重電業界の動向や現状、ランキングなどを研究しています。重電業界の過去の業界規模の推移をはじめ、重電メーカーの売上高と利益率の推移グラフ、2021-2022年の動向と各社の再生可能エネルギーへの取り組みなどを解説しています。
業界規模
5.4兆円
成長率
2.0%
利益率
5.7%
平均年収
801万円
重電業界の過去の業界規模の推移を見ますと、年によりばらつきがあることが分かります。
下のグラフは、主な重電メーカーの売上高と利益率の推移です。
重電メーカーの売上高と利益率の推移(出所:各社有価証券報告書グラフは業界動向サーチが作成)
重電メーカーの推移を見ますと、売上高は2019年までは減少傾向にありましたが、2019年から2021年にかけては増加傾向にあります。利益率も直近3年間は増加傾向にあります。
重電とは巨大な電気機械や電気機器のことです。具体的には火力や原子力などの発電施設、送変電施設、工場の設備などが挙げられます。
2021-2022年の重電業界は、新型コロナにより落ち込んでいた企業の設備投資が回復傾向にあり、海外の公共事業も堅調に推移したことから業績は改善しました。2022年には停滞していた部材不足も解消傾向にあり、サプライチェーンの問題も解決しつつあります。一方で、発電関連の需要は減少傾向にあり、厳しい状況が続いています。
※は重電関連の部門売上高。2021-2022年の重電業界の売上高ランキングを見ますと、首位が日立製作所、三菱電機、東芝と続きます。ランキングによると、上位3社の売上高が高いことが分かります。
2021-2022年は、重電メーカー上位5社中4社が増加、1社が横ばいとなりました。
重電業界のメインである発電所ですが、火力発電所は世界的な「脱炭素」の動きを受け、縮小傾向にあります。2020年9月には、業界最大手の日立製作所が火力発電事業を三菱重工に譲渡する動きも見られました。
エネルギー価格の上昇に伴い、日本でも再稼働が期待される原子力発電所ですが、新規建設は国民の理解が得られにくく、こちらも厳しい状況にあります。
こうした流れを受け、重電メーカー各社は「再生エネルギー分野」に舵を取り、事業を強化しています。
日立製作所は2022年3月にドイツのベルリン市交通局から電気バス向けEV充電システムを受注。同年7月には、英国と風力発電をつなぐ送配電システムを受注しました。近年、日立製作所は欧州からの受注や協業が増えています。
東芝は電力エネルギーの安定化を図る「VPP(仮想発電所)」技術に注力しています。VPPとは、太陽光発電や風力発電など散在するエネルギーをIoTで遠隔制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる技術のことです。
VPPのイメージ図(東芝)
VPPを利用することで、天候に左右されやすい不安定な再生可能エネルギーの電力を安定化することができます。VPPは東芝のほか、日立、三菱電機、富士電機などでも展開しています。
世界的な「脱炭素」の流れにより、日本の重電業界は苦戦を強いられています。近年では、代替としての「再生可能エネルギー」が注力されていますが、再生可能エネルギーは電力の安定化や効率性など課題も多く残ります。エネルギーは世界情勢にも左右されるセンシティブな分野です。厳しい状況が続きますが、日本企業の復活に期待したいところです。
重電業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで重電市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 日立製作所 ※ | 23,487 | ||
2 | 三菱電機 ※ | 12,381 | ||
3 | 東芝 ※ | 12,137 | ||
4 | 富士電機 ※ | 3,096 | ||
5 | 明電舎 | 2,550 | ||
6 | 日新電機 | 1,321 |
※日立製作所はエネルギー+インダストリー事業、三菱電機は重電システム事業、東芝はエネルギー+インフラシステムソリューション事業、富士電機はパワエレシステム・エネルギー+発電プラント事業の売上高です。シェアとは重電業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで重電市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ重電業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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