暗号資産業界の動向と課題、今後の展望とは?

暗号資産を売買している様子

暗号資産業界について分かりやすく解説しています。暗号資産とは何か、暗号資産業界の現状や動向、課題、今後の見通しなどを体系的にまとめてあります。この記事を読むことで、暗号資産業界の全体の動きや流れを理解できるようになります。

暗号資産とは?

複数の暗号資産が散らばっている

まずは「暗号資産とは何か?」について簡単に解説します。暗号資産に関して理解されている方は、先に進んでいただいて構いません。

暗号資産とは何か? 仕組みを簡単にご紹介

暗号資産とは、実体がないデジタル通貨です。仮想通貨とも言われます。暗号資産はブロックチェーンの技術上で構築されています。中央管理者が不要で、みんなで運用し、どの国でも使えます。いわゆる、国際通貨のような役割もします。

暗号資産を入手する方法は色々ありますが、最も一般的なのは取引所で購入する方法です。購入後は「ウォレット」と呼ばれる専門の財布に入れて、管理をすることができます。暗号資産は取引所で購入する以外に、コインを送ったり受け取ったりすることもできます。

暗号資産業界の現状と動向

紙幣と暗号資産を好感している様子

暗号資産業界の現状や動向について解説していきます。暗号資産業界は米国での動きが先端的です。まずは米国での動向、続いて日本での取り組みを見ていきましょう。

米国では大手が続々と市場に参入

近年の暗号資産業界の動向を見ますと、米国を中心に大手企業の参入が見られます。2021年2月には米EV大手のテスラが15億ドル相当のビットコインを購入していることを発表。同年3月には、米ペイパルが約2,900万の加盟小売店で暗号資産の決済を導入することを発表しました。

さらに、2021年10月にはビットコイン先物に連動した上場投資信託(ETF)の取引が開始。通常の株と同様に、ETFを介してビットコインへ投資することが可能となりました。

従来は、一部の投資家による売買が主流の暗号資産市場でしたが、近年では大手企業の参入が相次いでいます。米国ではすでに暗号資産は個人、法人ともに身近なものとなっており、活況に沸いています。

ステーブルコインの時価総額は4.5倍に

暗号資産業界の中でも、近年特に注目を集めているのが、「ステーブルコイン」です。ステーブルコインとは、米ドルなど法定通貨を裏付けとする暗号資産です。価格が乱高下するビットコインと異なり、法定通貨の結びつきがあるため価格が安定しています。

2021年のステーブルコインの時価総額は、1年前の4.5倍にまで増加しており、既存の暗号資産を凌駕する存在となっています。ステーブルコインが急増した背景には、DeFi(分散型金融)が挙げられます。DeFiのDEX(分散型取引所)による暗号資産の交換の仕組みにステーブルコインが利用されていることから、高い利回りを狙った投資家たちの資金が流入しています。

日本では「DCJPY」が始動中

日本の暗号資産業界では、「DCJPY」に注目が集まっています。DCJPYはインターネットイニシアティブ傘下のディカーレットが中心となり、国内のメガバンクや商社、電力など74の企業・団体が参加しています。

DCJPYは日本円と連動する「ステーブルコイン」で、銀行の預金口座にもひもづきます。さらにDCJPYは「スマートコントラクト」の実装が予定されており、「付加領域」では参加する企業が独自にアプリやサービスが展開できるようになります。

暗号資産業界の課題と問題点

色々なデータを分析

暗号資産業界の課題や問題点をまとめました。暗号資産は発展途上の段階にあるため、課題や問題点が多いのが実情です。今後の暗号資産市場の発展は、こうした課題をいかに解決するかが重要なポイントとなります。

課題1. 一般ユーザーへの普及が進んでいない

暗号資産が抱える課題の一つに、一般ユーザーへの普及が進んでいない点が挙げられます。もっとも有名なビットコインについても、利用可能なコインの約95%を全口座の2%が保有しているというデータがあります。近年ではだいぶ普及は進んだものの、まだまだ一部の人たちの間でしか流通していないというのが実情です。

課題2. 価格が乱高下する

暗号資産はこれまで、急上昇・急落を繰り返してきました。とくに法定通貨の裏付けがないビットコインやイーサリアムなどがその傾向にあります。暗号資産はどちらかと言うと、値上がり益を期待して買われる投資(投機)の色合いが濃く、一部の大口保有者の動向に左右されやすい傾向にあります。価格の乱高下は、通貨としての安定性を欠き、一般ユーザーの利用を遠ざけてしまいます。

課題3. 各国の規制強化の可能性

暗号資産はどの国でも使える国際通貨で、国境を越えて自由にやり取りすることができます。しかし、国の規制が入ると話は別です。各国の暗号資産への規制が強化されれば、当然のことながらその国のルールに従わざるを得ません。実際に、2021年9月には中国国内における暗号資産関連事業の全面停止が発表されました。規制は国ごとによって異なり、今後どのように規制が強化されるかは分かりません。

課題4. 承認時間の長さ

処理時間の長さも暗号資産の課題の一つです。暗号資産の取引は、マイニングによって承認され、ブロックに書き込まれることではじめて成立します。マイニングは通常、10分ごとに行われますが、暗号資産の取引量が増えたことから、承認までの時間がかかりすぎるという問題が発生しています。手軽に取引できることが暗号資産の魅力ですが、承認に時間がかかっていては元も子もありません。近年では、こうした処理時間の短縮に向けた解決策が試行錯誤されています。

暗号資産業界の今後の展望

複数の人たちがデータを分析している様子

暗号資産業界は今後、どうなる?

2021年の暗号資産全体の時価総額は約250兆円で、2014年の1兆円と比較するとその伸びは250倍にものぼります。近年では、市場参加者も増え、米国を中心とした大手企業の参入も多く見られました。

暗号資産と言えば、以前は価格が乱高下する投機的なイメージでしたが、近年では、投資ポートフォリオの一部として暗号資産を組み込む人も増えてきました。実際に、一部では米国株や金などとの連動性も見られ、金融商品としての市民権を得つつあります。

一方で、通貨としての暗号資産の未来には疑問が残ります。以前に比べると価格の乱高下は収まりつつありますが、それでも通貨としてはボラティリティが高すぎます。暗号資産を通貨代わりに使えるお店も少なく、本格的な普及には至っていません。

2021年9月には、エルサルバドルで国家としてはじめてビットコインを法定通貨として認める動きがありました。しかしながら、エルサルバドルがビットコインを法定通貨にした後に、ビットコイン価格が暴落し、エルサルバドルの資産が大きく棄損しました。債務返済リスクが懸念されており、格付け会社の格付けはB-からCCCへと大きく引き下げられました。社会実験としては面白かったのですが、通貨としての脆弱性を露呈する結果となってしまいました。

暗号資産は今後、通貨としての普及は難しいのではないかと思われます。世界の基軸通貨であるドルが暗号資産の台頭を許すとは考えられません。ETFやメタバースなど限られた世界での取引に限定される可能性が高いと言えます。

一方で、金融資産としての暗号資産は今後も発展してゆくことが見込まれます。暗号資産市場にはいまや、投資ファンドや保険会社、年金基金、一般事業会社など大口のプレーヤーも参入してきました。従来の値上がり益を期待した取引に加え、DeFi(分散型金融)やレンディングなど新たな投資手法も誕生しています。従来の投資先に加えて暗号資産を組み込むプレーヤーも増えており、今後もこうした傾向は続くと予測されます。