種苗業界の動向や現状、ランキングなど

植物の種と生育

種苗業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。種苗業界の過去の市場規模の推移をはじめ、種苗大手3社の売上高のグラフ、2021年の状況と売上高ランキング、世界の動向と今後に向けての各社の取り組みなどを解説します。

種苗業界(2022-2023年)

種苗業界の推移と基本情報

業界規模

0.1兆円

成長率

4.1

利益率

5.7

平均年収

519万円

  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

種苗業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年から2022年まで緩やかな増加傾向にあります。

種苗業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は海外事業が好調 円安による追い風も

以下のグラフは種苗大手3社の売上高の推移をあらわしたものです。

種苗大手3社の売上高の推移

種苗会社3社の売上高の推移(出所:各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)

種苗大手3社の2022年の売上高の推移をみますと、サカタのタネは前年比5.8%増の772億円、カネコ種苗は2.5%増の621億円、タキイ種苗は2.6%増の517億円でした。2022年はサカタのタネが上昇し、カネコ種苗とタキイ種苗は横ばいで推移しました。2022年は業界全体では「微増」で推移しています。

2022年の種苗業界は、国内市場は減少となるものの海外事業の売上増が業績をけん引しました。種苗首位のサカタのタネは国内事業の売上高が-4.0%だったのに対し、海外事業は+8.1%の増加となっています。北中米や欧州、中近東での増加がみられ、円安による追い風もありました。

2022年の品目別でみますと、野菜種子と花種子が伸びました。ブロッコリー、ニンジン、唐辛子類、カボチャ、レタス、ホウレンソウ、トルコギキョウなどが好調に売れています。

種苗(しゅびょう)とは、花や野菜のタネと苗のことです。種苗会社は花や野菜のタネや苗を生産し、販売します。野菜一つとっても様々な品種があり、季節や地域によって扱う品種が異なります。業界最大手のサカタのタネでは、花で100品目1,500品種、野菜で40品目400品種ものタネを扱います。

世界の種苗市場は約90億ドルと推定(サカタのタネIRより)おり、トマトや唐辛子などの「果菜類」が市場全体の40~50%を占めるとされています。種苗会社は国内および海外で、毎年数十もの新しい品種を発表します。各地域の気候や消費の動向をとらえ、発芽に優れた病気に強い種苗の開発を進めています。

種苗業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 サカタのタネ 772
2 カネコ種苗 621
3 タキイ種苗 517
4 ベルグアース 50
5 ホーブ 1

※は種苗関連の部門売上高。種苗業界のランキングをみますと、サカタのタネ、カネコ種苗、タキイ種苗の3社の売上高が高いことが分かります。種苗業界の動向を分析するうえで、この3社の動向を注視する必要があります。

2021-2022年の売上高は上位5社中2社が上昇、3社が横ばいとなりました。

世界的な食糧不足も追い風か 各社、様々な戦略を展開

矢印と先を見る様子

世界的なインフレ懸念やウクライナ危機など、食糧および種苗業界を取り巻くビジネス環境は大きく変わりました。パラダイムシフトは徐々に起こり始めています。

今後は世界的な人口の増加、新興国の経済発展、農業大国であるロシア・ウクライナ紛争、相次ぐ異常気象の影響により、世界的な食糧不足が問題となっています。これらの影響は非常に大きく、種苗業界の担う社会的な役割は大きいと言えます。こうした大きな世界の変化を受け、各社とも様々な戦略を展開しています。

業界首位のサカタのタネは花、野菜のタネを170ヵ国以上に販売しています。海外売上高比率は約7割にのぼり、国内の売上よりも海外の売上のほうが大きくなっています。研究拠点も世界で14ヶ所展開しており、ブロッコリーは世界シェアが約65%を占めます。

サカタのタネの地域別 売上高

サカタのタネの地域別 売上高(出所;有価証券報告書、グラフは業界動向サーチが作成)

サカタのタネは世界的な食糧受給が変化した市場を好機ととらえ、成長市場であるアジアに注力し、成熟市場である欧米は健康需要を取り込む狙いです。果菜類(トマト、ナス、ピーマン、キュウリなど)の市場開拓をはかるとともに、新興国を中心にヒマワリのシェアを拡大する予定です。

同社は、世界の作付け面積が50年で20倍に増えたブロッコリーに注力しており、消費量が低いアジア、アフリカ諸国への開拓を強化しています。

カネコ種苗は、販売ルートを確立したアフリカや南米市場での販売強化とゲノム編集技術の可能性を探求します。ベルグアースはワクチン接種苗の可能性を模索します。ワクチン接種苗は農薬、高耐病性品種に次ぐ第3の選択肢として注目され、伸長しているキュウリを軸に他の品目への展開も拡げてゆく予定です。

種苗業界はコロナによる影響をさほど受けておらず、底堅い業績で推移しています。今後も食料への需要は尽きることがないため、安定した業績を残してゆくでしょう。今後、世界的な食糧需要のひっ迫が起きれば、大きな飛躍の可能性もあります。

種苗業界 ランキング&シェア

種苗業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで種苗市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

種苗業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 サカタのタネ 772
2 カネコ種苗 621
3 タキイ種苗 517
4 ベルグアース 50
5 ホーブ 0.9

※ベルグアースは野菜苗生産販売事業、ホーブは種苗事業の売上高です。シェアとは種苗業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで種苗市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ種苗業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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種苗業界 対象企業一覧

サカタのタネ、カネコ種苗、タキイ種苗、ベルグアース、ホーブの計5社

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