モーター業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。モーター業界の過去の業界規模の推移をはじめ、電動機(モーター)の製造金額の推移グラフと売上高ランキング、EV用モーターの開発動向などをご紹介しています。
業界規模
3.4兆円
成長率
12.7%
利益率
6.2%
平均年収
665万円
モーター業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2021年と2022年は増加傾向にあります。
下のグラフは、電動機・モーターの製造金額の推移を示しています。経済産業省の生産動態統計年報(2023年6月公表)によると、2022年の電動機・モーターの製造金額は、前年比5.5%増の8,652億円でした。
電動機・モーターの製造金額の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、2017年から2020年までは緩やかな減少傾向にありましたが、2021年にから2022年にかけては増加に転じています。
2022年のモーター業界は、半導体不足の影響から一部で自動車生産台数の回復に遅れがあったものの、車載向けモーターの需要は堅調に推移しました。また、家電や空調機器、搬送用ロボット向けモーターも好調でした。一方、HDD向けなどの精密小型モータの需要は減少することとなりました。
モーター首位の日本電産は、コロナ禍の厳しい環境のなかでも過去最高の売上高を更新してきました。ウクライナ危機などリスク要因があったものの、2022年の売上高は2兆円を突破しています。車載や機器装置が好調に推移したことに加え、円安による為替差益も追い風となっています。
モーターは、電気を使って動力を得る装置のことで『電動機』とも呼ばれます。電気や電池などの「電気エネルギー」を、回転運動である「機械的エネルギー」に変換するための装置です。電気の流し方や作り方で大別され、主に「DCモーター」、「ACモーター」、「ステッピングモーター」の3つに分類できます。
モーターは、冷蔵庫や洗濯機、扇風機、スマートフォンやパソコン、自動車や産業機械、医療機器やOA機など幅広く使用されています。そのため、家電や産業機器、自動車業界などの動向に影響を受けやすい傾向にあります。
※はモーター関連の部門売上高。2022-2023年のモーター業界の売上高ランキングを見ますと、首位が日本電産、2位がミツバ、3位がミネベアミツミ、安川電機、マブチモーターと続きます。日本電産はHDD用モーターと車載用電動パワステモータで世界トップシェアを誇ります。2位のミツバを大きく引き離し、国内のモーター業界をけん引しています。
2021-2022年の売上高を見ますと、上位5社中4社が2ケタ増を記録しています。
近年、世界的な脱炭素の高まりから、自動車業界ではEV(電気自動車)の開発が活発化しています。一方、自動車の電動化によって、従来のガソリン車の「エンジン」は「駆動モーター(トラクションモーター)」へとシフトするため、車載用駆動モーターの開発競争が激化しています。
グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、自動車用トラクションモーターの世界市場規模は、2021年の41億ドルから2026年には173億ドルの拡大を予測しています。こうした市況から、モーター業界では今後の需要拡大を見込み、EV用駆動モーターを含む車載用モーター分野を強化しています。
車載用電動パワステモータで世界トップシェアを誇る日本電算は、「モーター、インバーター、減速機(ギア)」が一体となった、トラクションモータシステム『E-Axle』を2019年4月から量産を開始しています。2025年には自動車事業で売上高1兆3,000億円を目指し、電気自動車用駆動システムでは2030年までに世界シェア40~45%の獲得を目指しています。
日本電産開発のトラクションモータシステム「E-Axle」(EV駆動モータシステム)
また、日本電産は新興国での二輪や小型車も電動化のパラダイムシフトが急速に進展しているとして、ミニEVの普及拡大を見込んでいます。すでに電動バイク向けモーターは生産を開始していますが、今後は精密小型モーターの技術を活かし、「ミニ電気自動車向けモーター」の量産を計画するなど、ミニEV市場への参入も注力しています。
自動車電装品メーカーのミツバは、輸送用機器関連事業を中核事業としており、自動車やバイク用製品を中心に開発・生産しています。駆動用モーターでは、永久磁石を使用しない『SRモーター』を搭載した「軽EV車両」の開発に注力し、さらに、二輪EVの駆動モーターの開発も進めています。
ミネベアミツミでは、電気自動車の駆動モーター向けの、モーターの回転角を正確に制御するセンサー『VR型レゾルバ(回転角センサー)』を生産しています。その他、ボールベアリングや精密小型モーターで培われた精密機械加工技術を活かし、様々な車載用モーターの開発を行っています。
2021年のモーター業界は、新型コロナによる影響が依然としてありましたが、一部で経済再開の動きも見られ、全体的には増加に転じました。モーターは自動車や家電、産業ロボットをはじめ自動車のEV化の流れから、今後の需要拡大が見込まれています。こうした流れは始まったばかりですが、将来的な好機を捉え、今後の市場拡大につなげたいところです。
モーター業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでモーター市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | ニデック | 22,428 | ||
2 | ミツバ ※ | 2,987 | ||
3 | ミネベアミツミ ※ | 2,729 | ||
4 | 安川電機 ※ | 2,521 | ||
5 | マブチモーター | 1,567 | ||
6 | 三井ハイテック ※ | 1,001 | ||
7 | 愛知電機 ※ | 828 | ||
8 | 山洋電気 ※ | 639 | ||
9 | 三相電機 ※ | 76 |
※ミツバは輸送用機器関連事業、ミネベアミツミはモーター事業、安川電機はモーションコントロール事業、三井ハイテックは電機部品事業、愛知電機は回転機事業、山洋電気はサーボシステム事業、三相電機はモータ事業の売上高です。シェアとはモーター業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでモーター市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれモーター業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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