FOOD
2020年-2021年の食品業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究しています。過去の食品業界の市場規模の推移をはじめ、食品製造業の売上高と利益率の推移グラフ、2020年-2021年のコロナの影響と物価上昇など2022年の最新トレンド、日本の食品メーカーの海外進出の状況などを解説しています。
業界規模
21.1兆円
成長率
-0.1%
利益率
+2.6%
平均年収
621万円
目次
グラフは食品業界の業界規模(対象企業の124計)の推移をグラフで表したものです。
食品業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の食品業界の業界規模(主要対象企業124社の売上高の合計)は21兆1,499億円となっています。
食品業界の過去9年間の業界規模の推移
食品業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年までは緩やかな増加傾向にありましたが、2020年には減少に転じています。
財務省の法人企業統計調査によると、2020年度の食料品製造業の売上高は前年比4.5%減の42兆1,311億円、営業利益率は前年比20.7%減の2.3%でした。
食料品製造の売上高と利益率の推移(出所:財務省、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフによると2018年度までは食品製造業の売上高は横ばい、利益率は増加傾向にありましたが、2018年度から2020年度にかけては売上高、利益率ともに減少傾向にあります。
2020年の食品業界は新型コロナに伴う巣ごもり需要の増加で、即席めんや食パン、調味料やハム・ソーセージなど家庭向け食品が好調に推移しました。一方で、新型コロナの影響により、飲食店向けなど業務用の食品需要は大きく落ち込みました。
2021年の食品業界は急増していた巣ごもり需要は落ち着きを見せ、業務用食品の需要は徐々に上向きになってきました。一方で、2021年の中盤から2022年にかけては、小麦や大豆、食肉などの原材料費の高騰が目立つようになり、食品各社は値上げを余儀なくされました。ここ2年間の食品業界は「巣ごもり需要の増加、巣ごもり一服、物価上昇」というトレンドの移り変わりが見てとれます。
続いて、食品業界の売上高ランキングを見ていきます。
食品業界は売上高数千億から1兆円規模の企業がひしめき合う巨大市場です。業界に属する企業は、上場企業だけでも120社を超えます。首位の明治HDは、明治製菓と明治乳業が統合して発足した持ち株会社で、乳業と菓子を中心に展開しています。2位の日本ハムは食肉の最大手で、食肉をはじめ、ハムやソーセージなどを中心に展開しています。
3位の味の素は調味料首位で、調味料や冷凍食品などを展開しています。海外売上高比率が57%と高いのが特徴です。4位の山崎製パンはパン首位で、国内を中心に食パンや菓子パンを展開しています。2020年はランキング上位10社とも横ばいで推移しました。
続いて、2022年の最新の食品業界のトレンドを見ていきます。直近の食品業界で話題のテーマはやはり、「原材料費や輸送費の上昇」でしょう。
新型コロナの渡航制限に伴う原産国の「労働力の不足」、原油価格高騰による「輸送費の上昇」などを背景に原材料の価格が上昇しています。さらに、2021年から進行している「円安の影響」も原材料費の高騰に拍車をかけています。
パンやパスタ、調味料やハム・ソーセージ、即席麺や冷凍食品、菓子など原材料を加工するあらゆる食品メーカーは材料費高騰の影響を受けます。その影響は甚大でしょう。原材料の高騰によるコストの増加は、食品メーカーの「稼ぐ力」を減退させます。最近の食品メーカーの相次ぐ値上げにはこうした背景があります。
消費者は商品の値段に非常に敏感に反応します。値上げが常態化・長期化すれば、業績に大きな影響を及ぼすでしょう。現在の物価上昇のトレンドは食品メーカーにとって好ましくないものですが、いまだ収束する見通しは立っていません。
日本の人口は長期的に減少傾向にあり、今後、食品業界の緩やかな縮小が予想されます。食品メーカーは市場縮小の穴埋めとして、「高付加価値戦略」と「海外展開」に力を入れています。
近年、多くの食品メーカーは「時短・簡便商品」や「健康志向食品」の開発・販売に注力してきました。いずれも、共働き世帯や高齢世帯の増加といった社会的なニーズを背景としており、従来の食品にない「付加価値」を加えることで、売上と利益の改善を図ってきました。
一方で、海外展開に関しては企業によって状況が異なります。以下のグラフは日本の主な食品メーカーの海外売上高比率を示したものです。
日本の食品メーカーの海外売上高比率(出所:各社決算資料より、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフによると、企業によって海外売上高比率にバラツキがあることが分かります。「キッコーマン」や「味の素」は早くから海外展開を進めてきた経緯があり、他社との差が大きくなっています。一方でグラフにはありませんが、食品大手の「明治HD」や「山崎製パン」は海外売上高比率が10%未満とはるかに低い水準にあります。
人口減少や高齢化、さらには賃金の上昇が見込めない国内市場において、利益を出し続けることはなかなか難しいでしょう。国内市場の縮小を補完する本命はやはり、海外市場の開拓と言わざるを得ません。米国や豪州、アジアなど人口が増加する国は数多くあります。今後、海外進出で出遅れた企業はそれを挽回する動きに出る可能性が考えられます。ここ数年で日本の食品メーカーの海外企業の買収が加速するかもしれません。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | 明治HD | 11,917 | 5.6 | |
2 | 日本ハム | 11,761 | 5.6 | |
3 | 味の素 | 10,714 | 5.1 | |
4 | 山崎製パン | 10,147 | 4.8 | |
5 | マルハニチロ | 8,625 | 4.1 | |
6 | 伊藤ハム米久HD | 8,426 | 4.0 | |
7 | 日清製粉グループ本社 | 6,794 | 3.2 | |
8 | 日本水産 | 6,564 | 3.1 | |
9 | 雪印メグミルク | 6,151 | 2.9 | |
10 | 森永乳業 | 5,835 | 2.8 |