水産卸業界の動向や現状、ランキングを研究

水産仲買人と魚

水産卸業界の動向や現状、ランキング&シェアなどをご紹介します。データは2022-2023年。水産卸業界の過去の市場規模の推移をはじめ、大手水産卸5社の売上高の推移グラフと各社の取り組みなどをご紹介しています。

水産卸業界(2022-2023年)

水産卸業界の推移と基本情報

業界規模

1.0兆円

成長率

-3.1

利益率

0.9

平均年収

616万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

水産卸業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年から2021年までは下落傾向にありましたが、2022年には増加に転じています。

水産卸業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年は外食や旅館など業務用が回復へ 仕入価格が上昇

下のグラフは、水産卸大手5社の売上高の推移を示したものです。

水産卸大手5社の売上高の推移

水産卸大手5社の売上高の推移(出所:各社決算資料、グラフは業界動向サーチが作成)

2022年のOUG HDの売上高は、前年比8.9%増の3,250億円、マルイチ産商は3.5%増の2,467億円、中央魚類は12.8%増の1,374億円、大水は10.9%増の984億円、東都水産は18.7%増の963億円でした。

OUQ HDは横ばい、マルイチ産商が直近でわずかに売上高を伸ばしていますが、全体としては減少傾向にあります。売上高の規模としては、OUGホールディングスが一歩リードしています。

2021年の水産卸業界は、昨年に続き巣ごもり消費による「内食」需要の高まりはあったものの、飲食店や宿泊、インバウンド向けの「外食」需要が減少し、全体としてはマイナスとなっています。寿司店や旅館・ホテルなどの需要が減ったことから、高級魚を中心とした価格の下落が目立ちました。2021年後半からは経済再開の動きが見られ、業務用需要も回復に向かっていますが、先行き不透明な状況は続いています。

2022年の水産卸業界の動向を見ますと、経済活動の再開により外食や宿泊、インバウンド向けなどの業務用が徐々に回復、輸出向けにおいても需要が拡大しました。また、物価高の影響を受け仕入価格が上昇、販売単価が上昇したことで売上高が伸長しました。一方、消費者の生活防衛意識が高まっており、店頭での販売状況に厳しさが見られています。

水産卸業とは水産物を全国各地から集荷し、分荷する事業です。卸売市場や卸売業者が担います。水産物はその時の天候や状況によって漁獲量が異なり、市場価格や需給バランスが刻々と変化します。このような状況のなかで、プロの卸売業者がセリを通して適正な価格を提供し、水産物の円滑な流通を実現させます。

水産卸業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 OUGホールディングス 3,250
2 マルイチ産商 2,467
3 中央魚類 1,374
4 大水 984
5 東都水産 963

水産卸業界のランキングを見ますと、OUGホールディングス、マルイチ産商、中央魚類、大水、東都水産、大都魚類の売上高が高いことが分かります。水産卸業界は成熟業界なので、ここ数年ランキングの激しい変動は見られません。

2022-2023年は、上位の水産卸会社5社中4社が増収となり、昨年の落込みから回復傾向にあります。

卸売市場の取引は減少傾向 水産卸を取り巻く環境は厳しい

グラフを分析している人

近年は、産地との直接取引や直売所、ネット販売などが増えたことにより、卸売市場を経由しない取引が増加しています。

卸売市場を経由した水産物の割合は、40年で85.5%から46.5%まで低下しました。卸売市場や卸売業者の数も40年前に比べて3~4割減少しています。以下のグラフは豊洲市場の取扱数量と金額のグラフです。取扱数量は長期的に減少傾向、金額は2021年と2022年に上昇に転じています。ただし、長期的には横ばいで推移しています。

豊洲市場の取扱数量と金額の推移

豊洲市場の取扱数量と金額の推移(出所:東京都中央卸売市場、グラフは業界動向サーチが作成)

魚介類の消費量や生産量も40年前に比べて3分の1にまで減少しました。これにコロナウイルスの感染拡大も加わり、水産卸売業界を取り巻く環境は大変厳しいものになっています。こうした動向を受け、水産卸各社は様々な対策を講じています。

大阪市中央卸売市場の水産卸大手のOUGホールディングスは、コロナで落ち込んだ需要を取り戻すため、市場外取引を強化。独自ルートにより量販店や外食などに販売網を拡げます。長野県を地盤とする水産卸大手のマルイチ産商は、業務の効率化と基幹システムの刷新を行い、水産流通の近代化を進めます。

水産卸大手の東都水産は麻生グループとの資本業務提携を発表。共同で魚の自動選別装置や商品管理自動化システムなどの開発で提携します。

2022年の水産卸業界は、落ち込んでいた業務向けが徐々に回復し、最悪期を抜けた感はありますが、いまだに予断を許さない状況にあります。国内では不漁や魚離れによる需要の縮小、加えて消費者の節約意識が高まっており、本格的な回復にはしばらく時間がかかりそうです。

水産卸業界 ランキング&シェア

水産卸業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで水産卸市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

水産卸業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 OUGホールディングス 3,250
2 マルイチ産商 2,467
3 中央魚類 1,374
4 大水 984
5 東都水産 963
6 築地魚市場 579
7 横浜丸魚 406
8 中部水産 359
9 横浜魚類 210

※シェアとは水産卸業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで水産卸市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ水産卸業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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水産卸業界 対象企業一覧

OUGホールディングス、マルイチ産商、中央魚類、大水、東都水産、築地魚市場、横浜丸魚、中部水産、横浜魚類の計9社

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