調さを見せるものの、市場全体では縮小傾向にあり、今後もデジタル化によるペーパーレス化が進むと予想されています。ただし、ネット通販は今後も緩やかに増加することが想定されており、段ボールの材料となる板紙の需要は堅調に推移すると思われます。

また、製紙業界の追い風となるのが『脱プラスチック』の動きによる需要の増加です。海を汚染する海洋プラスチックゴミは世界規模で問題とされており、ストローやペットボトルといった使い捨てプラスチック製品から、紙製品に切り替える動きが高まっています。こうした動向により、製紙業界ではプラスチック代替製品としての紙の需要拡大が期待されています。

製紙業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 王子HD 17,066
2 日本製紙 11,526
3 レンゴー 8,460
4 大王製紙 6,462
5 北越コーポレーション 3,012

2022-2023年の製紙業界の売上高ランキングを見ますと、首位が王子HD、日本製紙、レンゴー、大王製紙と続きます。

2022-2023年は、大手製紙メーカー5社中5社が増収を記録しており、昨年から業界規模は拡大しています。

「段ボール強化」相次ぐ 新素材「CNF」の汎用性にも注力

段ボールの製造工程

ペーパーレス化や人口減少などの影響により、国内の紙需要は減少傾向にあります。一方で、国内、海外ともに段ボール原紙の需要は伸びていることから、大手製紙各社は生産体制を見直し、「用紙」から「段ボール原紙」にシフトしています。

業界首位の王子HDは、千葉県に国内最大級の段ボール工場を建設。三菱製紙との業務提携も発表しています。海外では中国に工場を設立し、マレーシアの「GSペーパー&パッキング」を買収するなど、あらたな市場の開拓を行ってきました。マレーシアやベトナム、インド、インドネシアなどの東南アジアで、段ボール原資工場の増設や新設を行い海外事業の拡大を図っています。

業界2位の日本製紙も同様に段ボール原紙に注力。特種東海製紙と段ボール原紙事業で統合しました。海外展開では、豪州のオーストラリアンペーパーを買収し、19年には豪州の包装メーカーであるオーロラリミテッドからは段ボールとパッケージ事業を買収。また、マレーシアで軟包材加工事業を買収しアジアのパッケージ市場へ参入します。

板紙専業で首位のレンゴーも段ボール事業の拡大を図り、三和段ボールや段ボールケースメーカー2社を子会社化しました。海外事業では2019年にメキシコとトルコに新会社を設立、20年1月にはフィリピンで段ボール原紙事業の参入を発表しました。

北越コーポレーションも段ボール原紙事業へ進出。約20億円を投じて新潟に工場を設立し20年4月より生産を開始。2015年にはカナダ最大規模のパルプ会社を買収、海外事業の拡大を図っています。家庭紙で首位の大王製紙は17年に日清紡HDから家庭用紙事業を買収。海外事業では、2020年にトルコとブラジルの衛生用品メーカーを買収し、中国をはじめとするアジア地域の展開を強化しています。

段ボールに注力する各社ですが、近年では新素材の「セルロースファイバー(CNF)」の開発にも注目が集まっています。セルロースナノファイバーは、木質繊維(パルプ)をナノレベルまで細かくして生じる最先端のバイオマス素材です。

CNFは透明で軽く、高い増粘効果も有しており、食品や化粧品、おむつ、自動車分野などで採用されています。今後も幅広い分野での活用が期待されており、大きな潮流を生み出す可能性があります。

製紙業界 ランキング&シェア

製紙業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで製紙市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

製紙業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 王子HD 17,066
2 日本製紙 11,526
3 レンゴー 8,460
4 大王製紙 6,462
5 北越コーポレーション 3,012
6 リンテック 2,846
7 トーモク 2,128
8 三菱製紙 2,095
9 中越パルプ工業 1,056
10 ザ・パック 890

※シェアとは製紙業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで製紙市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ製紙業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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製紙業界 対象企業一覧

王子HD、日本製紙、レンゴー、大王製紙、北越コーポレーション、リンテック、トーモク、三菱製紙、中越パルプ工業、ザ・パック、特種東海製紙、ダイナパック、朝日印刷、巴川製紙所、スーパーバッグ、昭和パックス、大石産業、イムラ、ニッポン高度紙工業、阿波製紙、古林紙工、イチカワ、ハビックス、光ビジネスフォーム、中央紙器工業、岡山製紙、日本フエルト、大村紙業の計28社

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