半導体商社業界の動向や現状、ランキングなどを分析しています。半導体商社業界の過去の業界規模の推移をはじめ、
業界規模
4.5兆円
成長率
13.6%
利益率
2.6%
平均年収
818万円
半導体商社業界の過去の業界規模の推移を見ますと、直近は強い増加傾向にあります。
下のグラフは、半導体商社大手4社の売上高の推移をあらわしたものです。
半導体商社大手4社の売上高の推移(各社公表資料、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、2022年までの売上高の動きは各社で異なりますが、全体的には増加傾向です。2022年はレスターHDを除く3社が2ケタ増を記録しました。なかでも、マクニカHDの売上高は大きく、一歩リードをしています。
2022年から2023年の半導体商社の動向を見ますと、半導体の供給不足が続くなか、一部製品においては需要に減速感が見られた年でした。FAや工業用ロボットの需要増加、EV化による半導体搭載量の増加にともない、産業市場、車載市場ともに需要は好調でした。一方、パソコンやスマートフォン向けにおいては、特需の反動減が見られています。また、車載向けなど一部製品の供給不足に対しては、独立系商社が多方面から商品を確保するなど、独立系の強みが活かされました。
半導体商社は、半導体製品を取り扱う卸売業者で、主に『半導体メーカーの系列系』と『独立系』に分かれます。系列系商社は、系列の半導体メーカーの製品のみを扱い、独立系は国内外の多様な企業と取引できるため、様々な製品を扱うことができます。
半導体商社は半導体メーカーから製品を仕入れ、半導体製品を使用する顧客へ販売します。また、顧客も半導体に詳しい商社と契約することで、他社製品の比較や検討、交渉などの複雑な手続きを商社が代行してくれるため、効率よく複数のメーカーから製品を購入することができます。その他、半導体商社は独自商品の開発やメーカーの生産受託なども行っています。
※は半導体卸関連の部門売上高。2022年の半導体商社の売上高ランキングを見ますと、1位がマクニカHD、2位が加賀電子、3位がトーメンデバイス、レスターHD、リョーサンと続きます。首位のマクニカHDは、独立系の半導体商社です。海外の最先端製品を仕入れ国内外の顧客へ販売しており、売上高の約90%が集積回路及び電子デバイス事業が占めます。
2022年から2023年の主な半導体商社の業績を見ますと、マクニカHDが前年比36.9%増、加賀電子が同24.3%増、トーメンデバイスが9.8%減、レスターHDが17.9%増でした。また主要企業23社中20社が前年から増加、うち19社が2ケタ増を記録するなど、2022年も前年から引き続き半導体商社にとって堅調な一年であったことが伺えます。
半導体メーカーの業界再編が進んだことを受け、半導体商社業界も再編に動きました。
統合する半導体メーカーが異なる商社と契約してた場合、統合後も同じ商社と契約が続くとは限りません。こうした状況から、半導体商社も同業他社や他業種、海外企業を買収し、競争力を高めようと業界再編に乗り出しました。
マクニカHDは、15年に富士エレクトロニクスと経営統合し、共同持株会社「マクニカ・富士エレクトロニクス」を設立。その後2020年10月に富士エレクトロニクスを吸収合併しています。
また同社は、17年から2020年にかけて完全子会社の吸収合併や台湾企業の子会社化、シンガポール企業を買収してきました。直近の動向では2023年3月、中東で急成長中のCyberKnight社との買収で合意するなど、国内の半導体事業やセキュリティー事業の再編を行っています。
また、加賀電子はUKC HDの経営統合は中止となりましたが、19年に富士通エレクトロニクスを子会社化しました。一方、UKC HDは19年にバイテックHDと経営統合し「レスターHD」を発足。その後も半導体事業を手掛けるPALTECを2021年に子会社化、2022年1月には決済端末を手掛けるカードサービスを子会社化しています。
2022年の半導体商社業界は、パソコンやスマートフォン向けの需要に減速感があったものの、世界的な半導体の需要増加を受け、各社の業績は好調に推移しました。そして、半導体業界においては、台湾のTSMCが熊本に工場を建設し、2023年には第2工場の建設を発表しています。2022年11月には、ソニーやトヨタなど国内企業8社が出資する半導体会社「ラピダス」が発足するなど、半導体の製造や開発が加速しています。
一見、半導体商社にとって追い風のような動きが見られていますが、課題やリスクもあります。一つは「シリコンサイクル」(好景気には供給が不足し、不景気には需要が急減して供給過多になることで、約4年周期で好景気と不況を繰り返す半導体業界特有の構造)、もう一つは半導体メーカーと顧客が直接取引 する「商社外し」などが挙げられます。
こうした状況から、半導体商社では半導体商品の仕入れや販売だけでなく、事業の多角化や新興国へ展開しています。
マクニカHDのセキュリティ事業
独立系商社では国内トップ急のマクニカHDは、ネットやクラウド利用の高まりから、ネットワーク事業の一つであるセキュリティ分野を強化し、台湾やシンガポール、中東などへ事業領域を拡大しています。
また、同社の半導体事業は全売上高の約9割を占めますが、現在ネットワークやサービスソリューション事業を強化しており、将来的には「半導体、ネットワーク、サービスソリューション」の3本柱としています。
一方、加賀電子では電子機器の受託製造であるEMS事業が好調に推移しています。今後の成長の場を『海外とEMS』と位置づけ、高い収益が見込める「モビリティ、通信、環境、産業機器、医療、ヘルスケア」の市場に注力していきます。海外展開も進めており、トルコやマレーシアに新工場を建設しています。
半導体商社業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで半導体商社市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | マクニカHD ※ | 9,290 | ||
2 | 加賀電子 ※ | 5,393 | ||
3 | トーメンデバイス | 4,176 | ||
4 | レスターHD ※ | 3,395 | ||
5 | リョーサン ※ | 2,855 | ||
6 | 兼松 ※ | 2,825 | ||
7 | 東京エレクトロンデバイス ※ | 2,110 | ||
8 | 伯東 ※ | 1,978 | ||
9 | RYODEN ※ | 1,810 | ||
10 | 丸文 ※ | 1,688 |
※マクニカHDは集積回路及び電子デバイスその他事業、加賀電子は電子部品事業、レスター・HDは半導体及び電子部品事業、リョーサンはデバイス事業、兼松は電子・デバイス事業、東京エレクトロンデバイスは半導体及び電子デバイス事業、伯東は電子部品事業、RYODENはエレクトロニクス事業、丸文はデバイス事業の売上高です。シェアとは半導体商社業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで半導体商社市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ半導体商社業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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