パン業界が抱えている課題や問題点についてお話します。この記事では、今後のパン業界に大きな影響を与える課題や問題点はどのようなものなのか、3つをご紹介していきます。
2021年現在、パン業界が抱えている課題は以下のとおりです。
パン業界が抱えている課題の1つが、人口減少による市場の縮小です。国内では少子高齢化の進行により人口減少時代を迎えています。
少子高齢化と人口減少下では、胃袋の数とサイズは小さくなるため、パン市場の縮小が予想されています。今現在、パン業界の市場規模は緩やかな右肩上がりで成長を続けていますが、長期的に見ると業界を取り巻く環境は徐々にきびしくなることが想定されます。
パン業界が抱えている課題の2つ目が、『イーストフード・乳化剤不使用』の表示問題です。「イーストフード」や「乳化剤」はどちらも食品添加物で、パンをふっくらさせたり、柔らかさを保つ目的で使用されています。
一時は、添加物不使用の強調表示で注目されましたが、消費者に様々な誤解を与えるとして、日本パン工業会が「表示の自粛」を発表しました。また「イ一ストフードや乳化剤は、国際的に安全性が公認され、国が科学的根拠をもってその安全性、有用性を評価している食品添加物だ」と、使用添加物の安全性も発表しました。
しかしながら、消費者の食に対する「安全・安心」の意識は年々高まっています。食品添加物の有無についても関心を寄せる人が増えており、「添加物=体に良くないもの」というイメージを持つ消費者も少なくなくありません。今後も消費者に安心して食べてもらうには業界一丸となり、様々な研究・開発を続けていく必要があります。
パン業界の3つ目の課題が、原材料費、人件費、燃料費の高騰です。原材料費においては、小麦粉に加え油脂類や乳製品、イーストなどの主原料が軒並み値上がりしています。
原材料の価格上昇は、新興国の需要増加や世界的な天候不順が影響し、今後も続くことが予想されています。そして、人件費や物流費の上昇においては、パン製造メーカーで働く労働者やドライバーの不足、トラックや工場の燃料費などが影響しています。
こうした要因が重なったことで、大手各社は企業努力だけでは難しいとして、パン製品の値上に踏み切っています。一方、消費者の節約意識も高まっており、値上による買い控えが懸念されています。