ベアリング業界の動向やランキング、シェア等

2つのベアリング(軸受)

ベアリング(軸受)業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2021-2022年。ベアリング業界の過去の業界規模の推移をはじめ、軸受の販売金額の推移、2021年のコロナの影響と売上高ランキング、電動化に向けた各社の取り組みなどを解説しています。

ベアリング業界(2021-2022年)

ベアリング業界の推移と基本情報

業界規模

2.1兆円

成長率

-2.6

利益率

4.0

平均年収

632万円

  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

ベアリング業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2018年から2020年まで減少傾向にありましたが、2021年は大幅に反発しています。

ベアリング業界の動向と現状(2021-2022年)

2021年のベアリング販売額は27%増 産機向けが好調

下のグラフは、国内のベアリング(軸受)の販売金額の推移を示しています。経済産業省の生産動態統計年報(2022年6月公表)によると、2021年の軸受販売金額は、前年比27.0%増の7,989億円となりました。

軸受の販売金額の推移

軸受の販売金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

グラフを見ますと、2018年から2020年は減少傾向にありましたが、2021年には大幅に反発し、コロナ前の水準にまで戻っています。

2021年のベアリング業界は、世界的な半導体不足などの影響がありましたが、産業機械やアフターマーケット市場(自動車修理やカスタマイズ市場)が順調に推移し、昨年に比べて業績を大きく改善させる1年でした。円安による為替差益や販売価格の転嫁なども業績を後押ししました。一方で、2022年に入ると、ウクライナ情勢や物価高騰など先行き不透明な状況が続いています。

ベアリングとは、『軸受(じくうけ)』とも呼ばれる部品で、高速で回転する軸の摩擦熱を低減させる役割があります。ベアリングの構造は「内輪・ボール・外輪」の3層でできており、「外輪」は機械に固定し「内輪」を軸にはめることで、軸を安定させ滑らかな回転を可能にします。

ベアリングはおもに、「自動車のエンジンやタイヤ、鉄道車両の車輪やモーター、その他、航空機や産業機械、風力発電機」などに使用されています。そのため、自動車や航空機、鉄道業界などの動向に影響を受けやすい業界です。

ベアリング業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 NTN 6,420
2 日本精工 5,431
3 ジェイテクト 3,115
4 ミネベアミツミ 1,774
5 不二越 1,447

※はベアリング関連の部門売上高。2021-2022年のベアリング業界売上高ランキングを見ますと、1位がNTN、2位が日本精工、ジェイテクト、ミネベアミツミと続きます。トップのNTNはベアリングにおいて世界トップクラスのシェアを誇ります。海外売上高比率が約7割で、主力商品の「自動車用ハブベアリング」では世界シェア1位を獲得しています。

2021年-2022年は、ランキング上位の5社中5社が増収増益を記録し、好調な1年でした。

自動車の電動化ニーズを踏まえ、各社、高機能商品の開発へ

自動車部品とベアリング

2021年は好調に推移したベアリング業界ですが、近年は世界的な脱炭素の潮流で自動車の電動化が進んでいます。一方、エンジンからモーターに替わることで、車に搭載するベアリングの使用量は20%減少すると予測されています。

こうした今後起こりうる最悪のシナリオを想定して、ベアリング業界では電気自動車用の部品開発に注力しています。電気自動車の普及が高まることで、自動車の軽量化や小型モーターの需要はさらに高まるため、ベアリングに求められる性能の要求は高まっており、各社は付加価値の高い製品開発に取り組んでいます

ベアリングで世界トップクラスのNTNは、全売上高のうち約7割が自動車事業です。なかでも、タイヤの回転を支える『自動車用ハブベアリング』は世界シェア1位、『ドライブシャフト』は2位を獲得しており、自動車事業の約80%を占める主力商品となっています。

NTN技術者の開発ストーリー

NTN技術者の開発ストーリー

NTNでは『ハブベアリング』と『ドライブシャフト』は、電気自動車においても必要不可な部品であるとして、今後の需要を見込みさらなる機能強化を行います。

同社は、2023年度までの中期経営計画の一つに、電気自動車や電動化に対応した新商品の拡充を掲げています。自動車市場の変化を見据え、「小型・軽量」「高回転」「低トルク、低騒音、低振動」などの、高機能商品の開発に取り組んでいます。

日本精工は、全売上高の約6割を自動車事業が占めています。車載モーター用軸受やハブユニット軸受など、多くの自動車向け軸受を製造しています。日本精工では、2030ま年頃ではハイブリッド車の成長により、自動車事業の緩やかな売上の伸びを予測しています。

一方で、2030年以降の電気自動車の普及による軸受の減少を見据え、電気自動車に適した新商品や新製品の開発に取り組んでいます。モーターの小型化に貢献する『高速回転玉軸受』や、自動車の電費・燃費を改善する『トルクセンサ』など、高性能部品の開発に注力しています。

2021年のベアリング業界は、コロナにより大幅に減少した昨年から一転し、大幅増を記録しました。一方で、世界的な半導体不足や原材料価格の高騰、株価の下落など先行き不透明な状況も続いています。厳しい情勢は続きますが、コロナ後の需要の回復と世界経済の成長に期待したいところです。

ベアリング業界 ランキング&シェア

ベアリング業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでベアリング市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

ベアリング業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 NTN 6,420
2 日本精工 5,431
3 ジェイテクト 3,115
4 ミネベアミツミ 1,774
5 不二越 1,447
6 大同メタル工業 1,040
7 ツバキ・ナカシマ 628
8 日本トムソン 622
9 大豊工業 422
10 オイレス工業 402

※日本精工は産業機械軸受+自動車軸受事業、ジェイテクトは軸受事業、ミネベアミツミは機械加工品事業、不二越は部品事業、ツバキ・ナカシマはプレシジョン・コンポーネントビジネス事業、大豊工業は軸受製品事業、オイレス工業は軸受機器事業の売上高です。シェアとはベアリング業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでベアリング市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれベアリング業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

関連リンク

ベアリング業界を見た人は他にこんなコンテンツも見ています。関連業種の現状や動向、ランキング、シェア等も併せてご覧ください。

ベアリング業界 対象企業一覧

NTN、日本精工、ジェイテクト、ミネベアミツミ、不二越、大同メタル工業、ツバキ・ナカシマ、日本トムソン、大豊工業、オイレス工業、ヒーハイストの計11社

注意・免責事項

ベアリング業界の動向や現状、ランキング、シェア等のコンテンツ(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載しております。ベアリング業界のデータは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましてはできる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書や公開資料にてご確認ください。