ファーストフード業界の動向や現状、ランキングやシェアなどを分析し解説しています。データは2022-2023年。ファーストフード業界の過去の業界規模の推移をはじめ、ファーストフード各社の月次売上高の推移や業界のトレンドなどをご紹介しています。
業界規模
1.3兆円
成長率
5.9%
利益率
3.3%
平均年収
667万円
ファーストフード業界の過去の業界規模の推移を見ますと、増加傾向にあります。
下のグラフは2021年から2023年、直近の2024年10月までの主なファーストフード店の月次売上高の推移です(KFCの月次情報は2024年8月度で更新を終了したため、省略しています。)
ファーストフード 既存店売上高の前年比の推移(各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
2022-2023年のファーストフード業界は、上位10社のうち全社が増収で推移しており、非常に好調な1年でした。2022-2023年はマクドナルド、ゼンショー、松屋、ダスキンが2ケタ増収を記録しています。一方、2024年に入りモスバーガーが100を割り込む月が見られており、2024年は企業の売上高に差が出始めています。
2022-2023年のファーストフード業界は、コロナによる行動制限の緩和によって、外食需要が大きく伸びました。上のグラフの月次動向からもその傾向が読み取れます。一方、円安の進行や原材料費、エネルギー価格の上昇などコスト高騰に伴い、各社で商品価格の改定が行われました。原材料価格の高騰を価格に転嫁する動きが相次いで見られます。
一方で、値上げによる客離れを防ぐため、各社は期間限定や季節商品の販売、平日のランチタイムでは手ごろな価格帯を提供するなど、お手頃感を残しつつ値上げを実施する戦略が見受けられます。
ファーストフードは「調理時間が短く、手軽に食べられる食事の総称」を指しますが、特に明確な定義があるわけではありません。発祥は米国で、日本では1970年代初頭にハンバーガーなどから流行しました。
現在では、比較的安価で提供時間が短く、手軽に食べられるものの総称として捉えられています。業態はFC方式が多く、主要企業の7~8割ほどがFCで運営されています。ファーストフード業界はハンバーガーやチキンなどの『洋風』と丼・麺、カレーなどの『和風』に分類することができます。
ファーストフード業界はもともと、外食業界と中食業界の中間に位置する業界です。店内での飲食もできますし、持ち帰りも可能です。この絶妙なポジションニングから、コロナ禍では他の外食業界よりも落ち込みが軽微で済みました。経済再開が進んだ今では店内飲食が好調に推移しています。
近年のファーストフード業界は、円安や原材料価格の高騰、エネルギーコストや人件費の上昇など厳しい環境が続いていますが、経済再開に伴う個人消費の持ち直しや価格転嫁が進んだことから、好調な業績で推移しています。特にコロナにより進んだモバイルオーダーやデリバリー、業務効率化が業績に寄与しているとも言えます。
ハンバーガー首位の日本マクドナルドHDはデリバリー事業を強化しました。2019年6月に526店舗だったデリバリー対応店を2022年12月には2,200店舗に拡充し、自前の『McDelivery』と『Uber Eats』、『出前館』を併用して対応します。また、2022年には公式アプリをリニューアルし、モバイルオーダーとデリバリーアプリを統合するなど、利便性を高めています。
「モスバーガー」を展開するモスフードサービスもモバイルオーダーやデリバリーを含むテイクアウトの取り組みを強化。モスバーガー初のテイクアウト専門店もオープンしました。また、日本KFC HDもネットオーダーの強化やキャッシュレス決済の拡充、アプリの利用促進などに取り組んでいます。いずれも、デリバリーやネット注文、電子決済など新しい時代に適した施策を展開しています。
ファーストフード業界では、「客単価が他の外食業に比べて低い」という課題があります。2023年に入り原材料やエネルギー価格、物流や梱包費などのコストが高騰、加えて急激な円安の進行などが響き、商品価格の値上げが行われていますが、相次ぐ値上げによる顧客離れの懸念も拭えません。消費者ニーズと企業の課題が相反する状況の中で、いかにうまく舵取りをするか、難しい局面が続きます。
ファーストフード業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでファーストフード市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 日本マクドナルドHD | 3,523 | ||
2 | ゼンショーHD ※ | 2,621 | ||
3 | トリドールHD | 1,883 | ||
4 | 吉野家HD ※ | 1,127 | ||
5 | 松屋フーズHD | 1,065 | ||
6 | 日本KFCホールディングス | 999 | ||
7 | モスフードサービス | 850 | ||
8 | ダスキン ※ | 488 | ||
9 | 壱番屋 | 482 | ||
10 | アークランドサービスHD | 471 |
※ゼンショーHDは牛丼カテゴリー、吉野家HDは吉野家事業、ダスキンはフードグループ事業の売上高です。シェアとはファーストフード業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでファーストフード市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれファーストフード業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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日本マクドナルドHD、ゼンショーHD、トリドールHD、吉野家HD、松屋フーズHD、日本KFCホールディングス、モスフードサービス、ダスキン、壱番屋、アークランドサービスHDの計10社
ファーストフード業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2022-2023年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。ファーストフード業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。
ファーストフード 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | 日本マクドナルドHD | 3,523 | |
2 | ゼンショーHD | 2,621 | |
3 | トリドールHD | 1,883 | |
4 | 吉野家HD | 1,127 | |
5 | 松屋フーズHD | 1,065 |