コンビニ業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを解説しています。データは2021-2022年。対象企業の過去の業績を追うことでコンビニ業界全体の現状や動向、傾向を知ることができます。
業界規模
7.6兆円
成長率
15.4%
利益率
2.2%
平均年収
596万円
コンビニ業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2018年までは上昇傾向でしたが、一転して2020年まで下落、2021年に入り大幅増に転じています。※2021年の大幅増加はセブン&アイ・HDの米スピードウェイ社買収による売上高の積み増しに起因するところがあります。ご注意下さい。
経済産業省の「商業動態統計(2023年2月15日公表)」によると、2022年のコンビニエンスストアの販売額は前年比3.7%増の12兆1,996億円、店舗数は同0.2%減の5万6,232万店舗でした。
コンビニエンスストアの販売額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
コンビニの販売額と店舗数は、2011年から2019年まで上昇傾向でしたが、2020年に過去10年で初めて減少に転じています。一方、2021年以降は販売額は小幅に増加するものの、店舗数が微減となっています。2022年の販売額は4,396億円の増加、店舗数は120店舗の減少と前年からほぼ横ばいで推移し、売上高、店舗数ともに成長率が鈍化しています。
2021-2022年のコンビニ業界は、2020年の新型コロナウイルスによる行動制限の反動で、需要は回復傾向にあります。既存店売上高は増加、客単価も上昇しており、大手コンビニの客単価は前年から約2.0%ほどの伸びが見られました。 一方、感染再拡大の影響も受けており客足の鈍さが見られました。
コンビニ業界の好調を牽引してきたのが「店舗数の増加」です。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は店舗数の増加に伴い、市場を拡大してきました。ところが近年、3社とも今後は不採算店舗の整理と既存店の売上アップに戦略をシフトする構えです。
このような市況のもと、2020年以降は新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークが増加しました。この影響からオフィス街の店舗売上は減少、住宅街にあるコンビニの利用は増えるなど、利用者の行動が大きく変化しています。こうした状況から、各社は収益確保へ新たな取り組みを始めています。
セブンイレブンでは、単価の維持や上昇、新たな顧客獲得のため100円ショップのダイソー商品を導入、また各店舗のニーズに合わせ、商品構成やレイアウをト変更しています。さらに、最短30分で届けるデリバリーサービス「7NOW(ネットコンビニ)」の展開を加速、24年度をメドに全店で展開予定です。
ファミリーマートでは、無人決済店舗やデジタルサイネージ、ファミペイなど、金融やデジタル広告などの新ビジネスで収益化を加速させています。収益をコンビニ事業へ投資し事業強化を図ります。ローソンでは冷凍食品の品揃えと認知度の拡大、店内厨房の導入店舗を推進。調剤併設や日用品を取り扱うヘルスケア強化型店舗も展開し始めています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | セブン&アイ・HD ※ | 60,632 | |
2 | ローソン | 6,983 | |
3 | ファミリーマート | 4,514 | |
4 | ミニストップ | 1,836 | |
5 | JR東日本クロスステーション | 1,356 |
※は国内+海外コンビニ事業の売上高。2021年のコンビニ業界売上高ランキングは、セブン&アイ・HDが圧倒的な首位です。セブンイレブン展開のセブン&アイ・HDは2021年5月に米国の大手コンビニを買収、全売上高のうち海外売上高比率は59%を占めます。
2021-2022年のコンビニ大手3社の業績を見ますと、減少が1社、増加または横ばいが2社でした。なかでもセブン&アイ・HDは、海外コンビニ事業が好調で大幅増を記録しました。一方、3社ともに国内コンビニ事業は、コロナ前の水準には届いていない状況です。
続いて、2020年から2022年半ばにかけての直近のコンビニ業界の動向を見ていきましょう。
以下のグラフは、2021年1月から2023年3月までのコンビニ大手3社の月次売上高の推移です。数字は前年同月比の比較となっています。
コンビニ大手3社の既存店売上高の推移(出所:各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、2021年から2023年にかけて緩やかな増加傾向にあります。22年後半から23年にかけては基準の100を上回る状態が続いています。
コロナ禍の小売業では、スーパーやドラッグストアが好調な推移を見せており、コンビニは出遅れていましたが、直近の動向を見ますと、経済再開の動きに合わせて回復傾向にあることが分かります。
2022-2023年のコンビニ業界の主なニュースを抜粋してみました。直近のコンビニ業界の動向を把握するのにお役立て下さい。
拡大を続けてきたコンビニ業界ですが、国内のコンビニ数は飽和状態にあります。
国内のコンビニ店舗数は約56,352店(2021年12月末時点)。都市部ではすでに飽和状態にあり、新規出店の余地が少なくなっています。そこで、コンビニ各社は海外展開を加速しています。
業界首位のセブンイレブンは、2021年5月に米国の大手コンビニ「スピードウェイ」を約2.3兆円で買収、現地では差別化を図りフレッシュフードやPB商品を強化し、売上を伸ばしています。北米店舗数は13,204店舗(2022年3月末現在)にまで拡大しました。
セブン&アイ・HDの「北米コンビニエンスストア」
また、2021年10月にはインドとイスラエルにも進出。その他、タイで13,134店舗、韓国で11,173店舗、台湾で6,379店舗を展開(2021年12月末現在)。ほかに中国、マレーシア、フィリピンなど世界で18の地域に進出、また、22年をメドにラオス進出を発表しています。
業界2位のファミリーマートは韓国からの撤退を決め、2020年月にはタイ事業をライセンス化。そのほか台湾、中国、タイなど東南アジアを中心にすでに約8,354店舗を展開(2022年2月現在)。業界3位のローソンは中国を成長事業と位置づけ4,560店舗を展開、タイでは166店舗(2022年2月末現在)を展開しています。東南アジアや中国を中心に進出し、海外では4,862店舗を展開しています。
国内市場が飽和する中、北米地域、経済成長が期待される東南アジアを中心に出店が加速するものと見られ、コンビニ各社の世界への動向にも注目が集まります。
コンビニ業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでコンビニ市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | セブン&アイ・HD ※1 | 60,632 | ||
2 | ローソン | 6,983 | ||
3 | ファミリーマート | 4,514 | ||
4 | ミニストップ | 1,836 | ||
5 | JR東日本クロスステーション ※2 | 1,356 | ||
6 | 山崎製パン ※1 | 594 | ||
7 | ポプラ | 136 | ||
8 | スリーエフ | 122 | ||
9 | セコマ | 84 |
※1セブン&アイ・HDは国内コンビニ+海外コンビニ事業、山崎製パンは流通事業の売上高です。※2JR東日本クロスステーションは2020年の売上高です。シェアとはコンビニ業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでコンビニ市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれコンビニ業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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