FOOD WHOLESALE
目次
グラフは食品卸業界の業界規模(対象企業の27計)の推移をグラフで表したものです。
食品卸業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の食品卸業界の業界規模(主要対象企業27社の売上高の合計)は10兆9960億円となっています。
食品卸業界の過去6年間の業界規模の推移
食品卸業界の過去の業界規模の推移をみますと、緩やかな上昇基調にあることが分かります。
経済産業省の商業動態統計によると、2020年の食料・飲料卸売業の販売額は前年比7.3%増の52.8兆円でした。
食料・飲料卸売業の販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
緩やかな上昇基調の中、2019年は減少に転じましたが、2020年は再び増加に転じました。全体としては緩やかな上昇基調にあると言えます。
2020年の食品卸業界は、コロナによる巣ごもり需要増の影響により、スーパーやディスカウントストアなど家庭向けが伸長したものの、飲食店などの業務用需要が落ち込み、全体としては横ばい、企業によっては微増で推移しています。
品目別では、家庭内需要の増加に伴い、調味料や菓子、缶詰、乾物などが好調に推移したものの、業務用の冷凍食品やチルド食品、ビールなどのアルコール類は落ち込みました。2020年はコロナウイルスの感染拡大により多くの業界が苦戦する中、多少の落ち込みは見られたものの、食品卸業界は堅調な推移をしています。
2020年の食品卸業界の売上高ランキングを見ますと、ランキングに入っている企業はおおむね売上高の規模が大きく、日本の「食」を担う重要な産業であることが分かります。
業界首位の三菱食品は三菱商事系で、2012年に菱食をはじめとする4社が統合してできた会社です。売上高では食品卸業界で一歩リードしています。
全体的には年ごとの売上の大きな変化は見られず、成長性が低いのが課題です。ただし、コロナ禍でも業績が底堅いように、不測の事態や不景気でも業績は安定しています。
コロナ禍でも堅調な推移を見せた食品卸業界ですが、少子高齢化など業界を取り巻く環境は楽観視できません。こうした動向をふまえ、各社とも将来の成長を見据えた様々な取り組みを行っています。
業界首位の三菱食品は、冷凍食品の「ミールキット」の販売に注力。ミールキットは加工済みの食材と調味料がセットになっており、簡単に調理することができます。コロナ禍による内食需要と共働きによる時短需要の高まりに応えます。
三菱食品はさらに、コロナ禍で経営が厳しい飲食店と、集客が好調なスーパーを引き合わせるマッチング事業を展開しました。これにより、飲食店はスーパーの空きスペースを借りることででき、小売店で販売チャネルを持つことができます。スーパー側も集客の増加や売り場のマンネリ化策としても有効であり、面白い試みと言えるでしょう。
三菱食品のマッチング事業「ガラリトスイッチ」
加藤産業は2020年10月にマレーシアで卸売り事業を展開するMerisonを買収。マレーシア二つ目の拠点となり、すでに展開している北部に加えて、シンガポールとのシナジーも期待したいところです。加藤産業は東南アジアの地盤を着実に強化しています。
伊藤忠食品は2019年7月に「デリッシュキッチン」などを手掛けるエブリーと資本・業務提携を結びました。両社は好調なスーパー向けにレシピ動画などを提供するデジタルサイネージの設置拡大に取り組みます。
新型コロナウイルスの感染拡大により、食を取り巻く環境は大きく変わりました。各社ともコロナへ対策は早く、柔軟に対応している印象を受けます。難しい局面ではありますが、各社のさらなる取り組みに期待したいところです。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | 三菱食品 | 25,776 | 23.4 | |
2 | 日本アクセス | 21,472 | 19.5 | |
3 | 国分グループ本社 | 18,479 | 16.8 | |
4 | 加藤産業 | 11,046 | 10.0 | |
5 | 三井食品 | 7,857 | 7.1 | |
6 | 伊藤忠食品 | 6,567 | 6.0 | |
7 | ヤマエ久野 ※ | 4,162 | 3.8 | |
8 | スターゼン | 3,492 | 3.2 | |
9 | 西本WismettacHD | 1,684 | 1.5 | |
10 | トーホー ※ | 1,552 | 1.4 |