コンビニ業界の今後の行方と将来の展望をご紹介します。「コンビニ業界は今後どうなるのか?」、「そもそも将来性はあるのか?」など多くの方が興味を持っているのではないでしょうか。この記事ではコンビニ業界の今後の見通しを考えられるシナリオでご紹介していきます。
コンビニ業界の今後の見通しについて、重要なポイントを以下の3つの論点にまとめました
コンビニ業界の今後を見通すにあたり、まずは業界に最も影響を与える要素を理解する必要があります。それはズバリ、「新規出店数」です。コンビニはフランチャイズ方式をとっており、基本的に店舗数が増えるほど、本部の売上が増える仕組みになっています。
国内のコンビニの店舗数は2018年から2019年くらいをピークに頭打ちになっています。2020年の国内のコンビニの店舗数は約55,000店で2019年の58,000店から減少となりました。2020年は新型コロナの影響による閉店があったとはいえ、新規出店数は明らかに鈍化しています。
今後、国内は人口の減少が加速するため、新規出店の余地は非常に少ないと考えられます。こうした危機感から、各社は新規出店から「客単価の向上」へと戦略をシフトしています。2020年にはこうした戦略も奏功し、客単価の上昇が見られましたが、2021年にはその勢いは鈍化してしまいました。
客単価の上昇は景気や所得、天候などに左右されるため難しく、まだまだ苦労しそうな印象を受けます。新規出店の鈍化をカバーするにはいまだ至っていません。
新規出店も頭打ちで、客単価の上昇も苦戦しているとなると、今後のコンビニ業界はやはり厳しいものになるのでしょうか。実はこうした状況を見据え、コンビニ各社は海外事業を水面下で強化してきました。
コンビニ首位のセブン&アイ・HDは北米を中心に海外でコンビニ事業を展開しています。2021年2月期決算によると、セブン&アイの海外コンビニ事業は2兆1,893億円で国内の9,195億円をはるかに上回ります。海外セブンイレブンが国内の2倍超の売上高とは驚きですね。
セブン&アイ・HDの決算によると、海外のコンビニ事業は好調で、国内コンビニを大きくカバーする構図となっています。コロナ禍での立ち直りも早く、2022年1月時点では買上点数、商品単価すべてでコロナ前の2019年の水準を上回っています。
海外進出で遅れをとるローソンも近年、中国事業を強化しています。2021年9月には中国での店舗数が4,000店を突破(中国国内で5位)し、2025年には10,000店舗の出店を目標に掲げています。
米国やアジアは今後も人口や所得の増加が見込めるため、成長の余地はまだあると言えます。今後は国内事業の鈍化を、海外事業で支えるという構図がメインになることが予想されます。
コンビニ業界の今後を占ううえで、重要なポイントが「人の流れ」です。これは当然といえば当然の話なのですが、コンビニはスーパーやドラッグストアなど他の小売業と比較しても、「人の流れ」の影響を受けやすい業界です。
コンビニはオフィスや都市部、観光地、ロードサイドなど「人の流れ」が活発な時期や場所で需要は高まります。実際に、訪日外国人が多くいたコロナ前の2019年は業績は好調でしたが、コロナにより「人の流れ」が滞った2020年は業績が悪化しています。
今後のコロナの行方は誰にも分かりませんが、コロナの収束や長期化はコンビニ業界の今後の業績を見通すうえでも、重要な要素となります。
今後、国内のコンビニは新規出店の頭打ちに伴い、成長の鈍化が懸念されています。一方で、海外市場では北米やアジアを中心に人口の増加や所得の向上が見込まれており、それに伴う新規出店の余地がうかがえます。成長のポテンシャルは海外のほうが圧倒的にあると言わざるを得ないでしょう。
国内においても、コンビニ各社は店舗の大幅改装や「ラストワンマイル戦略」など既存店の業績向上に向けた施策を次々と投入しています。一方で、客単価や店単価の向上は様々な要因が作用するため、なかなか一筋縄ではいきません。コロナにより、今後の人の流れがどうなるかは分かりませんが、当面は、鈍化する国内の売上をいかに海外でカバーできるかが一つの焦点となりそうです。