メガネ業界の課題と問題点とは?

メガネのイメージ

メガネ業界が抱えている課題や問題点についてお話します。この記事では、今後のメガネ業界に大きな影響を与える課題や問題点はどのようなものなのか、重要な3つをご紹介していきます。

メガネ業界の課題と問題点【2021年】

2021年現在、メガネ業界が抱えている課題は以下のとおりです。

メガネ業界の課題1. 低価格化の進行による単価の下落

メガネ単価の下落を示す画像

メガネ業界が抱えている課題の1つが、低価格化の進行による単価の下落です。国内のメガネ業界では低価格帯のメガネが普及したことで、メガネ一つ当たりの単価が減少し、客単価も低下傾向にあります

1990年代のメガネの平均価格は現在に比べて高く、およそ3万円代でした。2001年には低価格戦略をとるZoffやJINSが参入したことで、平均価格は下落します。両社はメガネを3つの価格帯に分けたスリープライス制を導入し、5,000~12,000円の間で展開していきます。

こうしたことから、従来型のメガネ大手も低価格路線へ踏み切らざらなくなり、メガネ業界全体の低価格化が進行しました。低価格のため複数持ちの消費者も増える一方で、客単価は減少しています。メガネの低価格化は消費者意識に根付き、メガネ業界では価格競争が激化しています。

一方、メガネスーパーや三城HDでは、低価格路線との差別化を図っています。きめ細やかなサービスを充実させ、機能性が高いメガネの開発を行うなど、高価格帯メガネの販売に注力しています。

ただ、増税や新型コロナの影響によって消費者の節約志向は高まっており、低価格化の固定化や進行、買い控えなどが懸念されています。

メガネ業界の課題2. 「少子高齢化」や「人口減少」に伴う市場の縮小

メガネ業界の2つ目の課題が、「少子高齢化」や「人口減少」に伴う市場の縮小です。

少子高齢化の問題は、小売業界にとって大きな課題です。一方、メガネ業界においては、視力低下やレンズの劣化などを理由に、一定の買い替え需要が見込まれています。

また、健康意識が高まる45歳以上のミドル層からシニア層によるメガネ需要は、高齢化が進む国内では増々高まることが期待されています。加齢による視力の低下から、個々に合った細かな調整が必要となるため、高付加価値、高単価な商品を求める傾向にあります。

国内の生産年齢人口はすでに減少に転じています。2025年以降はさらに加速し、高齢者の人口も2040年にはピークを迎えるため、将来的にメガネ市場の縮小が懸念されています。

こうした状況は避けられないとして、メガネ業界では人口減少に対応した新しいビジネスモデルの構築や新たな販路の拡大が求められています。

メガネ業界の課題3. ECサイトでの販売の難しさ

ECのイメージ画像

メガネ業界が抱えている課題の3つ目が、ECサイトでの販売の難しさです。メガネ業界ではECの展開は難しく、対面販売が当たり前に行われています。特に視力矯正を目的としたメガネは視力検査が必須のため、ネット販売には不向きと言われてきました。

このような中、ここ数年のメガネメーカーはECに注力しています。度数情報を店舗へ送ることや、自宅での試着が可能になったことを背景に、EC利用率は伸長しています。

国内最大級のメガネECサイト運営の「オーマイグラス」の他、メガネトップのEC売上は着実に伸びています。加えて、新型コロナの影響で『テレワーク』や『巣ごもり』需要が功を奏し、各社のEC売上率は前年比増と好調な結果となりました。

ただ、細かな調整や試着は実店舗の方が利便性が高いため、メガネ業界のEC売上率は依然として低いのが現状です。業界トップクラスであるJINSのEC比率は、全売上の4.1%と1割りにも満たず、オーマイグラスもショールームを兼ねた実店舗の出店を加速させています。

国内では老視人口が増加しており、実店舗での検査や細かな調整が必要となります。今後もECでの売上をどう伸ばせるかが、当面の課題となります。