MEAT
目次
グラフは食肉業界の業界規模(対象企業の9計)の推移をグラフで表したものです。
食肉業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の食肉業界の業界規模(主要対象企業9社の売上高の合計)は3兆4,382億円となっています。
食肉業界の過去8年間の業界規模の推移
食肉業界の過去11年間の推移を見ますと、2013年から19年にかけて増加、2020年は横ばいで推移しています。近年は比較的安定した増加傾向にあります。
農林水産省の食料需給表によると、2020年の肉類の国内消費仕向量は前年比0.2%減の654.0万トンでした。
肉類の国内消費仕向量の推移(出所:農林水産省、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフによると、近年は増加傾向にありましたが、2018年から2020年にかけて横ばいで推移しています。品目別では、牛肉が前年比0.7%減の132.9万トン、豚肉が0.8%増の264.4万トン、鶏肉が0.8%減の251.6万トンでした。
現在、豚肉の消費量がトップですが、最近では鶏肉の消費量が伸びており、近いうちに逆転する可能性も出ています。鶏肉が伸びている背景としては、消費者の健康志向が挙げられます。とくに「鶏むね肉」の人気が高く、コンビニ大手のセブン-イレブンから発売された「サラダチキン」は大ヒットを記録しました。
業界内に目を向けると、総合大手の日本ハムは食肉が強く、2位となる伊東ハム米久HDは加工品となるハム・ソーセージで首位を誇ります。食肉業界においては、若者のみならず高齢者も食肉に慣れ浸しんできた世代であるため、需要は堅調に推移しています。
ただ、2020年に入り新型コロナウイルスにより外食需要が減少、業務用の需要に影響が出ています。一方、家庭で食事を取る機会が増えたことで、家庭用商品の伸びが見られています。
食肉業界上位3社の2021年3月決算は、日本ハムが前期比4.4%減の1兆1,761億円、伊藤ハム米久HDが同1.1%減の8,426億円、プリマハムが3.7%増の4,335億円。3社で業績はまちまちですが、全体では若干の減少にとどまっています。
国内の食肉需要はしばらく続くと見られています。少子高齢化や人口減少傾向ではありますが、最近の高齢者は「肉に慣れ親しんだ時代」。食肉の需要はしばらくは堅調と見られています。
肉単体の需要も増加傾向にありますが、近年注目を浴びているのが「惣菜分野」。共働き世帯や単身世帯の増加で「食の簡便化」が求められており、簡単に食べられる惣菜のニーズが伸びてきています。
また、近年の健康志向の高まりにより、減塩や糖質ゼロのハムやソーセージ、ベーコン、サラダチキンなどのニーズも高まっています。食肉各社もこうした需要をとらえるべく、機能性を重視した商品の開発に力を入れています。
一方で、ハムやソーセージは、原材料費や人件費、物流費などのコストの増加が収益を圧迫しています。また、こうしたコストを各社価格に転嫁できずにいる状態です。今後さらなるコストの増加や消費税増税によって、値上げは必須になると予想されます。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | 日本ハム | 11,761 | 34.2 | |
2 | 伊藤ハム米久HD | 8,426 | 24.5 | |
3 | プリマハム | 4,335 | 12.6 | |
4 | スターゼン | 3,492 | 10.2 | |
5 | エスフーズ | 3,274 | 9.5 | |
6 | 丸大食品 | 2,341 | 6.8 | |
7 | 滝沢ハム | 304 | 0.9 | |
8 | 福留ハム | 253 | 0.7 | |
9 | 林兼産業 ※ | 196 | 0.6 |