焼肉業界のランキングや売上高シェア、動向や現状を研究しています。データは2022-2023年。焼肉業界の過去の市場規模の推移をはじめ、大手5社の売上高の推移、最近の消費者のトレンドや傾向、各社の取り組みと強みなどを詳しく解説しています。
業界規模
0.2兆円
成長率
4.9%
利益率
0.5%
平均年収
496万円
焼肉業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年、2021年と減少していましたが2022年には増加に転じています。
下のグラフは、焼肉大手5社の売上高の推移を示しています。
焼肉大手5社の売上高の推移(出所:各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
2022年の焼肉業界の大手5社の売上高は、物語コーポレーションが前年比26.0%増の922億円、コロワイド(レインズインターナショナル)は同55.4%増の850億円、安楽亭は21.8%増の285億円、あみやき亭は32.6%増の285億円、焼肉酒井は25.7%増の230億円でした。2022年は5社ともに2ケタの伸び率、20~55%の大幅増収となりました。
コロナ禍では大手5社中4社が不振となるなか、3年連続で2ケタの伸び率を見せたのが、「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーションです。コロナ禍でも増収を記録しており、収益が拡大しています。2019年にはコロワイドと肩を並べましたが、コロナ以降は大きく差がついています。
焼肉業界を含む外食市場全体の成長率は鈍化傾向にあります。背景には消費者の強い節約志向、内食および弁当や総菜などの中食市場の拡大、人件費上昇による収益の圧迫などが挙げられます。焼肉業界においても人件費、輸入および国産牛価格や食材の高騰などコスト増加の傾向が続き、各社は業務の効率化やコストダウンなど対策を講じてきました。
このような市況の下、20年には新型コロナによる感染拡大の影響で、外食市場の規模は大きく縮小しました。一方、2022年以降は新型コロナの行動制限が緩和、焼肉業界を含む外食市場全体で需要は回復傾向にあります。その一方で、ウクライナ危機の長期化、円安による輸入食材の高騰、光熱費、輸送費など、あらゆるコストが高騰しており、2023年には各社で値上げに踏み切っています。
焼肉業界においては、『牛角』や『安楽亭』のようなリーズナブルな店舗から、店側で焼いてもらう高級店が展開されています。なかでも近年は『熟成肉』や『希少部位』の人気を背景に、高級志向の焼肉店も増えており、2極化が進んでいると思われます。
一方、食べ放題においては、一昔前までは安さをアピールする傾向にありましたが、ここ数年は肉質の良さや国産牛を扱うなど、食材の良さをアピールする傾向にあります。価格においても3,000円から8,000円代と低価格帯から高価格帯まで幅広く展開されています。なかでも、価格設定が低、中、高の3段階に分けられている食べ放題が増えています。
また、国内展開にとどまらず、海外事業を積極的に展開する企業も増えています。日本式の焼肉を海外に広めようと、牛角や焼肉ライク、物語コーポレーションが海外へ進出。経済成長と共に外食市場が拡大している中国やアジアへの展開を進めています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 物語コーポレーション | 922 | |
2 | コロワイド ※ | 875 | |
3 | 安楽亭 | 285 | |
4 | あみやき亭 | 285 | |
5 | 焼肉坂井HD | 230 |
※は部門売上高。焼肉業界の売上高ランキングを見ますと、首位が物語コーポレーション、2位がコロワイド、3位が安楽亭、あみやき亭、焼肉酒井HDと続きます。「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーションは他の飲食店も展開していますが、焼肉事業が全売上高の53%を占めています。
2022年の焼肉業界は、主要5社が揃って大幅増収を記録しています。一方、コロナ前である2019年比では、物語コーポレーションが59.2%増、安楽亭が86.3%増と、2社のみコロナ前の水準を上回っています。
国内の焼肉店は大手から個人店までと幅広く展開されており、業界環境における競争は激しさを増しています。このような状況から、各社は事業の強化や競合他社との差別化で独自性をアピールし、集客増を図っています。
なかでも近年、注目されているのが物語コーポレーション展開の「焼肉きんぐ」。「焼肉一番カルビ」からテーブルオーダーバイキングに業態転換し、07年の初出店から2023年6月現在で305店舗を出店。食べ放題の価格帯を3つのコースに分け、厚切り肉『きんぐカルビ』を主力商品にしています。好立地な郊外ロードサイドへ積極的に出店するほか、近年は出店余地を広げ都内のビル内でも展開。食べ放題トップブランド確立へ取り組んでいます。
また、物語コーポレーションでは「熟成焼肉 丸源」なども展開するほか、新業態「牛たん大好き 焼肉はっぴぃ」、「焼きたてのかるび」の多店舗展開も進めています。
一方、従来から『牛角』を展開しているレインズインターナショナルでは、食べ放題を強化し「牛角ブッフェ」を展開。ファミリー層をターゲットとし、かっぱ寿司などの他店舗を業態変更して出店を拡大しています。既存モデルに加え、食べ放題専門店やフードコート専門店「牛角食堂」の出店を強化し、時代の変化をとらえた消費者の取り込みを図っています。
低価格路線で展開する「あみやき亭」では、2023年4月に焼肉・ホルモン焼きや焼き鳥専門店を展開する「ニュールック」を完全子会社化、関東地区の営業基盤および商品開発の強化を図ります。一方、安楽亭では2023年4月に食べ放題メニューがリニューアル、約3,000円から8,000円代の低価格から高価格帯と幅広い6つのプランが登場しています。
『肉のファーストフード』がコンセプトの「焼肉ライク」は、一席に1台ずつのロースターと、料理を乗せたトレイがテーブルにピッタリとハマる設計が特徴的な『おひとり様焼肉』を展開しています。さらに、近年は異業種の参入も増え、居酒屋運営のワタミが焼肉店を住宅街や郊外へ展開、居酒屋を「焼肉の和民」に業態転換するなど、業界では競争が激化しています。
焼肉業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで焼肉市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 物語コーポレーション | 922 | ||
2 | コロワイド ※ | 875 | ||
3 | 安楽亭 | 285 | ||
4 | あみやき亭 | 285 | ||
5 | 焼肉坂井HD | 230 |
※コロワイドはレインズインターナショナルの売上高です。シェアとは焼肉業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで焼肉市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ焼肉業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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