半導体材料業界の動向や現状、ランキングなど

作業員と半導体材料

半導体材料(素材)業界の動向や現状などを掲載しています。半導体材料業界の過去の業界規模の推移をはじめ、半導体材料メーカーの売上高の推移、現状や今後の見通しなどを解説しています。

半導体材料業界(2021-2022年)

半導体材料業界の推移と基本情報

業界規模

3.8兆円

成長率

7.2

利益率

13.9

平均年収

770万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

半導体材料業界の過去の業界規模の推移を見ますと、全体的に上昇傾向です。なかでも、2021年は大幅に増加しています。

半導体材料業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年の半導体材料大手5社ともに増加 旺盛な半導体需要受け

下のグラフは、半導体材料大手5社の売上高の推移をあらわしたものです。

半導体材料大手5社の売上高の推移

半導体材料大手5社の売上高の推移(グラフは業界動向サーチが作成)

グラフを見ますと、2019年ころから緩やかな増加傾向にあります。2021年には各社の売上高は揃って増加しており、伸び率も4社が2ケタ増と高い伸びを記録しました。

2021年の半導体材料業界の動向を見ますと、世界的に半導体を用いた電子部品が不足し、半導体の需要が高まりました。なかでも、車載やデーターセンター向け市場、テレワークや巣ごもりによるパソコン向けの需要が旺盛となり、半導体材料の出荷量も増加することとなりました。

一方、材料の供給が追いつかない企業も一部で見られました。新型コロナの影響による通信量の増加によってデーターセンター投資が活発化しました。そのほか、EV化や自動運転の普及、一部の製造業で需要が急回復したことが要因に挙げられます。

半導体の材料とは、半導体の製造に必要なシリコンや化学薬品などです。半導体の製造工程は数百にもおよびますが、大きく分けて「前工程と後工程」に分かれます。前工程は土台となるシリコンウエハーに回路を描き、洗浄や研磨、検査を行います。後工程は良品のウェハーを数百から数千個のチップに切り分け、切り出したチップを基盤と接続し樹脂で封止、最後に機能検査を行います。

半導体の材料は前工程では、基盤となるシリコンウエハーや、回路を描くために必要なフォトマスクやガラス基板、フォトレジスト(感光材)、エッチングなどに利用されるガスや薬品、絶縁材、洗浄液が使用されます。後工程の材料には、絶縁材や樹脂、セラミック、固定テープなどが使われます。

半導体材料業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 信越化学工業 7,089
2 住友化学 4,737
3 レゾナック・HD 3,918
4 SUMCO 3,356
5 新光電気工業 2,719

※は半導体材料関連の部門売上高。2021年の半導体材料業界の売上高ランキングを見ますと、信越化学工業が一歩リードし、次いで住友化学やレゾナック・HD、SUMCOが続きます。首位の信越化学工業は、シリコンウエハーで世界トップシェアを誇ります。

2021年から2022年の主な半導体材料メーカーの業績は、信越化学工業が前年比19.0%増、住友化学が同9.7%増、SUMCOが15.2%増、新光電気工業が44.6%、イビデンが42.7%でした。また、主要企業21社中15社が2ケタ増を記録するなど、2021年は半導体材料業界にとって、好調な年となりました。

材料ではシェアが高い日本企業 シリコンウエハーは世界シェア№1

円グラフと3人の男女

半導体の製造では海外企業がリードしていますが、半導体の材料においては日本企業が高いシェアを占めています。とくに、半導体の基盤となるシリコンウエハーにおいては、世界トップシェア、その他の材料においても上位を占める企業が多数存在しています。

半導体の基盤となる素材「シリコンウエハー」は、信越化学とSUMCOが手掛けています。なかでも信越化学のシリコンウエハーは33.3%を占め世界トップシェア、SUMCOは世界2位となっており、両社で世界シェア約6割を占めます。

フォトマスクの製造では、大日本印刷や凸版印刷、AGC、HOYAなどが上位を占め、フォトマスクの原料であるマスクブランクス(ガラス基盤)においてはHOYAが世界シェア№1、信越化学は2位となります。

また、フォトレジストにおいては、東京応化工業やJSR、信越化学、住友化学、富士フイルムなどが手掛けており、日本企業が世界シェアの約9割を占めています「財務省広報誌『ファイナンス』2022年4月号」

半導体材料市場2026年に444億ドルへ 微細化や3次元実装が市場拡大

グラフと虫眼鏡を持つ男性

2021年-2022年の半導体材料業界は、半導体デバイスの旺盛な需要にともない、各社の業績は好調に推移しました。

また、半導体業界では台湾のTSMCが熊本に工場を建設し2024年に稼動を予定、加えて第2工場の建設も発表しています。2022年11月にはソニーやトヨタなど国内企業8社が出資する半導体会社「ラピダス」が発足するなど、国内では半導体の製造や開発が加速しています。

富士経済の調査によると、半導体材料の世界市場は2021年の344億ドルから、2026年には29.1%増の444億ドルになると予測しています。工程別で見ますと、前工程では311億ドルから401億ドルへ、後工程は33億ドルから42億ドルに増加する見通しです。

同社の調査では、5G通信やIoT化によるサーバー需要、半導体の微細化や3次元実装(高層化)が進むことで市場が拡大するとしています。前工程では微細化のほか、自動車や家電に利用されるレガシー半導体の需要増加に伴い、フォトレジストやフォトマスクの需要が増加。後工程では、ウエハーの一時的な保護や固定に利用するテープなどの需要が続くと見ています。

半導体業界では半導体をより小さくする微細化が競われてきましたが、近年は微細化の限界が近づき、チップを縦に積み上げて性能を向上させる「3次元実装」の製造が進んでいます。半導体の3次元化では、複数のウエハーを貼り合わせ、端を削るなどの作業を行うため、後工程の領域が注目されています。

こうした次世代の半導体製造の動きから、2021年にはレゾナックHDが中心となり、共同研究組織「JOINT2」を設立してます。東京応化工業や味の素、新光電気工業や大日本印刷などの材料や製造メーカー12社が参画し、次世代半導体パッケージの素材や装置の開発を進めています。

半導体材料業界 ランキング&シェア

半導体材料業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで半導体材料市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

半導体材料業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 信越化学工業 7,089
2 住友化学 4,737
3 レゾナック・HD 3,918
4 SUMCO 3,356
5 新光電気工業 2,719
6 イビデン 2,369
7 凸版印刷 2,205
8 大日本印刷 2,110
9 HOYA 2,097
10 JSR 1,650

※信越化学工業は電子材料事業、住友化学は情報電子化学事業、レゾナック・HDは半導体・電子材料事業、イビデンは電子事業、凸版印刷、大日本印刷はエレクトロニクス事業、HOYAはエレクトロニクス関連製品事業、JSRはデジタルソリューション事業の売上高です。シェアとは半導体材料業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで半導体材料市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ半導体材料業界の詳細ランキングページにジャンプします。

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半導体材料業界 対象企業一覧

信越化学工業、住友化学、レゾナック・HD、SUMCO、新光電気工業、イビデン、凸版印刷、大日本印刷、HOYA、JSR、富士フイルムHD、東京応化工業、フェローテックHD、日産化学、フジミインコーポレーテッド、三益半導体工業、扶桑化学工業、東洋合成工業、ステラケミファ、トリケミカル研究所、カーリットHDの計21社

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