専門商社業界の動向や現状、課題などを分析

グローバルと商取引

専門商社業界の動向や現状、ランキングと課題などを分析しています。専門商社業界の過去の業界規模の推移をはじめ、大手専門商社の売上高の推移グラフ、2022-2023年の動向と業界が抱える課題や問題点などを解説しています。

専門商社業界(2022-2023年)

専門商社業界の推移と基本情報

業界規模

59.4兆円

成長率

3.7

利益率

3.2

平均年収

666万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

専門商社業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年から2022年にかけて上昇に転じています。

専門商社業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は価格転嫁が業績に寄与 エネルギー、鋼材などが好調

以下のグラフは、2022年までの専門商社5社の売上高の推移を示したものです。

専門商社大手5社の売上高の推移(出所:各社有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)

専門商社大手5社の売上高の推移を見ますと、2020年は減少に転じた企業が多くありましたが、2021年から2022年は増加に転じ回復傾向にあります。全体的な推移をみますと、専門商社業界はここ10年で横ばいから緩やかな増加傾向にあることが分かります。

商社とは、川上である原材料供給者やメーカーと小売店をつなぐ役割を果たします。専門商社はこうした商社の中でも特定の分野に特化した商社です。鉄鋼や機械、食品や医薬品など専門とする商材は多岐にわたります。

直近の専門商社の動向を振り返りますと、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日用品などで一部増加が見られたものの、幅広い分野で落ち込みが見られました。一方、2021年は昨年からの落ち込みから一転、多くの企業で業績は回復し、エネルギーや電子機器、半導体、機械、鉄鋼分野で高い伸びとなりました。

2022-2023年は多くの企業で業績が増加しています。エネルギーや鉄鋼、非鉄金属、建材、半導体、樹脂関連分野が好調でした。また、円安の進行や国内での販売価格上昇が業績に寄与しました。2022は世界的なインフレや円安の影響を受け、原材料価格の高騰が目立ちました。2023年に入ってもインフレが進んでおり、小売店に対して適切な価格転嫁ができるかが今後のポイントになります。

専門商社業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 伊藤忠丸紅鉄鋼 36,913
2 メディパルHD 33,600
3 アルフレッサHD 26,960
4 阪和興業 26,682
5 メタルワン 23,962

2022-2023年の専門商社の売上高ランキングを見ますと、首位が伊藤忠丸紅鉄鋼、2位がメディパルHD、3位がアルフレッサHDとなっています。

首位の伊藤忠丸紅鉄鋼は鉄鋼卸です。2位メディパルHDはの日用品卸のPALTAC、医薬品卸のメディセオを擁し、アルフレッサHDは医薬品卸を手掛けています。

2021-2022年は、専門商社大手5社中3社が増加、2社が横ばいとなりました。業界全体としては昨年から増加となりました。

専門商社業界の課題とは?

ビジネスとM&A

専門商社業界が現在、抱えている課題や問題点をまとめてみました。業界が抱える課題を整理し、解決に取り組むことで新たなビジネスチャンスを見出すことができます。

商社不要論

商社はメーカーと小売りを結びつけることで、中間マージン(売買差益)を稼ぎます。しかしながら、「そもそもこの中間マージンがいらないのではないか」という話です。実際に商社は、在庫リスクの管理や海外企業との取引交渉、豊富なネットワークの活用など重要な役割があるのですが、商社をあまり理解していない人からは批判的な意見が出てしまうのも事実です。

この問題の厄介な点は、いつの時代でもこの議論が浮上してしまう点です。実際に、インターネットが普及した1990年代では、メーカーが独自に生産者を探して買い付けてしまうという、いわゆる「商社外し」が横行しました。商社は中間マージンをベースとしたビジネスモデルであるため、この動きが本格化すると企業や業界の存続に関わってきます。専門商社ならではの役割と付加価値を顧客にいかに伝えるかが重要になります。

国内の長期的な人口減少

日本は長期的な人口減少過程に入り、2026年には1億2,000万人を、2048年には1億人を下回るとの試算があります。専門商社業界もこうした人口の減少により、市場の縮小が懸念されています。専門商社業界はジャンルによって海外売上高比率が異なりますが、海外売上高比率の低い「食品」や「日用品」などの業界はとくに注意が必要です。

原材料価格の高騰

2022年に入り、世界的な資源高やインフレ、人手不足や円安の影響から原材料価格の高騰が目立っています。直近では、値上げに理解を示す顧客が増えてきましたが、顧客である小売店に適切な価格転嫁ができるかが今後の課題と言えます。

専門商社業界 ランキング&シェア

専門商社業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで専門商社市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

専門商社業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 伊藤忠丸紅鉄鋼 36,913
2 メディパルHD 33,600
3 アルフレッサHD 26,960
4 阪和興業 26,682
5 メタルワン 23,962
6 スズケン 23,148
7 日鉄物産 21,342
8 三菱食品 19,967
9 JFE商事 15,141
10 東邦HD 13,885

※シェアとは専門商社業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで専門商社市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ専門商社業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

専門商社業界を見た人は他にこんなコンテンツも見ています。関連業種の現状や動向、ランキング、シェア等も併せてご覧ください。

専門商社業界 対象企業一覧

伊藤忠丸紅鉄鋼、メディパルHD、アルフレッサHD、阪和興業、メタルワン、スズケン、日鉄物産、三菱食品、JFE商事、東邦HD、PALTAC、加藤産業、マクニカHD、伊藤忠エネクス、岡谷鋼機、長瀬産業、岩谷産業、あらた、稲畑産業、KPPグループHD、三愛オブリ、伊藤忠食品、東レインターナショナル、加賀電子、キヤノンマーケティングジャパン、ヤマエグループHD、神鋼商事、バイタルケーエスケー・HD、カメイ、日本紙パルプ商事などの計230社

注意・免責事項

専門商社業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2022-2023年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。専門商社業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。