BEEFBOWL
目次
グラフは牛丼業界の業界規模(対象企業の3計)の推移をグラフで表したものです。
牛丼業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の牛丼業界の業界規模(主要対象企業3社の売上高の合計)は3,939億円となっています。
牛丼業界の過去6年間の業界規模の推移
牛丼業界の過去の業界規模の推移をみますと、2015年から2019年にかけて緩やかな上昇トレンドにありましたが、2020年は減少に転じています。
以下のグラフは、牛丼大手3社の過去6年間の売上高の推移です。2020年のゼンショーHDは前年比1.6%減の2,162億円、吉野家HDは前年比5.4%減の1,046億円、松屋フーズは13.7%減の731億円でした(いずれも牛丼部門の売上高)。
牛丼大手3社の売上高の推移(出所:各社決算資料、グラフは業界動向サーチが作成)
過去の推移をみますと、2020年は3社とも減少に転じましたが、全体としては緩やかな上昇傾向にあることが分かります。売上高の規模としては、ゼンショーが一歩リードしており、吉野家、松屋と続きます。
ゼンショーHDは「すき家」と「なか卯」を展開しています。「すき家」は店舗数日本一の牛丼チェーン店です。ゼンショーは今までM&Aで会社を拡大し、業績を伸ばしてきました。
吉野家HDは、「吉野家」を全国展開しています。吉野家は日本橋の魚市場から発足した創業100年を超える老舗牛丼店です。牛丼や豚丼を中心に展開しています。松屋フーズHDは、「松屋」を展開しています。定食やカレーや丼などメニューが豊富で、季節メニューも人気があります
続いて、2020年から2022年の最新の牛丼業界の動向を見ていきましょう。下のグラフは2020年から2022年の牛丼チェーン3社の既存店売上高の推移です。数字は前年同月比となっています。
牛丼チェーン3社の既存店売上高の推移(出所:各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
牛丼チェーン3社の推移は、新型コロナ感染が始まった2020年2月ごろから大幅に下落し、5月を底に上昇しています。その後、2020年10月をピークに2021年2月まで下落。2021年3月からは再び上昇しているのが分かります。2021年3月以降は前年の減少による増加を考慮する必要があり、月によるバラつきもありますが、全体的には回復傾向にあることが分かります。
2020年の牛丼業界は、新型コロナの影響により巣ごもり需要の恩恵は受けましたが、店内飲食数の減少が響き、トータルでは減収となっています。牛丼は以前から持ち帰りが定着しており、他の飲食業に比べれば傷は軽いですが、各社10~20%ほどの減少を記録しています。
2020年のコロナ禍でも若干の減少で抑えられた牛丼業界ですが、近年の伸びは鈍化傾向にあります。こうした動向を受け、牛丼大手各社は今後の成長を見据え、様々な施策を実行しています。
「すき家」を展開するゼンショーは、中食需要を取り込むために「アプリ」、「WEB」、「電話」の3つ方法での予約注文が可能となっています。とくにアプリは使用時に自動的にクーポンが適用され、最安値になるなど利用の促進に力を入れています。
自動的にクーポンが適用される「すき家」の注文用アプリ
吉野家は、デリバリーや冷凍食品事業を強化しています。吉野家は「ウーバーイーツ」や「出前館」と提携し、18年比で25倍になっているデリバリー事業を強化します。さらに吉野家は、1.6倍に伸びている冷凍食品も強化。公式通販ショップも展開しており、「牛丼の具」など吉野家の味を自宅で食べることができます。
牛丼3位の松屋は、持ち帰り弁当やデリバリーの強化に加え、強みである商品開発に力を入れています。2020年は月に2回ほどのペースで季節限定商品の販売を進めています。
コンビニや中食に加え、コロナにより多くの飲食店がテイクアウトを始めたことから、牛丼業界を取り巻く環境はより厳しいものとなりました。店内飲食の動向も読みにくく、コロナ以前の水準には戻らないとの声もあります。厳しい状況の中、牛丼各社は様々な策を講じており、今後の成長の足掛かりを模索しています。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | ゼンショーHD ※ | 2,162 | 54.9 | |
2 | 吉野家HD ※ | 1,046 | 26.6 | |
3 | 松屋フーズHD ※ | 731 | 18.6 |