半導体材料(素材)業界の動向や現状などを掲載しています。半導体材料業界の過去の業界規模の推移をはじめ、
業界規模
4.2兆円
成長率
11.1%
利益率
12.8%
平均年収
797万円
半導体材料業界の過去の業界規模の推移を見ますと、増加傾向にあります。
下のグラフは、半導体材料大手5社の売上高の推移をあらわしたものです。
半導体材料大手5社の売上高の推移(グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、2019年ころから緩やかな増加傾向にあります。2022年はシリコンウェハーを手がける2社が大幅な増加、20~30%台の高い伸びを記録しました。一方、5社中2社は横ばい、1社が減少に転じるなど、2022年の企業業績は明暗が別れました。
2022年の半導体材料の動向をみますと、年の前半と後半で状況が一変しました。年の前半はデータセンターや車載向け、産業機器向けの需要が旺盛となりました。一方、年の後半以降は前年の特需の反動減や在庫調整、さらにインフレの影響を受け、パソコンやスマートフォン向け需要が低迷しました。秋以降は調整局面に入ったものの、前半の旺盛な需要に支えられ全体としては業績は堅調でした。
半導体の材料とは、半導体の製造に必要なシリコンや化学薬品などです。半導体の製造工程は数百にもおよびますが、大きく分けて「前工程と後工程」に分かれます。前工程は土台となるシリコンウエハーに回路を描き、洗浄や研磨、検査を行います。後工程は良品のウェハーを数百から数千個のチップに切り分け、切り出したチップを基盤と接続し樹脂で封止、最後に機能検査を行います。
「前工程」には基盤となるシリコンウエハーや、回路を描くために必要なフォトマスクやガラス基板、フォトレジスト(感光材)、さらにエッチングにはガスや薬品、絶縁材、洗浄液が使用されます。「後工程」の材料には、絶縁材や樹脂、セラミック、固定テープなどが使われます。
※は半導体材料関連の部門売上高。2022年の半導体材料業界の売上高ランキングを見ますと、信越化学工業が一歩リード、次いでSUMCOや住友化学、レゾナック・HDと続きます。首位の信越化学工業は、シリコンウエハーで世界トップシェアを誇ります。
2022-2023年の主な半導体材料メーカー5社の業績は、信越化学工業が前年比23.5%増、SUMCOが同31.4%増、住友化学が9.0%減、レゾナックが1.0%、新増光電気工業が5.3%でした。また、主要企業21社中10社が2ケタ増を記録、2022年の半導体材料業界は全体では堅調な年となりました。
半導体の製造では海外企業がリードしていますが、半導体の材料においては日本企業が高いシェアを占めています。とくに、半導体の基盤となるシリコンウエハーにおいては、世界トップシェア、その他の材料においても上位を占める企業が多数存在しています。
半導体の基盤となる素材「シリコンウエハー」は、信越化学とSUMCOが手掛けています。なかでも信越化学のシリコンウエハーは33.3%を占め世界トップシェア、SUMCOは世界2位となっており、両社で世界シェア約6割を占めます。
フォトマスクの製造では、大日本印刷や凸版印刷、AGC、HOYAなどが上位を占め、フォトマスクの原料であるマスクブランクス(ガラス基盤)においてはHOYAが世界シェア№1、信越化学は2位となります。
また、フォトレジストにおいては、東京応化工業やJSR、信越化学、住友化学、富士フイルムなどが手掛けており、日本企業が世界シェアの約9割を占めています「財務省広報誌『ファイナンス』2022年4月号」。
2022年-2023年の半導体材料業界は、年の後半から半導体半デバイスの在庫調整の影響を受けましたが、業界全体では前年の規模を上回りました。
一方、半導体業界では台湾のTSMCが熊本に工場を建設し2024年に稼動を予定しているほか、第2工場の建設も発表しています。また、2022年11月にはソニーやトヨタなど国内企業8社が出資する半導体会社「ラピダス」が発足するなど、国内では半導体の製造や開発が加速しています。
富士経済の調査によると、半導体材料の世界市場は2023年の465億ドル(見込み)から、2027年には586億ドルになると予測しています。工程別では、前工程は334億ドルから431億ドルへ、後工程は131億ドルから155億ドルに増加する見通しです。
同調査では、2024年には在庫調整が解消されるほか、次世代通信やAI、クラウドの進展にともない、半導体デバイスの需要も高まることで市場が拡大するとしています。前工程では、EUV(極端紫外線)対応のフォトマスクやレジストの他、高層化による工程数の増加にともない成膜剤やエッチング剤、洗浄液などの需要が増加。後工程では、通信トラフィックの増加に伴う需要増加が市場拡大に貢献すると見ています。
半導体業界では半導体をより小さくする微細化が競われてきましたが、近年は微細化の限界が近づき、チップを縦に積み上げて性能を向上させる「3次元実装」の製造が進んでいます。半導体の3次元化では、複数のウエハーを貼り合わせ、端を削るなどの作業を行うため、後工程の領域が注目されています。
こうした次世代の半導体製造の動きから、2021年にはレゾナックHDが中心となり、共同研究組織「JOINT2」を設立してます。東京応化工業や味の素、新光電気工業などの材料や製造メーカー12社が参画し、次世代半導体パッケージの素材や装置の開発を進めています。さらに、2024年4月には、インテルなど15社が後工程の技術組合を設立しました。半導体市場の拡大に連動して半導体材料の需要も拡大すると見られます。
半導体材料業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで半導体材料市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 信越化学工業 ※ | 8,756 | ||
2 | SUMCO | 4,410 | ||
3 | 住友化学 ※ | 4,312 | ||
4 | レゾナック・HD ※ | 4,271 | ||
5 | 新光電気工業 | 2,863 | ||
6 | TOPPANホールディングス ※ | 2,546 | ||
7 | イビデン ※ | 2,507 | ||
8 | 大日本印刷 ※ | 2,035 | ||
9 | HOYA ※ | 1,892 | ||
10 | 富士フイルムHD ※ | 1,806 |
※信越化学工業は電子材料事業、住友化学は情報電子化学事業、レゾナック・HDは半導体事業、TOPPAN HDはエレクトロニクス事業、イビデンは電子事業、大日本印刷はエレクトロニクス事業、HOYAはエレクトロニクス関連事業、富士フイルムHDは電子材料事業の売上高です。シェアとは半導体材料業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで半導体材料市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ半導体材料業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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信越化学工業、SUMCO、住友化学、レゾナック・HD、新光電気工業、TOPPANホールディングス、イビデン、大日本印刷、HOYA、富士フイルムHD、東京応化工業、JSR、フェローテックHD、日産化学、フジミインコーポレーテッド、三益半導体工業、扶桑化学工業、東洋合成工業、ステラケミファ、トリケミカル研究所、カーリットHDの計21社
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