SUGAR
目次
グラフは製糖業界の業界規模(対象企業の6計)の推移をグラフで表したものです。
製糖業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の製糖業界の業界規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は2,092億円となっています。
製糖業界の過去7年間の業界規模の推移
製糖業界の動向を解説します。近年の製糖業界の市場規模は、「横ばい」で推移しています。
経済産業省の工業統計調査によると、2019年の精製糖の出荷数量は129.6万トン、出荷金額は1,532億円でした。出荷数量は前年比+21.7%、出荷金額は前年比+2.0%でした。製糖の出荷量、出荷額ともに増加を記録しています。
精製糖の出荷金額と数量の推移(出所:工業統計調査、グラフは業界動向サーチが作成)
最新の2020年の製糖業界の動向は、新型コロナウイルスの影響により、外食の落ち込みや土産菓子などインバウンド減少の影響を受け、業務用ニーズは減少しました。一方で、非常事態宣言の影響により、買い置きニーズなど消費者が家にいる機会が増えたため、家庭用は増加を記録。全体としてはほぼ横ばいを記録しています。
ただし、製糖業界は業務用ニーズの方が多いため、コロナが長期化すれば業績がさらに悪化する可能性はあります。また、家庭用砂糖も買い置きニーズが一巡したことから、長期化した場合の従来のような伸びが期待できない可能性があります。
続いて製糖業界の内訳を見ていきます。製糖業界の2020年の売上高ランキングによると、首位はDM三井製糖HDで874億円、2位が日新製糖、3位が日本甜菜製糖となっています。
売上高ランキングを見ますと、上位3社の売上高が高く、とくに首位のDM三井製糖HDのシェアが高いことが分かります。製糖業界は景気の影響を受けにくく、例年、横ばいが続きますが、2020年は上位4社が減収となっています。
一般的に、製糖(砂糖)の需要は人口に大きく影響します。国内の人口は今後、減少傾向にありますので砂糖の需要も今後、減少してゆくことが予想されます。さらに今日では代替甘味料の増加や、原材料の上昇、消費者のニーズの多様化など課題も山積みとなっています。
こうした動向を見据え、製糖業界では再編の動きが起きはじめました。
2020年10月、三井製糖と大日本明治製糖は経営統合に最終合意。2021年4月に統合し、持ち株会社「DM三井製糖ホールディングス」が発足しました。両社が統合することで、国内基盤の強化や成長分野への人的資源の優位性が確保されます。
さらに同時期に、製糖3位の日本甜菜製糖も三井製糖と資本業務提携をする予定です。2社の売上を合計すると約1,300億円となり、2位の日新製糖と3倍近い開きとなり、三井製糖の基盤がさらに強化されることとなりました。
国内の製糖需要が減少していく中で、製糖メーカーは成長領域の拡大に力を入れています。特に近年では、「健康」に対する需要が高く、これらニーズに合わせた商品開発が進んでいます。
業界首位の三井製糖は、コロナ禍の影響により増えた「家庭内調理ニーズ」に着目。有名料理家とのコラボやSNSを通じたアプローチを展開します。「ととのえオリゴ食物繊維」、「血糖値の上昇を抑えるスローカロリーシュガー」や「嚥下サポート」など健康や高齢者を意識した商品も強化しています。
砂糖と同じ甘さで食物繊維が摂れる三井製糖の「整(ととのえ)オリゴ糖」
業界2位の日新製糖は、腸内環境を良好に保つ「オリゴの王様」を展開。こちらは熱や酸に強いガラクトオリゴ糖を使用しており、紅茶やコーヒーにも使用可能。2020年上半期では前年比5割増と販売が好調です。
市場が縮小してゆく中で、成長する有効な手段は「付加価値の提供」です。とくに日本は今後、高齢化が進むため、「健康」や「高齢」をテーマとした商品は大きく伸びる可能性を秘めています。消費者ニーズを丹念に調査し、的確にアプローチすることができれば、縮小する市場の中で売上を拡大することも可能でしょう。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | DM三井製糖HD ※ | 874 | 41.8 | |
2 | 日新製糖 ※ | 403 | 19.3 | |
3 | 日本甜菜製糖 ※ | 375 | 17.9 | |
4 | 塩水港精糖 ※ | 217 | 10.4 | |
5 | 東洋精糖 ※ | 118 | 5.6 | |
6 | フジ日本精糖 ※ | 105 | 5.0 |