農業業界の動向や現状、ランキングなど

農作業をする人たち

農業業界の動向や現状、ランキング、シェアなどを分析・研究しています。データは2022-2023年。農業業界の過去の市場規模の変化をはじめ、農業総産出額の推移、農業を取り巻く環境と大手企業の農業への取り組み、今後の動向などもあわせて解説しています。

農業業界(2022-2023年)

農業業界の推移と基本情報

業界規模

0.2兆円

成長率

1.3

利益率

3.7

平均年収

535万円

  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

農業業界の過去の業界規模の推移を見ますと、ほぼ横ばいで推移しています。

農業業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は国内市場は卸売価格低迷 海外市場は好調に推移

農林水産省(2023年3月、確報公表)によると、2021年の農業総産出額は、前年比1.1%減の8兆8,384億円でした。

農業総産出額の推移(出所:農林水産省、グラフは業界動向サーチが作成)

前年から986億円の減少となり、3年連続で9兆円台を割り込む結果となりました。2021年は畜産の出荷額が過去最高の3.4兆円を越えましたが、主食用のコメやいも類の価格が低下しました。また、野菜は玉ねぎの出荷量が減少し価格が上昇したものの、秋以降に多くの品目で出荷量が増加し前年よりも安値に。一方で、果実は霜や高温の影響や、優良品種への転換が進んだぶどうの価格が高値で取引されたため、出荷額は前年を上回りました。

2022年の農業業界の動向を見ますと、国内市場では天候に恵まれ一年を通して野菜相場が安価で推移しました。きのこ類の販売量は増加した一方で、天候に恵まれ野菜類のきのこのホウレンソウやネギ、人参などの野菜種子が減少しました。海外市場は円安効果も加わり全体的に好調な結果となりました。インフレによって一部地域ではきのこ類の販売に影響がでましたが、玉ねぎやサツマイモ、その他野菜の種子も多くの地域で売上が増加しました。

農業業界を取り巻く環境は、高齢化と後継者不足が問題となっています。農業従業者の平均年齢は68歳と高齢化が進行、加えて就職者は減少傾向にあり、廃業を余儀なくされる農家が増えています。

このような市況の下、農業改革として「農地改正法」が施行され、民間企業が農業ビジネスへの参入が可能となり農業形態に変化が起こりました。法改正後は改正前の約5倍のペースで増加しており、流通大手のイオンやセブン・アンド・アイHDなど、株式会社やNPO法人が続々と参入、2020年12月現在の参入数は3,867社(2022年7月公表)となりました。

担い手不足が問題視される中、企業の参入をきっかけに農業に携わる雇用も増え、若手の就農者数も高い水準で推移しています。49歳以下の若い世代の就職者に加え、女性の起業者数も増加傾向にあります。

さらにTPP発効をきっかけに、今後農業のグローバル化が進みます。業界内の競争は激しさを増すこととなりますが、日本の農産物は安全性と品質の高さでは高い信頼が置かれており輸出額は増加傾向にあります。政府も農林水産物・食品の輸出額において「2025年に2兆円、2030年に5兆円」の目標を掲げています

国内では今後高齢化や人口減少を背景に、食料消費が減少し内需の縮小が見込まれています。一方、世界では新興国の経済成長や人口増加を背景に食料需給は増加していくことが予想されています。

このようなことから、いち早く海外に目を向けた農業関連企業が海外進出を加速させています。サカタのタネは創業時からグローバルに展開し170ヶ国に進出、インドを成長市場としています。きのこ類の生産を主としているホクトでは、米国、欧州、台湾で展開し、なかでも東南アジアへの進出に注力しています。

一方、苗木を得意とするベルグースは中国に進出し、種苗から農産物の生産を進めていましたが、2021年10月期より中国国内での苗木生産販売事業を中断、2023年10月期より主力の肥料事業も撤退を発表しています。

農業業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 サカタのタネ 772
2 ホクト 729
3 カネコ種苗 621
4 アクシーズ 241
5 カゴメ 95

※は農業関連の部門売上高。2022年の農業業界売上高ランキングを見ますと、首位がサカタノタネ、2位がホクト、3位がカネコ種苗、アクシーズ、カゴメと続きます。種苗で首位級のサカタのタネはブロッコリーの世界シェアが6割、世界170ヶ国に展開しており、海外売上高比率は73%を占めています

2022年の農業大手3社の業績は、サカタのタネが前年比5.8%増、ホクトが同2.8%増、カネコ種苗が2.5%増と、3社中1社が増加、2社が横ばいで推移しました。

2022-23年の農業業界のニュース

2022-2023年の農業業界の主なニュースを厳選して掲載しています。直近の農業業界の動向や現状を把握するのにお役立て下さい。

『スマート農業』で省人化 AIやICT、ロボット普及に期待

スマートフォンとクラウドと農業

農業業界においては、農業ビジネスに着手する企業が増加すると共に、若手や女性の就労数も増える一方、労働力不足の解消には至らず依然として農業業界は厳しい状況に置かれています。中には黒字化の目途が立たず、撤退を余儀なくされる企業も現れており、農業ビジネスの難しさがうかがえます。

そのような市況の中、近年注目されているのが『スマート農業』です。『スマート農業』とは、AIやICT、ロボットやドローンなど、最先端技術を活用した新たな農業のことで、いち早く取り組んできた海外では『スマートアグリ』や『アグリテック』などと呼んでいます。

最先端技術を取り入れたスマート農業では、人手が足りない現場での自動化や省人化を図り、作業の効率化を進めます。ビックデータやロボット用いて、作物の生育状況や収穫時期の確認、品質管理、また自動で作物の収穫や接ぎ木をも可能にしています。

さらには、経験やカンを頼りにしていた技術をデータ化することで、新規就労者や後継者への農業技術の継承、高い技術力を必要とする高付加価値の作物作りにも活用することができるため、大手のみならずベンチャー企業、研究機関などが開発に携わっています。

農林水産省では、労働力不足の解消へと「スマート農業実証プロジェクト」を全国で展開、農業でのスマート化を促進しています。そして、次世代通信規格の5Gの普及によって、今後ドローンや無人農機、収穫ロボットの活用が期待されています。

JAグループでは、生産性の向上を図りICT技術を活用。JAグループの農園管理システム「Z-GIS」は情報をインターネットの電子地図と関連付け、利用状況や栽培環境を管理、スマホやパソコン上での確認が可能となっています。また、2021年秋よりNTT東日本とともにスマートデバイスを活用した、リアルタイム遠隔栽培指導の実証実験を開始しました。

野菜の接ぎ木苗の生産量が日本一のベルグアースでは、育苗分野のシステム化を積極的に取り組んでいます。いち早く「育苗生産システム」を導入し、web在庫公開「ほうさくネット」、在庫管理、農薬履歴島のシステムネットワークを開発しました。2021年から2023年の中期経営目標では、AI技術を用いた生産ロボット開発を掲げています。

農業業界 ランキング&シェア

農業業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで農業市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

農業業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 サカタのタネ 772
2 ホクト 729
3 カネコ種苗 621
4 アクシーズ 241
5 カゴメ 95
6 秋川牧園 70
7 ベルグアース 63
8 農業総合研究所 51
9 大田花き 42
10 ホーブ 24

※カゴメは農事業の売上高です。シェアとは農業業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで農業市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ農業業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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農業業界 対象企業一覧

サカタのタネ、ホクト、カネコ種苗、アクシーズ、カゴメ、秋川牧園、ベルグアース、農業総合研究所、大田花き、ホーブの計10社

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