靴業界が抱えている課題についてお話します。この記事では、今後靴業界に大きな影響を与える課題や問題の中から、重要な3つをご紹介してきます。
2021年現在、靴業界が抱えている課題は以下のとおりです。
靴業界が抱えている課題の1つが、消費者ニーズの変化に伴う『フォーマル靴』の需要減少です。近年、靴業界ではビジネス用や冠婚葬祭用の『フォーマル靴』の需要が減少傾向にあります。
紳士靴や夫人靴といったフォーマルな靴の販売数が減少する一方で、スニーカーやランニングシューズといった、スポーツシューズの需要が伸びています。ここ数年、ファッションのカジュアル化やクールビズの進展、健康志向の拡大など、消費者ニーズに変化が見られています。
履き心地やファッション性を重視する消費者が増えたことで、各社はスニーカーやカジュアルなデザインシューズの販売に注力しています。また、新型コロナをきっかけにアウトドアが注目されており、今まで以上にスポーツシューズ需要が高まっています。
ただ、スポーツシューズの需要だけでは、市場全体を押し上げるまでには至らないのが現状です。高単価な『フォーマル靴』の販売額は年々減少傾向にあるため、靴業界は厳しい状況に置かれています。
靴業界が抱えている課題の2つ目が、他業種の参入による競争激化です。
靴業界では同業他社に加えて、アパレルや雑貨店、ネット通販など、多くの小売企業とも競争が激化しています。
なかでも、近年はファストファッションと呼ばれる低価格帯のアパレル企業「ユニクロ」や「しまむら」などが、靴の販売に参入しています。服同様に低価格でありながら、ファッション性や機能性を十分に備えているため、若い世代や30~40代の女性からのニーズがあります。
靴業界大手では、新たな販路としてEC事業の強化に取り組んでいますが、サイズ感や履き心地の問題もあり、利用率が低いのが現状です。靴業界トップのABCマートにおいても、ECの売上高は5~6%と低い水準です。靴の販売チャネルは増えており、今後も他業種との競争はますます激しくなることが予想されています。
靴業界の3つ目の課題が、「少子高齢化」の影響でマーケットが縮小していくことです。国内では少子高齢化の影響で、人口減少時代を迎えています。
人口減少と高齢化の進展は、労働人口の減少、消費力の減退につながるため、将来的に靴需要の先細りが懸念されています。
国内の生産年齢人口はすでに減少に転じており、2025年以降にはさらなる加速が予想されています。また、高齢者の人口も2040年にはピークを迎えます。こうした状況は避けられないとして、靴業界では人口減少に対応した新しいビジネスモデルの構築が求められます。