調味料業界の動向や現状、ランキング、シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。過去の調味料業界の市場規模の推移をはじめ、調味料の生産量の推移グラフと売上高ランキング、各社の海外展開や商品開発の動向などをレポートしています。
業界規模
1.7兆円
成長率
3.1%
利益率
4.2%
平均年収
635万円
調味料業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2022年は上昇となっています。
農林水産省の食品産業動態調査によると、2023年のしょうゆの生産量は前年比2.0%減の68.3万kl、みそは同2.2%減の45.78万tでした。
調味料の生産量の推移(出所:農林水産省、グラフは業界動向サーチが作成)
調味料の生産量のグラフをみますと、しょうゆは2年連続で70万klを割り込むなど中長期的に減少傾向。一方みそは17年をピークに減少しており、しょうゆ・みそともに生産量は縮小しています。2023年の調味料の内訳をみますと、しょうゆでは、めんつゆ(ストレート)が前年から17%減、みそでは豆みそが8%減と大きく減少しました。
近年の調味料業界を振り返りますと、20年はコロナ禍による巣ごもり需要により、家庭用の調味料が伸長した反面、業務用は落ち込みました。翌年には家庭用の特需は落ち着き、業務用は足元では回復の動きが見られました。一方、2021年後半以降は、原材料の上昇によって利益を圧迫する状況が続いています。
2022年の調味料業界においては、前年から引き続き原材料価格の高騰が見られ、各社値上げが相次ぎました。国内では内食需要の反動減が見られ家庭用は前年を下回りました。業務用は外食を中心に需要が回復しています。海外市場では欧米やアジアでの販売が好調に推移し、値上や為替の影響に加え、販売数量も伸長し、海外市場が牽引した形となりました。
調味料業界では、値上げによる利益率の向上が期待される一方、物価上昇に伴う消費者の買い控えも懸念されており、先行きに対する不透明感が漂い始めています。
続いて、調味料業界の売上高ランキングを分析していきます。ランキングを見ることで、業界内の勢力関係を見ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 味の素 ※ | 3,797 | |
2 | ミツカングループ | 2,700 | |
3 | キッコーマン ※ | 2,673 | |
4 | カゴメ ※ | 1,379 | |
5 | ハウス食品グループ本社 ※ | 1,149 |
※は調味料関連の部門売上高。2021-2022年の調味料業界売上高ランキングは、1位が味の素、2位がミツカン、キッコーマン、カゴメ、ハウス食品と続きます。味の素はうま味調味料、ミツカンは食酢、キッコーマンは醤油、ハウスはカレールウでいずれも首位のシェアを誇ります。
2022-2023年のランキングでは、調味料上位5社中3社が増収、2社が横ばいとなりました。全体としては増加で推移しています。調味料業界は売上高の増減が小さく、ランキングの入れ替えが少ない傾向があります。
調味料業界の成長率は+3.1%で低い水準にあります。業界規模や生産量の推移を分析しても、近年の頭打ち感は否めません。
国内の調味料業界は、コストアップによる価格転嫁を行い利益を伸ばしていますが、今後、人口の減少に伴い、減退してゆくことが予想されます。こうした動向を受け、調味料メーカー各社は海外展開の加速や付加価値商品の開発推進など様々な手を打っています。
醤油首位のキッコーマンは、海外売上高比率が約75%と調味料業界で最も海外進出が進んでいる会社です。北米を中心に欧州やアジア・オセアニアで展開しています。70%のうち5割ほどが食料品の卸売事業ですが、製造・販売も手掛けています。
キッコーマンは国内向けにも、注力しています。近年では、消費者の健康ニーズの高まりをとらえ、食塩分を66%カットした「超減塩しょうゆ」を発売しています。酸化を防ぐことで鮮度を高める「いつでも新鮮」ボトルを使用することで、さらなる商品の差別化も図っています。
キッコーマンの「超減塩しょうゆ 食塩分66%カット」
調味料首位の味の素は、1909年に世界で初めてうま味調味料を製品化し、早い段階で海外展開を始めました。味の素の2023年現在の海外売上高比率は62%で、売上の半分以上を海外で稼いでいます。アジアを中心に米州、欧州や中東、アフリカで展開。現地のニーズに合わせたメニュー用調味料の拡大に注力しています。
カレールー・香辛料首位のハウス食品は、海外売上高比率が20%ほどとなっています。米国やアジアを中心に展開しています。近年、ハウス食品は話題の調味料「魅惑のハリッサ」、「禁断の黒コショウ」を発売しました。最近伸びているスパイス需要を新たに取り込む構えです。
近年の調味料メーカーで特徴的なのは、「海外進出を強めている」、「商品を差別化している」という点です。国内市場が縮小するにあたり、売上を伸ばすには、新たな市場を開拓するか、消費者ニーズに合った商品の差別化が必要になります。海外の食糧需要は今後も伸びる可能性が高く、消費者ニーズもすべてが発掘されているわけではありません。今後も各社、様々な取り組みが期待されます。
調味料業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで調味料市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 味の素 ※ | 3797 | ||
2 | ミツカングループ | 2700 | ||
3 | キッコーマン ※ | 2673 | ||
4 | カゴメ ※ | 1379 | ||
5 | ハウス食品グループ本社 ※ | 1149 | ||
6 | キユーピー ※ | 1145 | ||
7 | エスビー食品 ※ | 1073 | ||
8 | 永谷園HD ※ | 971 | ||
9 | ケンコーマヨネーズ ※ | 636 | ||
10 | アリアケジャパン | 556 |
※味の素は調味料事業、キッコーマンは国内+海外食料品製造・販売事業、カゴメは加工食品事業、ハウス食品グループ本社は香辛・調味加工食品事業、キユーピーは市販用調味料+業務用調味料事業、エスビー食品は食料品事業、永谷園HDは国内+海外食料品事業、ケンコーマヨネーズは調味料・加工食品事業の売上高です。シェアとは調味料業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで調味料市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ調味料業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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味の素、ミツカングループ、キッコーマン、カゴメ、ハウス食品グループ本社、キユーピー、エスビー食品、永谷園HD、ケンコーマヨネーズ、アリアケジャパン、エバラ食品工業、ダイショー、ブルドックソース、和弘食品、理研ビタミン、ユタカフーズ、焼津水産化学工業、佐藤食品工業、ピエトロ、井村屋グループの計20社
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調味料 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | 味の素 | 3,797 | |
2 | ミツカングループ | 2,700 | |
3 | キッコーマン | 2,673 | |
4 | カゴメ | 1,379 | |
5 | ハウス食品グループ本社 | 1,149 |