塗料業界の現状と動向、ランキングなどを分析

ペンキの缶とはけ

塗料業界の動向や現状、シェアやランキング等を掲載しています。データは2022-2023年。対象企業の過去の業績を追うことで塗料業界全体の現状や動向、傾向を知ることができます。

塗料業界(2022-2023年)

塗料業界の推移と基本情報

業界規模

2.0兆円

成長率

16.0

利益率

5.8

平均年収

731万円

  • 12年
  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

塗料業界の過去の業界規模の推移を見ますと、増加傾向にあり、2022年は大幅に増加しています。

塗料業界の動向と現状(2022-2023年)

塗料業界の現状と内容とは?建築、自動車、宇宙など多岐にわたる

経済産業省の生産動態統計(2023年6月30日公表)によると、2022年の塗料の販売金額は前年比6.7%増の6,973億円、販売数量は同3.4%減の155.2万tでした。

塗料の販売金額と数量の推移

塗料の販売金額と販売数量の推移(出所:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成)

塗料の販売金額と販売数量の推移を見ますと、2020年にはともに大幅下落、2021年は一転して増加。一方、2022年は販売金額が4年ぶりに6,900億円に達したものの、販売数量は再び減少に転じました。

塗料は表面加工材料の一種で、「素材の彩色」や「保護」などを目的に使用されます。防腐や防水、耐火といった保護、美観では色彩や光沢、平滑化、また遮熱や撥水、有害化学物質の吸着などの特殊な機能をもった塗料があります。

塗料業界の分野も様々で、建築、自動車、鉄道、船舶、航空機や宇宙関連など多岐にわたります

建築用では外装、内装、床に使用し、自動車では下塗りから中上塗り、化学処理剤や補修分野、工業用には金属やプラスチック用、構造物では鋼管、パイプ用の塗料があります。また、飲料のアルミ缶の処理なども行っています。

インフラ分野では、トンネル内のコンクリの剥離防止塗料、高速道路の防食なども行い、こちらは「ペイント」というより「補強・補修」の意味合いが強い分野になります。

塗料業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 日本ペイントHD 13,090
2 関西ペイント 5,090
3 中国塗料 994
4 エスケー化研 955
5 大日本塗料 728

2022-2023年の塗料業界の売上高ランキングによると、首位は日本ペイントHD、2位に関西ペイント、中国塗料と続きます。日本ペイントHDの売上高は2位以下を大きく引き離し、ダントツのトップであることが分かります。

国内首位の日本ペイントは建築分野をはじめ、自動車、建機、農機、オフィス機器向けなど幅広い塗料を展開しています。2位の関西ペイントも幅広く展開していますが、自動車塗料に強みを持っています。中国塗料は船舶用塗料、大日本塗料は国内の構造物の重防食に強く、なかでも窯業建材用塗料に注力しています。

2022-2023年は5社中5社が増収を記録するなど、塗料業界にとっては追い風の一年でした。

加速する海外展開 「内装塗装」需要に着目

部屋に塗料を塗っている様子

近年の塗料業界は米国や新興国の経済成長に伴い、業績を拡大させています。経済が発展するに従い、建築や住宅、自動車、船舶、航空など様々な塗料需要が生まれます。一般に、「塗料消費量は一人あたりのGDPと正の相関がある」といわれています。したがって、景気に敏感に反応しやすい業界とも言えるでしょう。

近年の塗料メーカー各社は海外展開を進めています。業界首位の日本ペイントは2017年に中国の塗料メーカー3社の株式を取得、翌年3月には米国の塗料会社を子会社化し、建築用塗料の製造・販売を本格化させます。海外事業は中国を含むアジアが中心で、海外売上高比率は全売上高の約86%を占めています。

海外売上高比率が70%を超える関西ペイントの主力はインド市場です。一方でアフリカ全体での事業拡大を目指していましたが、2022年6月に同業のオランダ企業へ事業の売却を発表、インドや欧州に注力します。エスケー化研や中国塗料は中国や東南アジアを中心に事業を展開。こちらも海外展開をさらに強化する構えです。

各社が海外展開を積極化する理由の一つに、「内装塗装」需要が挙げられます。日本では「壁紙」が主流ですが、海外では「壁紙」よりも「内壁塗装」が主流となっています。つまり、住宅の着工数にほぼ比例して内装塗装の需要も増える計算になります。

2022-2023年は、経済再開に伴う世界的な塗料需要の増加に伴い業績は拡大しています。自動車向けでは半導体不足の影響を受けつつも、前年に大きく落ち込んだ反動増が見られました。また、歴史的な円安や原材料価格の高騰による価格転嫁も追い風になっています。

一方で、相次ぐ原材料価格や物流費の高騰、米国や中国住宅需要の減退、米中の半導体輸出規制、世界的なリセッション懸念など不確定要素も増えてきました。塗料業界は景気に敏感に反応しやすい業界ですので、今後の動向にますます目が離せなくなります。

塗料業界 ランキング&シェア

塗料業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで塗料市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

塗料業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 日本ペイントHD 13,090
2 関西ペイント 5,090
3 中国塗料 994
4 エスケー化研 955
5 大日本塗料 728

※シェアとは塗料業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで塗料市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ塗料業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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塗料業界 対象企業一覧

日本ペイントHD、関西ペイント、中国塗料、エスケー化研、大日本塗料の計5社

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