ファミリーレストラン業界の動向、ランキング等を分析

町中にあるファミリーレストラン

ファミリーレストラン業界の動向や現状、ランキングなどを分析しています。ファミレス業界の過去の業界規模の推移をはじめ、ファミレス大手3社の売上高の推移グラフ、直近の2020-2022年の動向や人手不足などの課題について解説しています。

ファミリーレストラン業界(2022-2023年)

ファミリーレストラン業界の推移と基本情報

業界規模

0.8兆円

成長率

-4.1

利益率

-0.3

平均年収

541万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

ファミリーレストラン業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年、2021年と減少しましたが、2022年には増加に転じています。

ファミリーレストラン業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年のファミレス市場は回復基調 各社で不採算店の整理へ

ファミリーレストランは、洋食を中心に和食や中華など品ぞろえが豊富なことから、幅広い層に支持されており、老若男女問わず利用されています。ファミレスで朝食を済ませる消費者も増えており、消費者のライフスタイルが多様化していることがうかがえます。

コロナ前の19年まではファミリーレストランの需要は堅調に推移していました。ここ数年、単身世帯や共働き世帯の利用率は増加し、家事や食事を簡単に早く済ませたい「時短・簡便」ニーズが市場を後押ししていました。また、外食に慣れ親しんだシニア層の利用も目立ちます。世代間の差はなく、全方位的な戦略が功を奏しています。

ファミレス3社の売上高の推移(各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)

グラフによると、すかいらーくHD、サイゼリヤ、ロイヤルHDの3社の売上高は、前年から横ばいで推移しています。2022年の主要ファミリーレストラン企業14社の売上高の合計は前年比18.0%増の8,410億円でした。前年から増加へ転じたものの、コロナ前である2019年比では18.7%減と、業界の規模はこの4年間で約2割縮小しています。

近年のファミレス業界は、需要の獲得のため新規出店や店舗改装を進めてきました。特にファミレス最大手のすかいらーくHDは、 新ブランドの展開で出店余地が拡大、毎年100店ペースの新規出店を目指し、グループ全体で3,258店舗(19年12月時点)まで拡大しました。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。各社は臨時休業や時短営業余を儀なくされ、大きな影響を受けました。

大手ファミレス各社は不採算店の閉店を発表、すかいらーくHDと九州地盤のジョイフルは200店舗、ロイヤルHDは70店舗の閉店を発表しました。帝国データバンクでも、2023年3月期までに1,000店舗越えの閉店を予測しています。

2022年のファミレス業界の動向をみますと、一部店舗では感染症の影響を受けたものの、行動制限の緩和にともない来店客数や売上は回復基調にあります。一方で、食材や光熱費の高騰、ウクライナ危機、円安の進行などの影響で、先行き不透明な状況にあります。

ファミリーレストラン業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 すかいらーくHD 3,037
2 サイゼリヤ 1,442
3 ロイヤルHD 1,040
4 ジョイフル 590
5 SRSホールディングス 545

2022年のファミリーレストラン業界売上高ランキングは、首位がすかいらーくHD、2位がサイゼリヤ、3位がロイヤルHD、ジョイフル、SRS HDと続きます。売上高トップのすかいらーくHDは2位と約1,600億円の差をつけていますが、近年はすかいらーくHDの売上の伸び率が鈍化。一方でサイゼリアは伸びており両社の差は縮まりつつあります

2022-2023年のファミリーレストラン業界の業績は、すかいらーくHDが前年比14.8%増、サイゼリヤが同14.0%増、ロイヤルHDが24.0%増、ジョイフルが26.6%増、SRS HDが27.3%増と5社ともに2ケタ増となりました。2022-2023年は主要企業14社中、13社が前年比プラスを記録しました。

単価上昇のウラで需要は鈍化 客数回復狙うも不安要素も

バランスをとる人

ここ数年のファミリーストラン業界は、客単価が上昇傾向にある一方、需要の伸びに鈍化が見られます。

コロナ禍によって、一層の需要鈍化が課題となったファミレス業界は、相次いで客数回復における対策を講じてきました。一方で、コロナをきっかけに飲食業界ではテイクアウトや宅配の需要が拡大、ファミレス各社も宅配サービスやテイクアウトを強化するなど、幅広い客層の取り込みを図っています。

直近の動向をみますと、2023年5月には新型コロナが5類に移行したことに伴い、ファミレス需要は回復傾向にあります。ただ、円安の進行による輸入食材高騰に加え、物流や光熱費など、コストの高騰で厳しい状況にあり、各社は値上げやメニューの刷新などに取り組んでいます。

すかいらーくHDが展開する「ガスト」では、メニューを改定し2020年から2023年にかけ、主力商品のチーズインハンバーグを含め値上げを数回実施、2023年4月には地域別価格を3つから4つへと分けました。2023年11月には30品目を値下げした一方で、卵や鶏肉を使用したメニューは値上げをしています。

また、同社はミニサイズの商品数を増やし併売率を高め、客単価の向上を図っています。さらに、自社のカニバリを解消し、ガストやバーミヤンを「じゅうじゅうカルビ」、「むさしの森珈琲」「ラ・オハナ」に業態転換、アフターコロナを見据えた業態「八郎そば」や「飲茶テラス 桃菜」も展開し、売上高、来店客数の増加を目指します。

一方「サイゼリヤ」では、値上げをぜずに客単価が上昇しています。一部テイクアウト商品は縮小、無料提供の粉チーズを有料にしました。低価格帯商品が多くトッピングも100円と追加注文しやすい価格で提供しています。「ロイヤルホスト」は、世界各国の料理をロイヤルホスト風にアレンジ、季節の食材を使用したオマール海老や鯛、ホタテなどを用いて付加価値の高いメニューを開発しています。

近年はファミレス各社が相次いで高単価メニューを投入したことにより、一人当たりの単価は上昇しましたが、客数増加という課題は依然として残っていました。コロナ禍で需要が拡大した宅配も経済の正常化で需要は縮小傾向にあります。各社は不採算店を閉店する一方で、新たな立地での出店や業態転換などで、客単価と来店客数のアップを図ります。

人手不足でDXが加速 配膳ロボットやデジタルメニューなどで対策

コスト上昇のイメージ

近年、ファミリーレストラン業界が抱える課題として深刻な人手不足が挙げられます

人口減少や高齢化の進行、失業率の低下などを背景に、ファミリーレストランでは働き手が足りず、各企業は人員確保へと奔走しています。その結果、最低賃金が上昇し、人件費や労務費が著しく増加しています。

これらの状況を踏まえ、大手ファミレスでは、24時間営業の廃止や営業時間短縮、年末年始の営業見直しなど人件費を抑えた業務効率化を進められています。

業界最大手であるすかいらーくHDでは、タブレット型端末を活用したデジタルメニューブックや配膳ロボットを導入、24年上期には全店をセルフレジ化する予定で、省人化を加速させています。一方、2020年1月には全店で24時間営業を廃止しましたが、深夜の飲食需要回復により、2023年1月に24時間営業の復活を検討、同年3月には深夜営業を再開しました。

ロイヤルHD運営の「ロイヤルホスト」では、一部店舗でタブレットオーダー、厨房ではライスロボやグラス洗浄機などを導入し、機械化やIT活用による効率性向上を進めています。サイゼリヤでは、「割れにくい樹脂製食器」を導入し、お客への安全性を高めるほか、従業員の負担軽減や作業効率向上を図っています。一部店舗でQRコードによるセルフオーダーを試験的に始めています。

ファミリーレストラン業界 ランキング&シェア

ファミリーレストラン業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでファミリーレストラン市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

ファミリーレストラン業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 すかいらーくHD 3,037
2 サイゼリヤ 1,442
3 ロイヤルHD 1,040
4 ジョイフル 590
5 SRSホールディングス 545
6 アレフ 428
7 あみやき亭 285
8 安楽亭 285
9 サガミHD 264
10 ブロンコビリー 195

※シェアとはファミリーレストラン業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでファミリーレストラン市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれファミリーレストラン業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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ファミリーレストラン業界 対象企業一覧

すかいらーくHD、サイゼリヤ、ロイヤルHD、ジョイフル、SRSホールディングス、アレフ、あみやき亭、安楽亭、サガミHD、ブロンコビリー、ペッパーフードサービス、フライングガーデン、カルラ、フレンドリーの計14社

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