ビール業界の課題と問題点とは?

ビールのイメージ

ビール業界が抱えている課題や問題点についてお話します。この記事では、今後のビール業界に大きな影響を与える課題や問題点はどのようなものなのか、3つをご紹介していきます。

ビール業界の課題と問題点【2021年】

2021年現在、ビール業界が抱えている課題は以下のとおりです。

ビール業界の課題1. 国内ビール市場の縮小

ビール市場の縮小を示す画像

ビール業界が抱えている課題の1つが、国内ビール市場の縮小です。国内ではビールの出荷量が年々減少しており、ビール市場は縮小傾向にあります。

国内のビール出荷量は、1990年代半ばをピークに減少に転じています。代わりにビールよりも価格の低い「発泡酒」に需要がシフトしていきました。2003年には低価格帯の新ジャンルと呼ばれる「第三のビール」が誕生したことで、「発泡酒」の需要も低下しています。

ビール市場は嗜好の多様化や若者のビール離れ、低価格志向や健康志向の高まりなどの影響を受けており、状況は厳しいものがあります。

市況の変化により、各社は風味の違いや機能性をアピールした低価格帯の「発泡酒」や「第三のビール」の開発に注力してきました。そうした中、酒税法の改正で2026年までに段階的にビールは減税、発泡酒と新ジャンルは増税されるため、各社は減税をきっかけにビールの需要喚起を期待しています。

しかし、国内では少子高齢化の進行により人口は減少傾向にあります。少子高齢化と人口減少下では、胃袋の数とサイズは小さくなるため、今後もさらなるビール市場の縮小が予想されます。

ビール業界の課題2. 外食需要の低下に伴う業務用ビールの販売減少

ビール業界の2つ目の課題が、外食需要の低下に伴い、飲食店向けの業務用ビールの販売が減少していることです。

消費者の節約意識の高まりから、自宅でお酒を飲む「家飲み』が増えており、飲食店でお酒を飲む機会が減っています。また、居酒屋で多くみられた、「とりあえずビール」の需要も減り、ハイボールやカクテル、ワインなど、ビール以外のアルコール飲料の注文が多く見られるようになりました。

近年は夏場の天候不順による影響で、ビアガーデンなど屋外イベントの需要も低迷しています。このような、外食需要の低下伴う業務用ビールの需要の落ち込みは、ビール業界にとって大きな痛手です。

また、新型コロナによる感染拡大の影響で、飲食店の休業や酒類の提供が規制されています。2021年開催のオリンピック会場でも酒類の販売が見送られたため、業務用ビールの販売不振に追い打ちをかける状態となっています。

ビール業界の課題3. 「RTD」や「ノンアルコール飲料」の需要増加

RTDのイメージ画像

ビール業界が抱えている課題の3つ目が、「RTD」や「ノンアルコール飲料」の需要増加です。ここ数年「RTD」や、ビールやチューハイ風味の「ノンアルコール飲料」を好む消費者が増加しています。

「RTD」とは、缶酎ハイのような水や炭酸水で割る手間がなく、ふたを開けたらそのまま飲めるアルコール飲料です。

『家飲み』では、手軽さと種類の豊富さから、缶酎ハイやカクテルなどの「RTD」を購入する消費者が増えています。特に近年はレモンフレーバーブームで、「RTD」は販売数量を伸ばし、家庭でのビール消費量は減少傾向にあります。

今現在、新型コロナの影響から『家飲み』需要は増加しています。こうしたことから、各社は家庭用ビールの販売を強化しています。また、キリンでは家庭用生ビールサーバー『ホームタップ』を本格的に展開し始めています。

一方、増税やコロナ禍の影響による消費者の節約意識も高まっており、買い控えが懸念されています。