半導体製造装置業界の動向や現状、ランキング等

半導体チップと働いている人たち

半導体製造装置業界の動向や現状、ランキング&シェア、今後の見通しなどを分析しています。半導体製造装置業界の過去の業界規模の推移や、半導体製造装置の販売額の推移グラフ、直近の業界や今後の見通しなどを解説しています。

半導体製造装置業界(2021-2022年)

半導体製造装置業界の推移と基本情報

業界規模

3.8兆円

成長率

14.1

利益率

14.6

平均年収

928万円

  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

半導体製造装置業界の過去の業界規模の推移を見ますと、年により増減がありますが、長期的には拡大傾向にあります。

半導体製造装置業界の動向と現状(2021-2022年)

拡大継続の半導体製造装置業界 2021年は30%増の過去最高

経済産業省の生産動態統計調査によると、2021年の半導体製造装置の販売額は前年比32.1%増の2兆1,402億円でした。ウェーハプロセス用処理装置は同31.6%増の1兆5,825億円となっています。

半導体製造装置の販売額の推移の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

半導体製造装置の販売額の推移を見ますと、2015年から2021年にかけて増加傾向にあり、2021年には過去最高額を更新しました。市場は堅調な拡大傾向にあります。ちなみに、グラフにある「ウェーハプロセス用処理装置」とは、半導体製造の前工程における要の装置で、露光や描画、レジスト、エッジング、洗浄、熱処理などの加工処理を施します。

半導体製造装置業界の直近の動向を振り返りますと、2021-2022年は半導体の需要が急拡大したことにより業績は絶好調でした。昨年から好調のデジタル機器に加え、ゲーム、クラウド、データセンターなど幅広いジャンルで需要の増加が見られました。企業によるDXやデジタル化の動きも追い風となっています。

一方で、2022年後半以降は「DRAM」や「NANDフラッシュ」などメモリ価格の減少が目立っています。世界的に不足していたスマホや自動車向け半導体も解消から余剰在庫への転換が見られ、短期的な成長の鈍化も懸念されています。

半導体とは「特定の条件の時に電気を通す性質を持っているもの」のことです。半導体は、金属のように電気を通しやすい「導体」とゴムのように電気をほとんど通さない「絶縁体」の中間に位置します。半導体はスマホや自動車、パソコン、家電はもちろん、データセンター、軍事などあらゆる電子機器で使用されています。

半導体はマイクロやナノメートルレベルの加工精度を必要とするため、人の手での製造は不可能です。半導体製造装置とは、こうした特性を持つ半導体を加工する装置のことを指します。

半導体製造装置業界は半導体の世界的な需要、つまり半導体業界の動向に左右されます。半導体はスマホや自動車、パソコンや家電、ゲーム、データセンターなどあらゆる電気機器に搭載されるため、景気の良し悪しを測る重要なバロメーターとなっています。

半導体製造装置業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 東京エレクトロン 20,038
2 アドバンテスト 4,169
3 SCREENHD 3,193
4 ディスコ 2,537
5 キヤノン 2,137

※1は半導体製造装置関連の部門売上高。2021-2022年の半導体製造装置の売上高ランキングを見ますと、首位が東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREEN HDと続きます。

東京エレクトロンは国内首位、世界3位の半導体製造装置メーカーで、FPDコータ/デベロッパやエッチング装置など「前工程」の製造装置を得意としています。アドバンテストは半導体検査装置の大手で、「後行程」のテスタ市場で世界シェア4割近くを占めます。

2021-2022年は、半導体製造装置大手5社中5社が大幅増収を記録しており、非常に好調な1年でした。

今後の半導体製造装置 目先は停滞懸念あるが、中長期では拡大に

パーセントの弓矢

近年の半導体製造装置業界は、スマホやPC、自動車、家電、5Gやデータセンターなどあらゆる電気機器の需要の拡大により好調に推移してきました。

新型コロナの影響により他の業界では業績の悪化が顕著にあらわれていた時期でも、半導体製造装置業界においてはデジタル化の恩恵を受け、好調に推移しました。在宅勤務やオンライン化に伴う通信量の増加に伴い、データセンターの需要が好調でした。

一方直近では、米中の「デカップリング」や「台湾有事」など半導体を取り巻く環境に懸念材料も見られます。また、2022年後半からはコロナで好調だったゲーム需要が伸び悩みを見せ、自動車やスマホ需要は以前のような旺盛な動きは見られません。

唯一好調なデータセンター向け需要も主力投資先のGAFAMの業績低迷により、設備投資縮小の観測も浮上しています。これらの問題が長期化することは、好調を維持してきた半導体製造装置業界において大きな懸念材料となります。

目先の動向には不透明感が漂いますが、半導体およびその製造装置業界は中長期的には成長の過程にあります。世界の半導体ランドスケープ市場は、2022年から2030年までに7.9%の複合年間成長率を記録し、2030年までに9,071億ドルに成長すると予測されています。

従来は「シリコンサイクル」と呼ばれ、4年程度で好不況を繰り返すトレンドがありましたが、今後はこの通りではないかもしれません。スマホや自動車、ゲーム、データセンターIoT、5Gの普及に加え、世界的なDXやデジタル化の流れには力強いものが見られます。

今後もこうした潮流は続くと見られその流れは加速するでしょう。半導体製造装置業界は今後、世界的に強い需要を取り込み、中長期的には大きく飛躍していくことが予想されます。

半導体製造装置業界 ランキング&シェア

半導体製造装置業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで半導体製造装置市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

半導体製造装置業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 東京エレクトロン

20,038

2 アドバンテスト 4,169
3 SCREEN HD ※1 3,193
4 ディスコ 2,537
5 キヤノン ※1 2,137
6 ニコン ※1 2,112
7 KOKUSAI ELECTRIC ※2 1,780
8 東京精密 ※1 1,033
9 レーザーテック 903
10 TOWA ※1 467

※1 SCREEN HDはSPE事業、キヤノンは露光装置事業、ニコンは精機事業、東京精密、TOWAは半導体製造装置事業の売上高です。※2KOKUSAI ELECTRICは2020年の売上高です。シェアとは半導体製造装置業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで半導体製造装置市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ半導体製造装置業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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半導体製造装置業界 対象企業一覧

東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENHD、ニコン、ディスコ、KOKUSAIELECTRIC、キヤノン、東京精密、レーザーテック、TOWA、岡本工作機械製作所の計11社

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