SEMICONDUCTOR
業界規模
4.6兆円
成長率
-0.4%
利益率
+0.4%
平均年収
745万円
目次
グラフは半導体業界の業界規模(対象企業の18計)の推移をグラフで表したものです。
半導体業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の半導体業界の業界規模(主要対象企業18社の売上高の合計)は4兆6,161億円となっています。
半導体業界の過去6年間の業界規模の推移
半導体業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2017年から2020年にかけて横ばいで推移しています。
経済産業省の生産動態統計によると、2020年の半導体集積回路の販売金額は、前年比1.1%減の2兆759億円、販売個数は前年比2.4%増の254.7億個でした。2020年は販売個数は増加したものの、販売金額はわずかに減少する結果となりました。
半導体集積回路の販売金額と個数の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは日本国内の半導体集積回路の販売金額と推移を示したものです。販売金額・数量ともに2017年から2020年にかけて若干の減少傾向にあることが分かります。
2020-2021年はテレワークやECなどの増加で、PCやタブレットなどのデジタル機器やデータセンター向けの半導体需要が増加しました。さらに、家電の需要増やコロナ明けの自動車需要が想定を上回る伸びを見せたことから、自動車や電気機器向けの半導体需要も増加しました。
一方で、相次ぐ半導体工場のトラブルから半導体の供給体制は逼迫状態になっています。需要と供給のバランスが大きく崩れたことから、国内外で「半導体不足」の問題が発生しました。半導体の製造は発注から納入まで半年程のリードタイムがかかることから、半導体不足の状況は2022年の前半ごろまでは続くのではとみられています。
近年の日本の半導体業界は勢いがありません。1980年代にはNEC、東芝、日立と世界ランキングトップ3を独占していた日本の半導体メーカーですが、現在はキオクシアがなんとか10位に食い込むまでとなっています。半導体の製造には最先端の技術を維持する必要があり、巨額の研究開発費と設備投資が必要になります。
半導体技術のものさしである「微細化技術」はいまや「3nm」のレベルに達しており、TSMC(台)やサムスン電子(韓)に大きく差をつけられているのが現状です。経済安全保障の観点から、半導体製造の国内回帰の声が上がっていますが、こうした状況を挽回するには多額の投資と時間が必要になります。
半導体業界の2020年の売上高ランキングを見ますと、首位はキオクシア HD、2位はソニーグループ、ルネサスエレクトロニクスと続きます。首位のキオクシアは、2017年に東芝の半導体メモリ事業が分社化して設立した「東芝メモリ」を前身とする会社です。「NAND型フラッシュメモリ」を主に製造しており、フラッシュメモリで世界2位のシェアを誇ります。
2位のソニーグループは、レンズから入った光を電気信号に変換する半導体である「イメージセンサー」を主に製造しています。ソニーのイメージセンサーは世界シェア首位で、49%もの高シェアを誇っています。3位のルネサスエレクトロニクスは、日立、三菱電機、NECの3社の半導体事業が統合して発足した会社です。「車載マイコン」で世界的に高いシェアを誇ります。
続いて、世界の半導体業界の動向を見ていきましょう。WSTSによると2020年の世界の半導体市場規模は前年比6.8%増の440,389百万ドルでした。
エリア別では、アメリカが前年比21.3%増、ヨーロッパが5.8%減、日本は1.3%増、アジア太平洋は5.1%の増加でした。アメリカやアジア太平洋(日本のぞく)市場の伸びが顕著に見られます。
世界の半導体市場規模の推移(出所:WSTS、グラフは業界動向サーチが作成)
世界の半導体市場規模の推移を見ますと、2018年をピークに2019年には減少、2020年には再び上昇に転じています。WSTSの予測によると、2022年まで世界の半導体市場は増加傾向にあり、2022年の世界の半導体市場は2020年比で36%の伸びを予測しています。
2022年までのエリア別では、アメリカが37.5%増、アジア太平洋が37.4%増と高く、ヨーロッパ34.5%増、日本30.6%増となっています(いずれも20年比)。
世界の半導体メーカーの売上高ランキングでは、首位が米のインテル、2位に韓国のサムスン電子、3位にSKハイニックスと続きます。世界の半導体ランキングを見ますと、米国勢の半導体メーカーが強く、韓国勢が続きます。日本はキオクシアHDが10位にランクインしました。
ランキングには入っていませんが、ファウンドリー(半導体の前工程受託)では台湾のTSMCが首位で、2位にサムスン電子が続きます。半導体の技術レベルを図る「微細化技術」でもこの2社がリードしており、出遅れたインテルは2024年までに巻き返しを図る構図となっています。
2020年の国内の半導体市場は横ばい、世界の半導体市場は6.8%の増加を記録しました。世界に比べて国内の伸びが鈍化している点が懸念されます。
一方で、2020年から2021年にかけて需給バランスの崩れから、世界的な半導体不足が生じました。リードタイムの関係から、半導体不足の問題は2022年の前半までは続くのではと見られています。今後の半導体業界は世界的なデータ通信料の増加に伴い、2022年までは増加傾向にあると予測されます。日本もこうした世界的な潮流に乗り、業績の回復と拡大に期待したいところです。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | キオクシアHD | 11,785 | 25.5 | |
2 | ソニーグループ ※ | 9,378 | 20.3 | |
3 | ルネサスエレクトロニクス | 7,156 | 15.5 | |
4 | 東芝 ※ | 7,050 | 15.3 | |
5 | ローム | 3,598 | 7.8 | |
6 | 三菱電機 ※ | 1,621 | 3.5 | |
7 | 富士電機 ※ | 1,540 | 3.3 | |
8 | サンケン電気 ※ | 1,372 | 3.0 | |
9 | ソシオネクスト | 1,026 | 2.2 | |
10 | メガチップス | 838 | 1.8 |