トイレタリー業界が抱えている課題や問題点についてお話します。この記事では、今後のトイレタリー業界に大きな影響を与える課題や問題点にはどのようなことがあるのか、重要な3つをご紹介していきます。
2021年現在、トイレタリー業界が抱えている課題は以下のとおりです。
トイレタリー業界の1つ目の課題が、「少子高齢化・人口減少」に伴う市場の縮小です。
国内では少子高齢化の進行により、人口は減少傾向にあります。人口減少下では日用品の消費は減り販売数も減少するため、市場の縮小につながります。このように、少子高齢化はトイレタリー業界にとって大きな課題です。
近年のトイレタリー市場は飽和状態でしたが、2020年の業績は新型コロナの影響で一部の商材は需要が旺盛でした。「紙おむつ」「衣類用洗剤」はインバウンド需要の消滅や外出自粛の影響で落ち込む一方、感染防止や在宅需要により「マスク・アルコール除菌剤」「トイレットペーパー」「殺虫剤」などは好調でした。
ただ、このような需要は『コロナ特需』として、一時的なものと捉えられています。すでに、規制緩和とともに、巣ごもり需要に一服感が見られています。
国内市場は少子高齢化や人口減少が進み、市場のパイは縮小しており、将来的にトイレタリー市場のさらなる縮小が懸念されています。こうした状況は避けられないとして、トイレタリー業界では国内の人口減少に対応した新しいビジネスモデルの構築や、新たな販路の拡大が求められています。
トイレタリー業界が抱えている課題の2つ目が、同業他社や流通大手との「競争激化」です。
トイレタリー業界ではヒット商品を生み出すため、次々と新製品を開発しています。さらに、ヒット商品においては、ライバル企業からも相次いで類似製品が開発されるため、非常に競争の激しい市場となっています。
さらに、トイレタリーメーカーのライバル企業は、国内外の同業他社に留まらず、「ホームセンター」や「ドラッグストア」、「スーパーマーケット」などの、流通大手も競合相手となります。
大手流通はトイレタリー業界にとって重要な販売網の一つです。一方、近年はメーカーの定番商品の類似品を、安価なプライベートブラント商品として開発・販売を行っているため、よりトイレタリー市場の状況は厳しくなっています。
メーカー側は多くのシェアを獲得しようと差別化を図り、自社で複数のブランドを出していますが、需要が分散し主力商品のシェアが低下する要因になっています。自社ブランド同士によるシェアの奪い合いを起こさずに消費者を取り込めるかかが、今後の大きな課題です。
トイレタリー業界が抱えている課題の3つ目が、商品単価の低下が招く『薄利多売』です。
トイレタリー商品は、衣類用の洗剤や柔軟剤、トイレットペーパーや歯磨き粉、おむつや生理用品といった日用品のため、商品単価が低く成長率が低いことが課題です。
トイレタリー業界では売上や利益を伸ばすため、大量生産や大量出荷による『薄利多売』の構図が出来上がっています。また、近年の低価格なプライベートブランドの普及もより激しい価格競争を招く原因となっています。
各社は、商品単価の向上を目指し、商品の付加価値の向上に注力しています。近年は共働き世帯の増加で、家事の『時短』ニーズが高まり、高価格帯商品の需要が伸びています。衣類用洗剤の「ジェルボール」や、ワンプッシュでムラなく洗剤が吹き付られる「浴室洗剤」など、いくつかのヒット商品も生まれています。
また、コロナ禍では柔軟剤や洗剤などのまとめ買い需要が増えるなど、消費者の購買行動が変化しました。これを受け、各社は大容量タイプの販売を強化し、売上と利益率の向上を図っています。
一方、増税や新型コロナの影響で消費者の節約志向は強まっており、価格にシビアになっているのも事実です。高価格帯の商品は買い控えの懸念もあるため、既存商品の価格は上げにくいというジレンマにも陥っています。