ペット業界の業界地図や現状と動向、課題や今後の見通しなどをご紹介します。ペット業界の構造から現状や課題、将来の見通しなど全体を一通り学べるように解説しています。
ペット業界の業界地図と最近の現状や動向について解説していきます。
ペット業界は、犬と猫がシェアの大半を占め、犬猫の合計は全国でおよそ1,800万頭とされています。そのため、ペット関連に関わっている会社の大半が、犬や猫を対象とした商品やサービスとなっています。
上の図はペット業界の業界地図です。ペット業界は主に、「ペットフード」、「ペット用品」、「ペットショップ」、「ペット保険」、「ペットショップ」、「病院」、「卸・商社」の市場に分けられます。なかでも、「ペットフード」や「ペット用品」の市場が厚く、大手企業が多く参入している領域でもあります。
2020-2021年のペット業界の動向を分析しますと、増収を記録する企業が多く見られました。各社の業績から、2020年のペット業界は好調であったことが分かります。
2020-2021年は近年のペット人気に加え、新型コロナによる巣ごもりからペットを飼い始めた人が増えたことも業績に寄与しました。コロナ禍で外出制限が叫ばれる中、ペットとのふれあいに心が癒された方も多いのではないでしょうか。
2020年の新規飼育頭数は犬猫ともに増加し、過去5年で最多を記録しました。種別では、猫の飼育頭数が犬を上回っています。ペットの新規飼育数は近年増加傾向にあり、社会的なペット需要の高まりも見られます。
最近では、ペットを家族の一員として捉える人が多く、より質の高い商品やサービスを求める傾向が見られます。そのため、品質の高いペットフードやペット用品、サービスに需要が高まっています。
ペットの通院や手術などで受けた診療費を補償してくれる「ペット保険」市場も順調に伸びています。高額になりがちなペットの医療費をカバーすべく、保険に加入する人が増えています。しかしながら、ペット保険の普及率は12%と低く、今後さらなる市場の伸びが期待されます。実際に、2020年10月にはペット保険首位のアニコムHDが明治安田生命と提携するなど、市場拡大を見越した動きが見られました。
好調に業績を伸ばしているペット業界ですが、当然、課題や問題点もあります。ここでは近年、ペット業界が抱える課題や問題点の中から特に重要なポイントをピックアップします。
国内の犬猫の新規飼育頭数は増加していますが、総飼育頭数は微減傾向にあります。近年は、ペット用品の高単価化や巣ごもりによる需要の高まりから、総飼育数の減少を補うだけの市場の伸びが見られますが、全体のパイが縮小しているという点は軽視できません。
ペット業界の中で厚い市場は「フード」市場ですが、その規模は決して大きな市場ではありません。「ペットフード」と「ペット用品」を合わせても4,500億円ほどの規模で、業界全体としても1.5兆円ほどの市場規模です。業界全体の受け皿が小さいため、需給バランスが崩れれば市場は飽和状態になる可能性があります。
業界が持つ課題やリスクはありますが、今後ペット業界はしばらくは順調に推移する可能が高いと言えます。ペットの人気やニーズは根強く、中長期的なメガトレンドになる可能性もあるでしょう。
ペットを家族のように大切に育てる人が多いことからも、商品やサービスの高品質化、多様化が進むと見られます。ペットの高齢化が進んでいることから、ペット用おむつや保険、健康食品などの需要も高まるでしょう。
また、ペット関連のオンラインサービスも増えることが予想されます。実際に、ブリーダーや里親とのマッチングサイトや、ペットの健康状態をオンラインで専門家に質問できるサービスなどは増加傾向にあり、こうしたオンラインサービスは今後、さらに普及が進む可能性があります。
最近では、ペット向け腸内フローラの検査や遺伝性疾患の研究など先進的な研究も進んでいます。ペット業界はまだまだ成長期であり、発展の余地があります。今後、新たな商品やサービスが続々と登場してくることが予想されます。