塗料業界の動向や現状、シェアやランキング等を掲載しています。データは2021-2022年。対象企業の過去の業績を追うことで塗料業界全体の現状や動向、傾向を知ることができます。
業界規模
1.6兆円
成長率
8.6%
利益率
6.0%
平均年収
702万円
塗料業界の過去の業界規模の推移を見ますと、長期的に緩やかな増加傾向にありましたが、2021年には伸びが拡大しています。
経済産業省の生産動態統計によると、2021年の塗料の販売金額は前年比5.1%増の6,534億円、販売数量は同2.7%増の160.7万tでした。
塗料の販売金額と販売数量の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)
塗料の販売金額と販売数量はともに2020年には大幅下落になりましたが、2021年は増加に転じています。2021年はコロナ前の2019年と比較すると、95%ほどの水準にまで戻っています。
塗料は表面加工材料の一種で、「素材の彩色」や「保護」などを目的に使用されます。防腐や防水、耐火といった保護、美観では色彩や光沢、平滑化、また遮熱や撥水、有害化学物質の吸着などの特殊な機能をもった塗料があります。
塗料業界の分野も様々で、建築、自動車、鉄道、船舶、航空機や宇宙関連など多岐にわたります
建築用では外装、内装、床に使用し、自動車では下塗りから中上塗り、化学処理剤や補修分野、工業用には金属やプラスチック用、構造物では鋼管、パイプ用の塗料があります。また、飲料のアルミ缶の処理なども行っています。
インフラ分野では、トンネル内のコンクリの剥離防止塗料、高速道路の防食なども行い、こちらは「ペイント」というより「補強・補修」の意味合いが強い分野になります。
2021-2022年の塗料業界の売上高ランキングによると、首位は日本ペイントHD、2位に関西ペイント、エスケー化研、中国塗料と続きます。日本ペイントHDと関西ペイントの売上高シェアが高いことが分かります。
国内首位の日本ペイントは建築分野をはじめ、自動車、建機、農機、オフィス機器向けなど幅広い塗料を展開しています。2位の関西ペイントも幅広く展開していますが、自動車塗料に強みを持っています。中国塗料は船舶用塗料、大日本塗料は国内の構造物の重防食に強く、なかでも窯業建材用塗料に注力しています。
2021-2022年は5社中3社が増収を記録するなど、塗料業界にとっては追い風の一年でした。
近年の塗料業界は米国や新興国の経済成長に伴い、業績を拡大させています。経済が発展するに従い、建築や住宅、自動車、船舶、航空など様々な塗料需要が生まれます。一般に、「塗料消費量は一人あたりのGDPと正の相関がある」といわれています。したがって、景気に敏感に反応しやすい業界とも言えるでしょう。
近年の塗料メーカー各社は海外展開を進めています。業界首位の日本ペイントは2017年に中国の塗料メーカー3社の株式を取得、翌年3月には米国の塗料会社を子会社化し、建築用塗料の製造・販売を本格化させます。
海外売上高比率が60%を超える関西ペイントは、東アフリカの塗料メーカーを買収。主力のインド市場に加え、アフリカ全体での事業拡大を目指します。エスケー化研や中国塗料は中国や東南アジアを中心に事業を展開。こちらも海外展開をさらに強化する構えです。
各社が海外展開を積極化する理由の一つに、「内装塗装」需要が挙げられます。日本では「壁紙」が主流ですが、海外では「壁紙」よりも「内壁塗装」が主流となっています。つまり、住宅の着工数にほぼ比例して内装塗装の需要も増える計算になります。
2021-2022年は、経済再開に伴う世界的な塗料需要の増加を背景に増加に転じました。米国の旺盛な住宅需要の増加、歴史的な円安なども追い風になっています。
一方で、相次ぐ原材料価格や物流費の高騰、米国や中国住宅需要の減退、半導体不足による自動車販売台数の減少、世界的なリセッション懸念など不確定要素も増えてきました。塗料業界は景気に敏感に反応しやすい業界ですので、今後の動向にますます目が離せなくなります。
塗料業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで塗料市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
※シェアとは塗料業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで塗料市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ塗料業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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