百貨店業界が抱えている課題についてお話します。この記事では、2021年現在、百貨店業界に大きな影響を与える課題の中から、重要な3つをご紹介してきます。
2021年現在、百貨店業界が抱えている課題は以下のとおりです。
百貨店業界が抱えている課題の1つが、少子高齢化による百貨店市場の縮小です。国内では、少子高齢化の影響で人口は減少に向かっています。
百貨店を支えてきた団塊の世代も高齢化が進み、百貨店の利用頻度や消費額が減少しています。また、若い世代は少子化に加え、百貨店離れも進むなど、市場は縮小傾向にあります。
とくに、地方では人口減少とともに老齢化が進み、経済も低迷していることから消費意欲が減退しています。そのため、地方を中心に百貨店の閉店が相次いでいます。一方、ある程度の人口を維持している都市部や首都圏の百貨店でも、期待のインバウンド需要をコロナ禍で失っており、百貨店全体で苦戦を強いられています。
百貨店業界が抱えている課題の2つ目が、ショッピングセンターやネット通販の台頭です。
近年、ショッピングセンターやネット通販、フリマアプリなどの台頭が目立ちます。多様な販売チャネルが存在したことで、消費者の買物の場が百貨店から他の小売へとシフトしています。
百貨店は、主に富裕層や中高年層をメインに商品を揃えており、消費の主役である若い世代やファミリー層は、百貨店から足が遠のいています。一方、ショッピングセンターは、幅広い層がターゲットのため、品揃えが豊富なショッピングセンターへと、消費者が流れています。
また、百貨店はリアル店舗での”丁寧な接客”を強みにしてきました。他の小売企業と差別化を図るためでしたが、ネット通販の出遅れの要因となっています。百貨店のネット通販利用率は増加傾向にあるものの、全体売上の約1%未満と、需要が上手く取り込めていないのが現状です。
百貨店業界の3つ目の課題が、『モノ消費』から『コト消費』へとシフトしていることです。
近年、消費者の購買行動が変化しています。市場が成熟し消費者のニーズは『モノ消費』から『コト消費』へとシフトしており、年々その傾向は強まっています。
商品を買って満足する時代から、体験や経験など、目に見えないことに価値を感じるようになり、モノが売れない時代になっています。この変化は、商品販売がメインの百貨店にとっては逆風です。
百貨店各社は『コト消費』関連の商品を揃え、売り場の一部をエステやアウトドアなどの体験型に改装し、国内外の需要の取り込みを図ってきました。『コト消費』を通して来店を促していますが、同業他社とコンセプトが似通っており、顧客の奪い合いに陥っています。