AUTOMOBILE
目次
グラフは自動車業界の業界規模(対象企業の9計)の推移をグラフで表したものです。
自動車業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の自動車業界の業界規模(主要対象企業9社の売上高の合計)は57兆0,022億円となっています。
自動車業界の過去11年間の業界規模の推移
OICA(国際自動車工業会)によると、2020年の世界の自動車販売台数は前年比13.8%減の7,797万台、生産台数は15.7%減の7,762万台でした。2020年はコロナウイルスの世界的な感染拡大により、販売数、生産数ともに大幅に減少しました。2017年をピークに減少傾向にあります。
中国、米国、欧州と世界の自動車販売の推移(出所:OICA、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは世界の自動車販売台数と国・エリア別の推移をあらわしたものです。2020年現在、自動車業界では中国が最大の市場で、米国、欧州と続きます。2020年は世界最大の市場である中国が販売台数で前年比1.8%減の2,531万台、生産台数2.0%減の2,522万台となり、世界の販売台数を押し下げる結果となりました。
過去数年の動向を見ますと、中国が世界の自動車市場を牽引していることが分かります。米国、欧州市場は横ばいで推移しているものの、その伸びは鈍化しています。直近の動向では、中国市場も鈍化の兆しを見せており、先進国市場が成熟期に突入した可能性があります。今後は成長余力のある新興国市場をいかに取り込めるかがカギとなります。
2020年の世界自動車販売台数ランキングでは、首位がトヨタ自動車で952万台、2位がフォルクスワーゲンで930万台、3位がルノー・日産・三菱アライアンスで779万台となっています。
ランキングでは、トヨタ、フォルクスワーゲン、ルノー・日産連合の3社が販売台数で首位争いをしており、事実上の3強状態となっています。
2020年は新型コロナウイルスが世界的に拡大。各国の工場は稼働停止、外出規制も影響して、新車販売台数が減少しています。その結果、2020年はすべての自動車メーカーで販売台数を減らしましたが、トヨタ自動車がフォルクスワーゲンを抜き、5年ぶりに首位に返り咲きました。
OICAによると、2020年の日本国内の自動車販売台数は前年比11.5%減の459万台でした。日本の販売台数は前年に比べて大幅に減少しています。
日本の自動車販売台数の推移(出所:OICA、グラフは業界動向サーチが作成)
日本の自動車販売台数の推移をみますと、ここ数年横ばいで推移していることが分かります。国内の新車販売は頭打ちが鮮明となっており、1990年代の3分の2ほどと落ち込んでいます。
車種別にみてみますと、軽自動車の販売が好調に推移しています。2019年のモデル別販売ランキングではトップ5で軽自動車が独占、10車種中5車種がランクインするなど半数を占めています。首位はホンダの「N-BOX」で3年連続の1位を記録しています。
軽自動車が売れている背景としては、室内空間の拡大、スライドドアの採用、緊急ブレーキの搭載、一部車種ではクルーズコントロール機能など機能面や安全面での充実が挙げられます。
さらに、近年は国民の所得が減少しているにもかかわらず、クルマの価格が上昇していることも要因の一つです。最近の自動車は安全性能や環境性能の向上により、従来価格よりも20~30万円ほど高い設定となっています。高級車ほど割高感が強く、機能面や安全面でも充実してきた軽自動車に人気が集まるのは納得できるところです。
現在の自動車業界は「100年に1度の大変革時代」とも言われています。最近では世界各国の自動車メーカーで「CASE」という言葉がトレンドとなっており、今後の自動車業界の未来を語るうえで欠かせない言葉となっています。
「CASE」とはConneted Autonomous Shared Electricの略で「コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化」を意味しています。
「コネクテッド」とは簡単に言えば、自動車がネットに常時接続することです。クルマがネットに接続することで、現在位置の把握や配送の効率化、最適なルート提案、事故発生時の通報など様々なことが可能になります。また、自動運転ではクルマが今どこにいるかを把握する必要があるため、コネクテッドの技術は欠かせないものとなります。
現在の自動車業界はこれら4つの技術と概念が同時進行で進んでおり、業界を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。
トヨタ自動車は従来のモノづくり中心の会社からモビリティに関わる「モビリティカンパニー」へのフルモデルチェンジを掲げています。さらに、クルマの枠にとらわれずクルマを含めた社会全体という大きな視点に立った「コネクテッド・シティ(ウーブン・シティ)」の建設を2021年に静岡県裾野市で行うと発表しました。トヨタ自動車はこうした「CASE」関連の試験開発費に現在は4割、将来的には5割を投入するとしています。
ホンダも「モビリティを取り巻く環境は大きな変革期にある」とし、CASE対応の動きを強めています。2019年10月には傘下の自動車部品メーカーを統合させ、日立製作所と新会社設立を発表しました。また、2020年12月には、世界初となる自動運転レベル3の形式指定を国土交通省から取得したことを発表しています。
直近の自動車業界で注目すべき動向としては、アライアンスの拡大です。いわゆる「仲間づくり」で、他社と協力することにより、新技術の開発に対応していこうという取り組みです。自動運転、電動化、コネクテッド、AIなどこれら先進技術は莫大な研究費がかかり、1社単独ですべてを賄うのは不可能です。
また、環境規制に伴いエコカー開発費の抑制に向けた動きも活発化。2019年にトヨタはスズキへHVのシステムの提供を、EVではSUBARUとの共同開発を発表しています。このように各社で得意分野を補いながら協力していく方が明らかに合理的と言えます。
今後、自動車業界は大変革期を迎えます。それは今までの自動車業界とは全く違う業界に生まれ変わるほどのインパクトがあります。2020年1月にはソニーが自動運転のEV車を一般公開したように、他業種からの参入も増えてくるでしょう。時代の転換点にある今、未来の自動車はどうなるのか、今後の動向に注目が集まります。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | トヨタ自動車 | 272,145 | 47.7 | |
2 | ホンダ ※ | 85,672 | 15.0 | |
3 | 日産自動車 | 78,625 | 13.8 | |
4 | マツダ | 28,820 | 5.1 | |
5 | スズキ ※ | 28,766 | 5.0 | |
6 | SUBARU ※ | 27,375 | 4.8 | |
7 | いすゞ自動車 | 19,081 | 3.3 | |
8 | 日野自動車 | 14,984 | 2.6 | |
9 | 三菱自動車工業 | 14,554 | 2.6 |