住宅業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究しています。データは2022-2023年。住宅業界の過去の業界規模の推移をはじめ、2021年の新設住宅着工戸数、売上高ランキングと各社の取り組みなどを解説しています。
業界規模
16.2兆円
成長率
6.3%
利益率
3.6%
平均年収
655万円
住宅業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年は減少しましたが、2021年、2022年と増加に転じています。
2023年の新設住宅着工戸数(2023年1月公表)は前年比4.6%減の819,623戸でした。前年から減少し、4年連続で90万戸を割り込みました。新設住宅のうち戸建住宅(持家)は前年比11.4%減の224,352戸と2年連続で減少、貸家と分譲住宅はともに3年ぶりの減少に転じたことで、全体的に減少傾向にあります。
新設住宅着工戸数の推移(出所:国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)
首都圏を中心としたマンション価格の高騰で戸建て住宅が注目されてきています。マンションの価格が高騰しすぎているため、戸建て住宅の方が割安ととらえられ、マンションから戸建てに需要が流れ始めているのが近年の特徴です。
また、コロナ禍における感染予防に対する意識の高まりで、戸建て住宅への注目が高まりました。一方で2023年の持家は、首都圏や中部、近畿やその他の地域で13~10%の減少となりました。背景には、コロナ禍での需要に一服感が出ていることや、資材などコストの高騰による住宅価格の上昇が挙げられています。
近年の住宅業界の動向を見ますと、2017から18年に異業種による住宅メーカーの買収が相次ぎました。トヨタ自動車を親会社に持つ「トヨタホーム」、パナソニックやヤマダ電機が完全子会社化や連結化を行うなど、住宅業界に他業種が参入してきています。
また、大手の住宅メーカーもゼネコンとの資本業務提携を活発化させ、商業施設と住宅地が一体化した施設の開発を行っています。
住宅業界大手5社の2022年(2023年3月決算)の売上高は、大和ハウス工業が前年比10.6%の増加、積水ハウス13.1%増、住友林業が20.5%増、飯田グループHDが同3.8%増、オープンハウスは17.5%の増加でした。5社ともに前年を上回りました。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 大和ハウス工業 | 49,081 | |
2 | 積水ハウス | 29,288 | |
3 | 住友林業 | 16,697 | |
4 | 飯田グループHD | 14,397 | |
5 | オープンハウスグループ | 9,526 |
2022年の住宅業界売上高ランキングを見ますと、首位を独走するのが大和ハウス工業、次いで積水ハウス、住友林業、飯田グループHD、オープンハウスと続きます。住宅業界でトップの大和ハウス工業は、国内のみならず海外でも住宅事業を展開、今後も需要が見込める米国に進出しています。
2022-2023年の住宅業界の主なニュースを厳選してまとめました。直近の住宅業界の動向を把握するのにお役立て下さい。
近年、業績がふるわない住宅メーカ各社は、海外事業に力を入れています。欧米などの先進国のみならず、東南アジアなどの新興国にも進出しています。戸建てはもちろんマンションやビル、物流倉庫の建設、賃貸事業、都市開発なども行っています。
大和ハウスは、米国や豪州、東南アジアに進出。アジアではジャカルタの南東部の都市開発やミャンマーの大規模複合開発事業、ベトナムの賃貸事業やホテルサービスを兼ね備えたサービスアパートメントを着手しています。また、ヤンゴン市の一部地区の鉄道整備事業を受注、オーストラリアでの大規模住宅地開発を、アメリカではミレニアル世代向け都市型賃貸住宅開発事業、加えて2021年にはテキサス州で戸建住宅事業を展開するキャッスルロック社を子会社化しました。
積水ハウスは、英国、豪州、米国、中国、シンガポールで展開しています。米国では高価格帯の戸建住宅販売事業に参入し、豪州では木造住宅「シャーウッド」の建売に特化。中国やシンガポールでは高級大型マンション、分譲マンションや低層タウンハウスなどを開発しています。
また、同社の2023-2025年の中期経営計画では、2025年までに米国、欧州を中心に供給戸数1万戸を目指しています。なかでも米国での事業エリアの拡大を図っており、M&Aによる南東部地域への進出に注力しています。
飯田グループHDは、インドネシア、ロシア、米国、フィリピンなどで事業を展開。ロシアでは木造住宅の建設やサービスアパートメント事業を手掛け、インドネシアでは戸建住宅事業を進めています。同社は2022年1月にロシアの木材調達企業を買収しましたが、ロシアによるウクライナ進行後も、ロシア事業を当面継続することを2022年5月に発表しています。
いずれも大手ハウスメーカーは海外展開を強めており、こうした傾向は続くと見られます。
国内は少子高齢化による人口減少で世帯数は減少を記録しています。国内の住宅市場が縮小するなかで、大手各社は「非住宅分野」の事業強化を進めています。
ハウスメーカー各社は建築部材の開発促進、サービス付き高齢者向け住宅やオフィスビル、複合施設と住宅一体化型施設の建設などを手がけています。一部地域では国による高層木造建築の整備が進行中で、大手の中高層ビルの建設が始まりました。
飯田グループHDは世界初の、二酸化炭素を活用した人工光合成ハウス(太陽光エネルギーから水素を作り出し、発電給湯を行う技術)の実証実験を宮古島で行っています。
2022年現在、すでに住宅数は総世帯数を上回っています。人口減少が進む国内では住宅需要の低迷は避けられないうえに、空き家は増々増加しています。国内では新築の人気が高く、中古住宅の需要が少ないため、国は改修市場拡大を支援しています。大手住宅メーカーも売買を後押しするなど対策をしていますが、需要を期待していたリフォーム需要は伸び悩んでいます。
住宅業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで住宅市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 大和ハウス工業 | 49,081 | ||
2 | 積水ハウス | 29,288 | ||
3 | 住友林業 | 16,697 | ||
4 | 飯田グループHD | 14,397 | ||
5 | オープンハウスグループ | 9,526 | ||
6 | 旭化成 ※ | 8,989 | ||
7 | 積水化学工業 ※ | 5,354 | ||
8 | 一条工務店 | 4,870 | ||
9 | ミサワホーム | 4,214 | ||
10 | ポラス | 3,103 |
※旭化成、積水化学工業は住宅事業の売上高です。はシェアとは住宅業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで住宅市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ住宅業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業、飯田グループHD、オープンハウスグループ、旭化成、積水化学工業、一条工務店、ミサワホーム、ポラス、タマホーム、ケイアイスター不動産、パナソニックホームズ、三井ホーム、三栄建築設計、フジ住宅、ヤマダホームズ、ウエストHD、日本ハウスHD、サンヨーホームズ、ファースト住建、新昭和、土屋HD、アグレ都市デザイン、LibWork、フォーライフ、アールシーコア、KHC、フィット、創建エースなどの計30社
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住宅 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | 大和ハウス工業 | 49,081 | |
2 | 積水ハウス | 29,288 | |
3 | 住友林業 | 16,697 | |
4 | 飯田グループHD | 14,397 | |
5 | オープンハウスグループ | 9,526 |