BREAD
目次
グラフはパン業界の業界規模(対象企業の6計)の推移をグラフで表したものです。
パン業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年のパン業界の業界規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は1兆4,281億円となっています。
パン業界の過去9年間の業界規模の推移
パン業界の過去の推移を見ますと、2012年から19年にかけては緩やかな上昇が見られ、2020年には若干の減少に転じています。
近年、日本人の主食は米からパンへと変わり始めています。農林水産省の「食品産業動態調査」によると、2020年のパン生産量(小麦粉ベース)は、前年比1.4%増の126万4,926トン。内訳は、食パンと菓子パンは各1.8%、フランスパンや調理パンを含むその他は1.4%の増加でした。一方、学給パンは14.6%の減少となりました。
パン生産量の推移(出所:農林水産省、グラフは業界動向サーチが作成)
農林水産省の主食に占める割合の調査でも、1983年に57.2%を記録していた米類が、2003年には42.4%に下落。一方、パンは21.2%から31.4%へと大幅に上昇しています。パンの消費額も上昇傾向にあり、2020年には米の23,920円に対し、パンは31,456円と差が広がり始めています。
パンの需要が伸びている背景としては、食生活の欧米化や若年層を中心とした米離れ、一般家庭の朝食のパンの浸透や孤食・個食などの影響に加え、増加する共働き世帯による時短・簡便ニーズなどが挙げられます。
なかでも近年はパンを好むシニア層の増加や夕食用に購入する家庭が増えており、こうした状況も市場を拡大させてきた要因の一つとなっています。
2020年に入り新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外食を控える消費者が増加。家庭内で食事を取る機会が増えたことで、食パンやロールパン等の食事系パンの需要が伸びています。一方、給食用や業務用のパンにおいては苦戦を強いられています。
2019年から20年の各社の業績は、山崎パンが前年比0.5%増の9,956億円、第一屋製パンが同1.6%減の247億円、日糧製パンが0.6%増の175億円、コモが8.8%増の62億円。4社のうち3社は横ばいで推移、増加はコモの1社のみでした。
パン業界では新型コロナウイルスによる感染拡大の影響で、商品の売れ方に変化が見られています。テレワークの普及などを背景にコンビニや飲食店の利用者が減り、今まで好調に推移していた菓子パンや惣菜パン、業務用パンの需要が低迷しています。
一方、食パンの需要は増加しています。在宅時間が長くなり調理時間に余裕ができたことや、家庭で食事を摂る機会が増えたことで、惣菜パンから食パンへとニーズが流れています。
実際、業界首位である山崎製パンの2020年12月期決算を見ますと、主力の「ロイヤルブレッド」の売れ行きは、前年同期比が2ケタ増を記録しています。その他「ダブルソフト」や「ふんわり食パン」も好調でした。
ヤマザキ独自の技術と製法で焼き上げる山崎製パンの「ロイヤルブレッド)」
上記の食パンは、山崎製パンがリニューアルや開発に注力している商品です。なかでも主力の「ロイヤルブレッド」は”品質とおいしさ”にこだわった商品です。良質な上級小麦粉とバターを使用し、ヤマザキ独自の技術と製法で焼き上げた食パンで、2012年の発売以降、売上は右肩上がりで推移しています。
さらに、山崎製パンでは年間1,000アイテム以上の新商品の開発を行っています。原料の向上を図り、商品のリニューアルや新商品の開発で、高付加価値商品を市場に投入しています。
消費者の健康を応援する商品開発にも力を入れており、乳酸菌や玄米や12種類の穀物を使用した食パンも展開しています。さらに、近年の健康志向を背景にトランス脂肪酸の含有量を表示する動きも進みつつあります。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | 山崎製パン ※ | 9,521 | 66.7 | |
2 | フジパングループ本社 ※ | 2,743 | 19.2 | |
3 | 敷島製パン | 1,539 | 10.8 | |
4 | 第一屋製パン | 240 | 1.7 | |
5 | 日糧製パン | 173 | 1.2 | |
6 | コモ | 65 | 0.5 |