卸売業界の動向や現状、ランキング、今後の展望を分析

卸売りや問屋のビジネス

卸売業界の動向や現状、ランキング&シェア、今後の展望などについて分析しています。卸売業界の過去の業界規模の推移をはじめ、卸売の販売額の推移グラフ、2022-2023年の動向と今後の展望について解説しています。

卸売業界(2022-2023年)

卸売業界の推移と基本情報

業界規模

145.3兆円

成長率

8.6

利益率

3.4

平均年収

665万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

卸売業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2021年、2022年と大幅に増加しています。

卸売業界の動向と現状(2022-2023年)

2023年の卸売業界は431兆円 4年連続の前年越え

経済産業省の「商業動態統計(2024年4月公表)」によると、2023年の卸売の販売額は前年比0.1%増の431兆0,170億円でした。

卸売の販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

卸売の販売額の推移を見ますと、2023年まで増加傾向にあります。とくに、直近の20年、21年は非常に強い伸びが見られました。2023年は伸び率が縮小したものの、過去11年間でもっとも高い販売額を記録しています。

近年の卸売業の内訳を見ますと2021年と2022年は「鉱物・金属材料」、「農畜産物・水産物」、「繊維品」が前年比から高い伸びとなりました。石油製品や鉄鋼製品、非鉄金属卸売業が好調だったことが分かります。

直近のデータでは2023年の内訳は「食料・飲料」が10.8%増、「自動車」9.6%増、「医薬品・化粧品」が8.5%増、「畜産・水産」が8.2%増と、経済活動の正常化やインバウンド再開に関する卸売業が好調であったことが伺えます。一方、前年好調の石油や金属関連の伸びには弱さが見られた年でした。

商社専門商社に分類されます。2022-2023年の総合商社の業界規模は前年比19.4%の増加、専門商社は同12.3%の増加となりました。2022-2023年は総合商社、専門商社ともに大幅増収となったことで、卸売業界全体の業績が上がっています。

2022-2023年の総合商社は、原油やLNG、銅などの世界的な資源価格の上昇の恩恵を受けて、大幅な増収となりました。2022年の総合商社5社は過去最高の売上高となり、純利益は4社で過去最高を記録しています。

2022-2023年の専門商社は、エネルギーや半導体、鉄鋼、非鉄金属などの分野で高い伸びを見せ、こちらも増収となりました。2022年後半からは世界的なインフレの影響を受け、原材料価格の値段が高騰しており、値上げを行っています。

また、米国や欧州、中国などの主要国でリセッションの懸念もあり、先行き不透明感が漂っています。国内では人口減少の影響もじわりと表れており、総合商社ほど楽観視できる状況ではありません。

卸売業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 三菱商事 215,719
2 三井物産 143,064
3 伊藤忠商事 139,456
4 豊田通商 98,485
5 丸紅 91,904

2022-2023年の卸売業界のランキングを見ますと、首位が三菱商事、2位が三井物産、伊藤忠商事、豊田通商と続きます。ランキング上位はいずれも総合商社で、卸売業界のけん引役となっています。また、2022年は三菱商事と三井物産の純利益が、商社で初の1兆円を越えました。

2022-2023年は、大手卸売5社中5社が大幅増収となりました。2022-2023年は非常に好調な1年であったことが分かります。

卸売業界は今後どうなるのか?

将来に向けて難解なコースと目的地

卸売業界が今後どうなるのか、考察していきたいと思います。

まず、日本の卸売業界は400兆円近く、上場企業だけでも300社を超えるとても巨大な市場です。大企業から中小企業まで企業の規模も様々で、扱っている商品も異なります。置かれている企業の状況によって、今後の展望が全く異なる点に注意して下さい。

結論から申し上げますと、今後の日本の卸売業界は「2極化」することが予想されます。長期的には、業績の良いグループとそうでないグループに分かれるでしょう。

日本の卸売業界は、人口の減少と少子高齢化による市場の縮小が懸念されています。一方で、世界の人口は今後も安定的に増加する見込みで、卸売市場は拡大することが見込まれています。つまり、成長著しい海外でいかに積極展開できるかが、ポイントとなります。

海外展開をどれほど進めているかを示す「海外売上高比率」は、ジャンルや企業によって異なります。例えば、三菱商事や三井物産などが属する「総合商社」では、海外売上高比率は40%以上と高い水準にあります。

専門商社では、電子部品、半導体、化学などの海外売上高比率が40~60%と高い水準にあります。こうしたジャンルの卸売業は、世界の成長をうまく取り込み、継続的に成長する可能性があります。

一方で、食品や医薬品、日用品、化粧品、燃料・エネルギーなど海外売上高比率が5%未満のジャンルは、長期的には頭打ちや縮小の懸念が考えられます。商品の差別化やセグメントの拡大などを考える必要があります。

以上のように、卸売業界はジャンルや企業によって置かれている状況と起こりうるシナリオは異なります。ただし、人口の動態を見ると、国内市場よりも海外市場のほうが成長の可能性が高いのは間違いありません。半導体や電子部品のように今後需要の高い商品を扱っている場合は、国内でも戦える可能性は十分にあります。国内市場は厳しい状況が予想されますが、時代の大きな流れとニーズをつかみ、柔軟に戦略を変える迅速さが求められます。

卸売業界 ランキング&シェア

卸売業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで卸売市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

卸売業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 三菱商事 215,719
2 三井物産 143,064
3 伊藤忠商事 139,456
4 豊田通商 98,485
5 丸紅 91,904
6 住友商事 68,178
7 伊藤忠丸紅鉄鋼 36,913
8 メディパルHD 33,600
9 アルフレッサHD 26,960
10 阪和興業 26,682

※シェアとは卸売業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで卸売市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ卸売業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、豊田通商、丸紅、住友商事、伊藤忠丸紅鉄鋼、メディパルHD、アルフレッサHD、阪和興業、双日、メタルワン、スズケン、日鉄物産、三菱食品、JFE商事、東邦HD、PALTAC、加藤産業、マクニカHD、伊藤忠エネクス、岡谷鋼機、長瀬産業、兼松、岩谷産業、ダイワボウHD、あらた、稲畑産業、KPPグループHD、三愛オブリなどの計328社

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