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グラフは居酒屋業界の業界規模(対象企業の23計)の推移をグラフで表したものです。
居酒屋業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の居酒屋業界の業界規模(主要対象企業23社の売上高の合計)は4,089億円となっています。
居酒屋業界の過去11年間の業界規模の推移
居酒屋業界の過去の推移を見ますと、2015年から2018年ごろまで横ばい、2019年には減少に転じ、2020年には大幅に減少しています。
居酒屋業界の過去の動向を見ますと、2011年ごろまでは、東日本大震災の復興需要に支えられ、緩やかに持ち直しの動きを見せていたものの、欧州債務危機や新興国経済の成長鈍化などにより、景気の先行きが不透明な状況が続いていました。
その後、2012年に入り、円高の是正、株価の上昇など明るい兆しが見え始め、国内景気が回復基調へと転じました。こうした国内の経済動向を受け、居酒屋業界も徐々に回復基調へと好転。消費マインドも改善してきており、明るい兆しが見え始めました。
一方、2015年ごろから居酒屋業界は苦戦を強いられています。若年層のアルコール離れ、働き方改革による残業の減少、消費者の嗜好の多様化などが背景にあります。
そして、2020年に入り居酒屋業界は新型コロナウイルスの影響を直撃。各社、感染予防対策を行うも客足は戻っておらず、不採算店の閉店や業態転換、ランチ営業を行うチェーン店が出始めています。
2020年(2021年3月決算)の大手居酒屋6社の売上高を見ますと、コロワイドは前年比26.5%減、ワタミは同33.1%減、大庄は26.6%減、モンテローザは55.6%減、魚力は4.2%増、鳥貴族HDは23.2%減、DDホールディングスは59.2%の減少でした。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、居酒屋大手は20~50%ほどの減収を記録しています。
新型コロナウイルスが感染する以前から、居酒屋業界は若年層の「アルコール離れ」や「会社帰りの居酒屋需要の低下」など深刻な問題を抱えていました。
国税庁の酒類販売数量の推移を見ますと、酒類売上高は2001年ごろをピークに減少傾向。年代別にみた飲酒習慣率を見ても、50代が42.5%に対し、20代は4.7%(厚生労働省2010年男性データ)とかなり低い傾向に。近年の若者のアルコール離れは顕著となっており、居酒屋業界にとっては深刻な問題になっています。
また、近年ではファミレスやラーメン店でのアルコール類の提供など他業種の居酒屋部門の参入が目立ちます。他業種による「ちょい飲み」需要の競争が激しくなり、各社の収益力の低下につながっています。
また、働き方改革による残業の減少など社会的な変化も居酒屋業界にとっては逆風です。以前のように「仕事帰りにちょっと一杯」といった習慣も薄れ、「家飲み」が流行るなど消費者のライフスタイルの変化もみられます。
各社、不採算店を業態転換するなど様々な試みを行っていますが、本格的な業績の回復には至っていません。
このような状況の中で新型コロナウイルスが拡大。ワタミは65店舗の閉店と新業態の焼肉店や唐揚げ専門店を展開することを発表。また、鳥貴族ではテイクアウトを開始、その他、ランチ営業を始めるチェーン店など、各社様々な取り組みを行っています。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | コロワイド ※ | 617 | 15.1 | |
2 | ワタミ | 608 | 14.9 | |
3 | 大庄 | 448 | 11.0 | |
4 | モンテローザ | 436 | 10.7 | |
5 | 魚力 | 320 | 7.8 | |
6 | 鳥貴族HD | 275 | 6.7 | |
7 | DDホールディングス | 234 | 5.7 | |
8 | ダイナックHD | 196 | 4.8 | |
9 | SFPホールディングス | 174 | 4.3 | |
10 | チムニー | 132 | 3.2 |