製油業界の動向や現状、ランキングなどを研究

オリーブオイルや食用油

製油業界の動向や現状、ランキング&シェアを分析しています。データは2022-2023年。製油業界の過去の市場規模の推移をはじめ、食用油の生産量の推移グラフや売上高ランキングと各社の関係、最新の製油メーカーの取り組みなどをご紹介しています。

製油業界(2022-2023年)

製油業界の推移と基本情報

業界規模

1.2兆円

成長率

16.4

利益率

2.3

平均年収

732万円

  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

製油業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年までは横ばいで推移していましたが、2021年、2022年と増加に転じています。

製油業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年の食用油の生産量は2.6%減 なたね油が前年から1割縮小へ

農林水産省の油糧生産実績調査(2023年3月23日公表)によると、2022年の食用油の生産量は前年比2.6%減の163.1万トンでした。食用油の内訳を見ますと、なたね油が前年比10.8%減の88.4万トン、大豆油が18.3%増の53.9万トンでした。

食用油の生産量の推移

食用油の生産量の推移(出所:油糧生産実績調査、グラフは業界動向サーチが作成)

食用油の生産量は2020年に若干の減少となりましたが2021年には増加、一方、2022年に入り再び減少に転じました。食用油は「菜種(なたね)」や「大豆」などの植物から搾油・精製してつくられます。近年では「菜種」を原料とする生産が最も多く、大豆、パーム、とうもろこし、ごま、ひまし等が原料として使われます。

2021年の製油業界は、昨年から続く新型コロナウイルスの影響が見られたものの、感染抑制と経済活動の再開により、一部で持ち直しの動きが見られました。とくに製油は原材料高騰を背景とした価格改定により、上位7社中7社が増収を記録しています。2021年は原材料の高騰が追い風となる一年でした。

2022年の製油業界を見ますと、主要原材料価格が前年に比べ上昇、さらに円安の進行から大豆や菜種、パーム油などの価格が高騰しました。一部の観光や外食で回復が遅れたこと、値上げによる節約志向から、業務用、家庭用ともに販売数量は減少、一方で売上高は増収となりました。2022年も原材料の高騰が追い風ではありますが、家庭用は値上げによる買い控えの影響が出ています

大豆や菜種価格は、ロシアのウクライナ侵攻、中国の需要増、バイオマス燃料の増加期待などを背景に上昇基調にあります。2022年の年初から上昇を続けており、高値水準での推移が見られます。今後は世界的なインフレ懸念や金利上昇など不透明要因は数多くありますが、今のところ製油業界には追い風に働いています。

製油業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 日清オイリオグループ 5,565
2 J-オイルミルズ 2,604
3 不二製油グループ本社 2,034
4 昭和産業 1,199
5 ADEKA 825

※は製油部門の売上高。製油業界内の売上高ランキングを見ていきます。2022-2023年の製油業界の売上高ランキングでは、首位が日清オイリオ、2位がJ-オイルミルズ、3位が不二製油でした。製油業界ではこの3社が高い売上高シェアを占めていることが分かり、中でも首位の日清オイリオの売上が高いことが分かります。

国内の製油業界は事実上、この3強体制と言えます。近年、目立った再編は起きておらず、ここ数年は順位の変化も見られません。一方、日清オイリオとJ-オイルミルズは、生産コストの低減を目指し、搾油の共同出資会社の設立を公表しています。

「健康オイル」を各社展開 「高付加価値」商品に注力

様々な食べ物と人

現在、製油業界が抱えている課題として、低い成長率と利益率が挙げられます。2021年の製油業界は増加に転じましたが、今後は人口減少の影響により、市場が縮小してゆく可能性があります。また、利益率が低いことは、今後の成長を妨げる要因にもなります。

こうした課題に対処するため、製油メーカー各社は「高付加価値」商品の育成に取り組んでいます。既存の商品に付加価値を加えることで、売上増と利益率の改善に期待を寄せます。

業界首位の日清オイリオは、健康を意識した層をターゲットに「健康オイル」の販売に力を入れています。中鎖脂肪酸の働きにより脂肪がつきにくい「ヘルシーリセッタ」や血中コレステロールを下げる「こめ油プラス」などの食用油を展開しています。

日清オイリオのMCT商品

日清オイリオのMCT商品ラインナップ

2022年2月日清オイリオは「日清MCTドレッシングソース」の販売を開始。従来から展開している「日清MCTオイル」に加えて、ドレッシングをランナップに追加しました。MCTオイルに含まれている中鎖脂肪酸は、脂肪の代謝を高めることが知られており、健康意識の高い人を中心に注目が集まっています。

業界2位のJ-オイルミルズは、「さらさらキャノーラ油」や「さらさらキャノーラ油健康プラス」などのベーシックオイルを展開。こちらも健康を意識した商品の展開に注力しています。

各社それぞれ、「脂肪がつきやすい」という食用油のイメージを「健康やヘルシー」といったイメージに切り替える戦略をとっています。高齢化が進む国内市場にとって、「健康」を意識した商品は、消費者に受け入れられやすいでしょう。消費者にうまく訴求できれば、大きなヒットにつながる可能性もあります。

製油業界 ランキング&シェア

製油業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで製油市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

製油業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 日清オイリオグループ 5,565
2 J-オイルミルズ 2,604
3 不二製油グループ本社 2,034
4 昭和産業 1,199
5 ADEKA 825
6 ミヨシ油脂 357
7 かどや製油 259

※不二製油グループ本社は植物性油脂事業、昭和産業は油脂食品事業、ADEKA、ミヨシ油脂は食品事業、かどや製油はごま油事業の売上高です。シェアとは製油業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで製油市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ製油業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

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製油業界 対象企業一覧

日清オイリオグループ、J-オイルミルズ、不二製油グループ本社、昭和産業、ADEKA、ミヨシ油脂、かどや製油の計7社

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