eスポーツ業界の動向や課題、今後の見通しは?

複数の人たちの手

eスポーツ業界について、業界地図や現状と動向、課題や今後の見通しなどをご紹介します。eスポーツとはどのようなものなのか、構造から現状や課題、将来の見通しなど全体を一通り学べるように解説しています。

eスポーツ業界の業界地図と現状や動向

いくつものデータやグラフを分析する人

eスポーツ業界についての解説、業界地図や最近の現状や動向について解説していきます。

eスポーツとは:ネット上の対戦ゲームがスポーツ競技に

eスポーツとは、「エレトロニック・スポーツ(電子・競技)」の略で、ビデオ(テレビ)ゲームやコンピューターゲームを用い、ネット上で行う対戦ゲームを「スポーツ競技」と捉えたものです。

eスポーツのロゴとアイコンの画像

eスポーツの種目は、主に「格闘・戦闘・球技・トレーディングカード・パズル・シューティング」に加え、スマホアプリゲームなどがあります。家庭用ゲームと異なるのは、スタジアムなどの施設に観客を入れ、ネットやテレビで同時配信するなど、競技要素が強いのが特徴です。

海外ではeスポーツをスポーツ競技と見なす国が多く、賞金総額が100億円を超える大会もあります。とくに「米国、EU、韓国、中国」の4ヶ国ではeスポーツの普及が進んでいます

日本では『2018年をeスポーツ元年』と称しています。同年には日本eスポーツ連合「JeSU」が設立されたほか、インドネシアで開催された「第18回アジア競技大会」の公開競技では、日本の高校生が優勝し話題となりました。

業界地図:ゲーム企業のみならず、異業種も参入

eスポーツ業界は、ゲーム会社のほか通信企業など周辺の業界からも参入が相次いでおり、企業業種は多岐にわたります。主な収益源は協賛企業のスポンサー料で、その他、チケットやグッズ販売、放送権などの収入です。

eスポーツ業界の業界地図

上の図はeスポーツ業界の業界地図です。eスポーツ業界は主に「ゲームソフト企業」、「大会運営」、「動画配信」、「チーム運営」の市場に分けられます。大手ゲーム企業のみならず多くの異業種が参入しているのが特徴です。

動向1. オンライン大会が増加 巣ごもり需要が追い風

部屋でゲームをする男女

2020-2021年のeスポーツ業界の動向を分析します。「KADOKAWA Game Linkage」の公表によると、2020年のeスポーツの市場規模は前年比9.2%増の66億8千億円でした。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの大会が無観客開催や延期となり、チケット代やスポンサー料が減少しました。一方、巣ごもり需要を追い風に、オンラインの大会やイベントの開催、配信回数や視聴時間の増加、放送権の売買金額の上昇などが市場をけん引しました。

大会のオンライン化への移行に伴い、eスポーツファンの数も増加傾向にあります。また、2021年以降は徐々に会場での有観客開催が回復し、オンライン大会も頻繁に開催されています。

動向2. リーグブランドが発足、世界的なプレイヤーの育成へ

最近では、eスポーツを中学校や高校の部活や授業に取り入れる学校が増えています。また、高齢者施設でも健康増進や認知症予防を目的に、eスポーツを導入する施設が増加傾向にあります。

こうしたeスポーツ市場の高まりを受け、大手企業のポンサー参入が相次いでいます。トヨタ自動車やスバルなどの「自動車メーカー」や、日清やコカ・コーラといった「食品や飲料メーカー」、「通信企業」や「アパレル」など、年々スポンサー数が増加しています。

また、NTTドコモは世界的なプレイヤー輩出を目的に、国内eスポーツリーグブランド『X-MOMENT』を2021年1月に設立しました。

2022年4月には東京タワー内にeスポーツ施設『RED° TOKYO TOWER』が開業予定です。同施設は「東京eスポーツゲート」と大手企業が資本提携を結んでおり、2021年12月末時点で16社、約14億円が出資されるなど、市場拡大を見越した動きが見られています。

eスポーツ業界の課題と問題点

グラフやレポートを見る人々

好調に業績を伸ばしているeスポーツ業界ですが、当然、課題や問題点もあります。ここでは近年、eスポーツ業界が抱える課題や問題点の中から特に重要なポイントをピックアップします。

課題1. 日本のeスポーツ市場は世界に出遅れ

ソニーや任天堂など大手ゲーム企業を擁する日本は『ゲーム大国』とも呼ばれていますが、eスポーツにおいては世界に出遅れています。家庭用ゲームの普及や高額賞金が刑法に抵触する可能性など、文化の違いや法整備が要因でした。ここ数年はeスポーツ協会の設立や大手企業の協賛、実在のスポーツ団体の参加などで急速に浸透していますが、市場はまだまだ小さい状況です。

課題2. 世界の大会に比べて賞金額が低い

日本のeスポーツ大会の賞金金額は、世界に比べ低い傾向にあります。以前は法律の制限がありましたが、現在は一定の条件のもと高額賞金の提供が可能です。一方、国内では大口のスポンサー不足が指摘されています。2022年1月開催の『シャドウバース』の優勝金額は1億5千万円と日本開催のゲーム大会史上最高額となりました。一方、世界では優勝賞金のみで20億円にも上るなど、国内の賞金額の低さが課題となっています。

eスポーツ業界の今後の見通しについて

データ分析をする人たち

eスポーツ業界は今後、どうなる?

業界にはいくつかの課題はありますが、今後eスポーツ業界の市場規模は拡大することが予想されています。

KADOKAWA Game Linkage」によると、国内のeスポーツ市場は、2024年には180億円規模に拡大する見通しです。2020年から2024年までの国内市場の成長率は年平均29%と予測しており、前年の発表から3ポイントも上昇しています。

市場拡大の要因には、イベントやチーム、選手のスポンサーに世界や国内の大手企業が名乗りを挙げるほか、eスポーツファンの増加、オンラインやオフライン大会の定着、世界的な需要の拡大などが挙げらます。

また、2022年のアジア競技大会で正式種目となり、オリンピック種目への採用も期待されています。2021年6月には、IOC主催のeスポーツ大会「オリンピックバーチャルシリーズ」が開催されており、期待が高まっています。

経済産業省も市場規模の拡大や活性化を目指し「日本のeスポーツ発展に向けた報告書」を公開したほか、公正な大会を実現する基盤を整えるため、eスポーツの国際ルール策定に向け海外の動向調査を始めています。

eスポーツ市場の伸長に伴い、eスポーツ専門学校や宿泊施設、地方創生といった「周辺産業」への経済波及効果も期待されています。国内のeスポーツ業界はまだまだ成長期であり、発展の余地があります。今後もeスポーツ関連の新たなサービスや需要が増えることが予想されます。