飲食業界の動向や現状、ランキング&シェア、トレンドなどを分析しています。データは2022-2023年。飲食業界の過去の市場規模の推移をはじめ、現在抱えている問題や課題、各社の取り組みや再編、海外展開の動向などを解説しています。
業界規模
6.0兆円
成長率
0.8%
利益率
-1.14%
平均年収
519万円
飲食業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年に大きく減少しましたが、2022年には回復しています。
2022年の主な飲食サービス企業の売上高は、前年比17.4%増の6兆0,452億円、純利益は前年比同54.7%減の854億円、売上高純利益率は1.4%でした。
飲食企業の売上高と利益率の推移(出所:有価証券報告書公表企業117社の合計、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフによると、売上高は2019年までは増加傾向、2020年は一転して大幅減を記録しました。一方、2022年は増加に転じ、コロナ前の19年比とほぼ同水準にまで回復しています。なお、2022年の利益率は昨年から一転して大幅減、収益性は再び厳しい状況にあります。
近年の飲食業界の動向を振り返りますと、2020年には新型コロナ感染が拡大し、飲食業界は大きな打撃を受けました。臨時休業や時短営業の要請に加え外出自粛が響き、密集しやすい店内飲食型の企業は収益が減少、仕事帰りに寄る居酒屋は特に厳しい状況でした。
飲食各社は『巣ごもり需要』を取り込もうと、テイクアウトや宅配に注力しました。ファミレスやカフェでは持ち帰りメニューや宅配対応店舗を拡充、ステーキや焼肉店でも持ち帰り弁当を開始、居酒屋においてはランチ営業を強化しました。2021年にはコロナ禍からの経済再開の動きから店内飲食への回帰が見られ、昨年に旺盛だった巣ごもり需要は一服しました。
2022-2023年の飲食業界の動向をみますと、行動制限の緩和により飲食店の需要は戻りつつあります。2022年10月以降は訪日外国人が徐々に増え、2023年にはマスクの着用義務が終了し、感染症の位置づけが5類に移行したことを受け、居酒屋への客足の戻りは急回復しています。
近年の飲食業界は、深刻な人手不足に陥っており、人件費が高騰しています。加えて円安の進行、食材価格や物流費などのコスト上昇が利益を圧迫し、値上げに踏み切る企業が相次いでいます。ただ、値上げだけではコスト上昇分を補えない企業も多く、厳しい経営環境に置かれています。
ファスートフードやファミレスでは、安易な値上げは行わずに客単価を引き上げています。季節限定や高級食材の利用、セットメニューやボリューム感のある商品など、高付加価値メニューを強化しています。
一方、居酒屋は若者の居酒屋離れに加え、ファミレスでのちょい飲みや家飲みの影響を受けて苦戦が続き、新業態への転換が進んでいます。カフェ業界は大手フルサービスの星乃珈琲店やコメダが郊外などの空白地へ出店を加速、高単価ながら安定的な人気を誇ります。
ショッピングセンターなどにあるフードコートでは「重食化」が進み、一部の企業ではフードコート内の出店を強化し始めています。今まで未出店だったスシローや柿安などもフードコート型を出店、商業施設によってはフロア面積を拡大し、人気飲食店の誘致を積極的に行っています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | ゼンショーHD | 7,799 | |
2 | 日本マクドナルドHD | 3,523 | |
3 | すかいらーくHD | 3,037 | |
4 | FOOD & LIFE COMPANIES | 2,813 | |
5 | コロワイド | 2,208 |
2022-2023年の飲食業界の売上高ランキングを見ますと、首位はゼンショー、日本マクドナルド、すかいらーく、FOOD&LIFE(スシロー展開)、コロワイドと続きます。
2022-2023年は、主な飲食企業5社ともに増加でした。全体ではコロナ前とほぼ同水準まで回復しています。
2023年-2024年の飲食業界の主なニュースを厳選してまとめました。直近の飲食業界の動向を把握するのにお役立て下さい。
深刻な人手不足や人口減少による市場縮小の懸念など、国内の飲食業界は厳しい状況にあります。そのような市況の下、飲食業界では再編と海外展開が進んでいます。
飲食業界首位のゼンショーはM&Aに積極的で、華屋与兵衛やジョリーパスタを完全子会社化、米国のテイクアウト寿司店経営会社も子会社化しています。また、2023年4月にはファーストフード展開のロッテリアを買収しています 。
ゼンショーは海外で『すき家』を積極展開。中国、タイ、台湾、マレーシアなどの東南アジア、ブラジル、メキシコでも開拓を進め、マレーシアでは世界初となるハラール認証牛丼の提供を行っています。2022年12月末現在、海外店舗数は673店舗を出店しています。
同じく牛丼チェーン店の吉野家は海外で974店舗を展開(2022年12月現在)。1,000店舗の大台が見えてきました。中国を中心にアジアやアメリカで展開しています。その他、『はなまるうどん』や『京樽』も海外へ進出しています。同じく牛丼大手の松屋はアメリカ、中国、台湾で『松のや』と『松屋』を展開しています。
ファミレス首位のすかいらーくHDは台湾で69店舗を出店(2023年12月現在)し、『すかいらーく』や『しゃぶ葉』、『藍屋』などを展開、2020年以降はマレーシアで『しゃぶ葉』を出店しています。回転寿司チェーンにおいては、スシローが韓国、台湾、シンガポール、香港で展開、くら寿司も米国、台湾に続いて中国にも進出、両社ともに海外事業を拡大しています。
焼肉チェーン『牛角』や居酒屋『甘太郎』などを展開するコロワイドは、積極的にM&Aを行い2020年9月に大戸屋を連結子会社化、定食業態の事業強化を図る狙いです。海外では12の国と地域で展開、海外店舗数は395店舗(2023年3月現在)にのぼります。
飲食業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで飲食市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | ゼンショーHD | 7,799 | ||
2 | 日本マクドナルドHD | 3,523 | ||
3 | すかいらーくHD | 3,037 | ||
4 | FOOD & LIFE COMPANIES | 2,813 | ||
5 | コロワイド | 2,208 | ||
6 | トリドールHD | 1,883 | ||
7 | くら寿司 | 1,830 | ||
8 | スターバックス コーヒー ジャパン ※ | 1,738 | ||
9 | 吉野家HD | 1,680 | ||
10 | プレナス | 1,503 |
※スターバックス コーヒー ジャパンは2020年の売上高です。シェアとは飲食業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで飲食市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ飲食業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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ゼンショーHD、日本マクドナルドHD、すかいらーくHD、FOOD & LIFE COMPANIES、コロワイド、トリドールHD、くら寿司、スターバックス コーヒー ジャパン、吉野家HD、プレナス、サイゼリヤ、はま寿司、ドトール・日レスHD、クリエイト・レストランツ・HD、松屋フーズHD、ロイヤルHD、日本KFCホールディングス、王将フードサービス、物語コーポレーション、モスフードサービス、カネ美食品、ワタミ、JFLAホールディングス、カッパ・クリエイト、モンテローザ、ジョイフル、サンマルクHD、元気寿司、SRSホールディングス、ロック・フィールドなどの計117社
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飲食 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | ゼンショーHD | 7,799 | |
2 | 日本マクドナルドHD | 3,523 | |
3 | すかいらーくHD | 3,037 | |
4 | FOOD & LIFE COMPANIES | 2,813 | |
5 | コロワイド | 2,208 |