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目次
グラフは中食業界の業界規模(対象企業の12計)の推移をグラフで表したものです。
中食業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の中食業界の業界規模(主要対象企業12社の売上高の合計)は4,397億円となっています。
中食業界の過去9年間の業界規模の推移
中食業界の過去の推移を見ますと、2007年から12年にかけては若干の増加傾向。2012年から19年までほぼ横ばいで推移していましたが、2020年には減少に転じています。
中食とは主に店で買って自宅でそのまま食べられる形態の食事を指し、一般にはテイクアウトとも呼ばれています。
近年の中食業界は共働き世帯の増加に伴い、需要は伸長しています。共働きの世帯数は日を追うごとに増えており、2020年の共働き世帯数は1,240万世帯となりました。前年から5万世帯が減少しましたが、依然として高い水準で推移しています。
共働き世帯数の推移(出所:厚生労働省、グラフは業界動向サーチが作成)
共働き世帯の増加を背景に、家事を早く簡単に済ませたい『時短ニーズ』や『簡使・即食ニーズ』が高まっています。このような消費者の動向によりお惣菜やお弁当、おにぎりやホットスナックなど中食に対する需要は底堅いものがあります
中食は、主にロードサイド等で展開する「お弁当系」と、デパ地下を中心に展開する「お惣菜系」に分けられます。お弁当系は『ほっともっと』を展開するプレナス、『オリジン弁当』を展開するオリジン東秀が、お惣菜系では『RF1』を展開するロック・フィールド、柿安本店などが高いシェアを誇ります。
中食 月次売上高の推移(出所:各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
続いて、2020年から2022年までの直近の中食業界の動向を見ていきましょう。上のグラフは主な中食チェーンの月次売上高の推移です。2020年前半は若干の減少が見られますが、2021年から2022年にかけては、ほぼ横ばいで推移しています。
新型コロナの影響で外食が大苦戦する中、中食は外食ほどは影響を受けていないことが分かります。デパ地下や駅地下、ショッピングセンター系に多く出店している「ロック・フィールド」や「築地銀だこ」も2020年は影響を受けましたが、その後回復傾向にあります。
中食市場においては、消費者のライフスタイルの変化を背景に拡大傾向にあります。スーパーやコンビニではこうした中食需要を取り込もうと、お惣菜やお弁当など品揃えを充実させています
一方、専門店各社は独自性を売りにスーパーやコンビニに対抗しています。健康志向や働く女性、若年層に向けた商品開発や店舗展開を行っています。
プレナス展開の『ほっともっと』ではもち麦入りご飯を投入、2018年12月には最新のスチームオーブン調理機を使用する新ブランド「ほっともっとグリル」を展開。また、オリジン東秀は総菜やサラダを強化した「キッチンオリジン」や「オリジンデリカ」を拡大中、2020年6月にはテイクアウト限定のおにぎり専門店「NIGIRO」をオープンしました。
ロック・フィールドは2020年春に野菜研究所を設立し、『緑の30品目サラダ』のブラッシュアップや加熱野菜サラダを提案。柿安本店は自社ブランド『柿安牛』を使用した高級弁当など、老舗ならではのブランド肉の商品拡充を行っています。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出を控える消費者や在宅勤務が増加。オフィス街や百貨店を中心に展開する企業は営業を縮小するなど影響が出ています。
近年、中食市場に参入する企業や飲食店が増加傾向にあります。
2019年の増税に伴い『軽減税率制度』が適用されました。持ち帰り弁当や宅配の税率が8%に据え置かれたことで、テイクアウトや宅配を強化する企業が増加しています。コンビニやファストフードでは、従来の商品に加え、テイクアウト専用メニューの開発も進めています。
一方、スマホやネットで出前のオーダーができる『出前館』や『ウーバーイーツ』の存在も大きくなっています。特に『ウーバーイーツ』では宅配の人員を確保する必要がないことから、大手企業のみならず個人店も市場に参入しており、市場全体のパイは確実に拡大しています。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、自宅で食事をする機会が増えるなか、宅配を利用する消費者も増加。さらに客足が減った飲食店も宅配を始めるなど、新型コロナが宅配需要を後押しするかたちとなっています。
近年の中食業界はスーパーやコンビニ、専門店と競争は激しくなっています。さらにネットオーダー系のデリバリーも加わり、群雄割拠の様相を呈しています。消費者のニーズをうまくくみ取り、いかに魅力ある商品を提供するか、各社の取り組みに期待したいところです。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | プレナス | 1,405 | 32.0 | |
2 | カネ美食品 | 755 | 17.2 | |
3 | ロック・フィールド | 437 | 9.9 | |
4 | オリジン東秀 | 434 | 9.9 | |
5 | ハークスレイ | 351 | 8.0 | |
6 | ホットランド | 287 | 6.5 | |
7 | ライドオン・エクスプレスHD | 253 | 5.8 | |
8 | 吉野家HD ※ | 187 | 4.3 | |
9 | 柿安本店 ※ | 108 | 2.5 | |
10 | ショクブン | 68 | 1.5 |