医薬品卸業界の動向や現状、ランキング&シェアなど

医薬品とバッグ

医薬品卸業界の動向や現状、ランキングやシェアなどを分析しています。データは2022-2023年。医薬品卸業界の過去の市場規模の推移をはじめ、大手4社の売上高の推移とランキング、2021年の動向と今後を見据えた各社の取り組みなどを解説しています。

医薬品卸業界(2022-2023年)

医薬品卸業界の推移と基本情報

業界規模

10.9兆円

成長率

1.2

利益率

2.1

平均年収

625万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

医薬品卸業界の過去の業界規模の推移を見ますと、ここ数年は横ばいで推移しています。

医薬品卸業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年はコロナ治療薬や検査薬が伸長 薬価引き下げがネック

以下のグラフは医薬品卸大手4社の売上高の推移です。医薬品卸業界は以下の4社の売上高のシェアが高く、4社の動向を見ることで医薬品卸業界の動向を大まかに把握することができます。

医薬品卸大手4社の売上高の推移(出所:各社決算資料、グラフは業界動向サーチが作成)

2022年3月の各社決算によると、メディパルHDは前年比2.1%増の3兆3,600億円、アルフレッサHDは4.3%増の2兆6,960億円、スズケンは3.4%増の2兆3,148億円、東邦HDは9.7%増の1兆3,558億円でした。2019年までは緩やかな上昇傾向にあった医薬品卸業界ですが2020年は一転して減少、2021年から2022年は再び増加傾向にあります。

2022年の医薬品卸業界は、全体では増収増益を記録しています。医療用医薬品市場は、医療機関への受診抑制による影響は受けたものの、新型コロナ感染症治療薬や検査キット、ワクチンが順調に推移しました。また、診断薬やがん治療薬、新薬などのスペシャリティー医薬品の販売が増えたことで前年に比べ伸長しました。

一方、一般医薬品需要は感染状況が落ち着いたことで外出の機会が増え、ドリンク剤や胃腸薬などの医薬品が好調に推移しました。また、インバウンド需要の回復も見られています。一方、薬価引き下げや価格競争の激化、新型コロナ感染予防関連の需要減などの影響によるマイナス面も見られました。

業界の近年の動きとしては、2020年10月、東京地検特捜部と公正取引委員会は独占禁止法の疑いで、メディセオ、アルフレッサ、スズケン、東邦薬品の4社を一斉捜索しました。4社は過去2回の競争入札において、受注者を事前に決めるなど談合の疑いがかけられており、コーポレートガバナンスの強化が求められています。

医薬品卸業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 メディパルHD 33,600
2 アルフレッサHD 26,960
3 スズケン 23,148
4 東邦HD 13,885
5 バイタルケーエスケー・HD 5,797

続いて、医薬品卸業界の勢力図を見ていきましょう。上の図は2022年の医薬品卸業界の売上高ランキングです。やはり、上位4社の売上高が高いことが分かります。前年比では上位8社中2社が2ケタ増となっています。

首位のメディパルHDはメディセオとパルタックが経営統合して発足、2位のアルフレッサHDは福神とアズウェルが統合してできた会社です。3位のスズケンは独立系の医薬品卸会社です。

「高機能物流センター」など、各社が新規事業を強化

未来に向かっている人たち

堅調に推移している医薬品卸業界ですが、今後、少子高齢化や医療費の抑制に伴う薬価引き下げの影響により、国内市場の縮小が懸念されています。こうした動向を受け、医薬品卸各社は今後の成長を見据え、様々な施策を講じています。

医薬品卸首位のメディパルHDは、2020年に医療用医薬品などを扱う「ALC(高機能物流センター)」を稼働させました。需要予測システムや自動ピッキングによる作業効率化を行い、人手不足の解消とさらなる生産性の向上を目指します。

メディセオのALCの次世代物流システム「オーパス」

メディセオALCの次世代物流システム「オーパス」

同社は2022年4月、臨床検査大手のU.H グループHDと物流合弁会社「メディスケット」を設立しました。医薬品と検査資材の供給、臨床や治験などの検体の集荷の最適化を目指し同年12月に稼働、2023年4月現在7か所のALCで業務委託が完了しています。また、成長戦略の一つである海外事業では、グローバルな超希少疾患の新薬開発に乗り出します。

2020年10月にアルフレッサHDは、神戸市に国内2拠点目となる「再生医療流通ステーション」を開設しました。再生医療流通ステーションは、再生医療製品に欠かせない超低温の保管・輸送環境を整備した施設です。将来的に、市場の急速な拡大が見込まれる再生医療分野への投資を加速させています。2022年4月には福島県に東北全体の司令塔を担う物流センターを、同年12月にはテラファーマの再生医療等製品の製造事業を譲受しています。

医薬品卸4位の東邦HDは、2020年9月に大規模高機能物流センター「TBCダイナベース」を稼働しました。TBCダイナベースは最新鋭の自動化技術を擁し、パンデミックや災害時にも医薬品を安定供給できるよう、東京都が指定する災害時広域輸送基地に配置してあります。また、新たに北陸エリアの物流の要として「TBC北陸」が2022年5月に稼働しています。

医薬品卸業界は今後、堅調な推移が予想されていますが、相次ぐ薬価の改定や価格競争の激化で楽観視はできません。2020年に発覚した4社による談合の疑いなど、業界全体に対するコンプライアンスの改善も求められています。業界に対する信頼の回復と既存事業の強化、将来を見据えた新規事業の拡大が求められています。

医薬品卸業界 ランキング&シェア

医薬品卸業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで医薬品卸市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

医薬品卸業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 メディパルHD 33,600
2 アルフレッサHD 26,960
3 スズケン 23,148
4 東邦HD 13,885
5 バイタルケーエスケー・HD 5,797
6 ほくやく・竹山HD 2,619
7 PALTAC 1,404
8 大木ヘルスケアHD 1,146
9 アステナHD 263
10 コーア商事HD 220

※シェアとは医薬品卸業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで医薬品卸市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ医薬品卸業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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医薬品卸業界 対象企業一覧

メディパルHD、アルフレッサHD、スズケン、東邦HD、バイタルケーエスケー・HD、ほくやく・竹山HD、PALTAC、大木ヘルスケアHD、アステナHD、コーア商事HDの計10社

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