不動産業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを研究。不動産業界の市場規模の推移をはじめ、不動産取引件数と取引価格の推移、戸建住宅とマンション価格の推移や、空室率などオフィス賃料の動向、2022年の業界ニュースなどを解説しています。
業界規模
17.5兆円
成長率
3.5%
利益率
3.7%
平均年収
688万円
不動産業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2021年までは横ばいで推移していましたが、2022年は増加に転じています。
それでは直近の不動産業界の動向を見ていきましょう。下のグラフは2024年7月までの不動産の取引件数と価格指数の推移を示したものです。
不動産取引件数と価格指数の推移(出所:国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)
直近の2021年から2024年7月の動向を見ますと、取引件数は月によりまちまちですが、不動産価格が上昇していることが分かります。日銀による金融緩和と世界的なインフレの影響により、世界の投資マネーが日本の不動産市場に流れ込んでいます。
2022-2023年の不動産業界は、総合デベロッパーは昨年から高水準を維持し、全体では昨年の業績を上回る企業が多い1年でした。超低金利と円安を背景に、海外投資家の不動産売買が活発化しています。ECにより需要が高まっている物流施設やデータセンターへの投資も積極化しています。また、経済再開の動きが本格化し、リモートワークから出社を再開する企業の動きや昨年まで低迷していたホテルや商業施設の需要も回復しつつあります。
今後、2025年にもオフィスの大量供給を控えています。その一方で供給過剰問題も控えており、高止まりしているオフィス空室率にさらなる上振れ圧力がかかることが予想されます。また、直近の日本の物価指数は上昇傾向にあり、日銀が目標とする政策金利2%を大きく上回りました。今後の政策金利の見直しによる不動産価格の下落も懸念されており、先行き不透明感が漂います。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | 三井不動産 | 22,691 | |
2 | 三菱地所 | 13,778 | |
3 | 大東建託 ※ | 11,030 | |
4 | 東急不動産HD | 10,058 | |
5 | オープンハウスグループ | 9,526 |
※は不動産事業の売上高です。2022-2023年の不動産業界 売上高ランキングによると、首位は三井不動産、2位は三菱地所となっています。首位の三井不動産はオフィス賃貸をはじめ、分譲マンションや賃貸マンション、商業施設やホテル、管理・賃貸・売買仲介など幅広いセグメントを展開しています。
2位の三菱地所もオフィスビル賃貸をはじめ、分譲マンションや物流施設、商業施設やホテル、空港、海外不動産開発などこちらも幅広いセグメントで展開しています。2022-2023年は上位不動産会社5社中2社が増加、3社が横ばいとなりました。業界全体としては増加で推移しています。
続いて、不動産市場の中での戸建・マンション部門の動向を見ていきましょう。
下のグラフは2024年7月までの戸建、マンションの取引件数と価格指数の推移を示したものです。棒グラフは取引件数、折れ線グラフは価格指数を示しています。
戸建・マンションの取引件数と価格指数の推移(出所:国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)
2021年から2024年7月までの推移をみますと、取引件数は月によりまちまちですが、価格指数は戸建、マンションともに増加傾向にあることが分かります。さらに、グラフを見るとマンションの価格が高水準で上昇していることが分かります。
不動産経済研究所の調査では、2023年3月には首都圏新築マンション平均価格が前年比120.3%増の1億4,360万円と、初の1億円越えを記録しました。また、2023年の首都圏新築マンションの平均価格は前年比28.8%増の8,101万円となり、過去最高値を大幅に更新しています。直近では2024年9月現在の首都圏新築マンション平均価格は前年同月比 15.0%増の7,739万円と、いずれもバブル期の1990年度(6,214万円)を超える水準となっています。
東京カンテイの調査(2024年10月公表)によると、2023年の新築マンションの年収倍率は、東京都で17.78倍、神奈川県13.06倍、埼玉県10.99倍、首都圏では13.07倍となりました。全国平均では10.09倍となり、集計開始以来で初めて10倍を超えることとなりました。日本のバブル期にあたる1990年の年収倍率は東京で18.12倍でしたので、近い水準にまではきていることが分かります。
年収倍率やマンション価格を考察しますと、現在の新築マンション価格は明らかに適正水準を超えており、一般的な給与所得者が購入できる水準からかけ離れていると言わざるを得ません。今後、いずれかのタイミングで修正が入る可能性があります。
続いて、不動産市場の中でのオフィス賃貸の動向を見ていきましょう。オフィス賃貸は三井や三菱、住友不動産といった大手不動産会社にとって主力の事業で、収益の柱となっています。
三井や三菱、住友などの大手不動産は丸の内や日本橋、新宿など都心の一等地にオフィスビルを所有しており安定した賃貸収入があります。こうした安定収入を元にマンションやオフィス、ホテルなど様々な不動産開発を行っています。
東京5区 オフィスの空室率の推移(出所:三鬼商事、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは2020年6月から2024年10月までの東京5区のオフィス空室率の推移です。
グラフを見ますと、近年は高値圏の横ばいで推移していましたが、直近では下落傾向にあるのが分かります。また、2020年-2021年と2023-2024年までを比較しますと、2023-24年はエリアによる空室率の差が大きくなっていることが分かります。港区の空室率は高止まりから一転減少傾向、さらに千代田区、新宿、中央区も減少傾向、渋谷区においては横ばいで推移しています。全体的に下落傾向にありますが、依然としてエリアによる人気の差は拡大した状態です。
一般的に、オフィス空室率は5%を超えると賃料が下落すると言われています。2024年10月現在、ボーダーとなる5%を上回る都市は2区となり、東京5区の平均は4%台へ突入しました。また、東京ビジネス地区の平均賃料も2024年1月を底に上昇へ転じています。
一般的にオフィス賃貸は普通借家契約が多く、6カ月前に解約通知するのが通例です。コロナが流行した20年の夏から、空室率が上昇しているのはこれが原因でした。一方、2024年10月は移転や大型の解約が少なかったことから空室率が低下、20年12月以来の低水準となっています。オフィス賃貸は大手不動産の大事な収益柱でもありますので、空室率の上昇は避けたいところです。
2022-2023年の不動産業界は、昨年から引き続き増加となりました。また、2022-2023年もマンション価格の高騰が目立ちました。首都圏のマンション価格がバブル時の価格を超え、年収倍率もバブル時に迫る勢いです。オフィス空室率も2021年に天井を付けましたが、高値圏での推移が見られます。オフィス賃貸は大手不動産の収益柱ですので、今後の不動産市場を占う試金石となります。
今の不動産業界は、不動産価格の高騰や政策金利の見直しなど注意すべき事項が増えてきました。この記事では不動産価格や空室率などを毎月、更新しています。ぜひチェックしてみて下さい。
不動産業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで不動産市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 三井不動産 | 22,691 | ||
2 | 三菱地所 | 13,778 | ||
3 | 大東建託 ※ | 11,030 | ||
4 | 東急不動産HD | 10,058 | ||
5 | オープンハウスグループ | 9,526 | ||
6 | 住友不動産 | 9,399 | ||
7 | 野村不動産HD | 6,547 | ||
8 | ヒューリック | 5,234 | ||
9 | オリックス | 4,187 | ||
10 | レオパレス21 | 4,064 |
※大東建託は不動産事業の売上高です。シェアとは不動産業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで不動産市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ不動産業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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三井不動産、三菱地所、大東建託、東急不動産HD、オープンハウスグループ、住友不動産、野村不動産HD、ヒューリック、オリックス、レオパレス21、イオンモール、東京建物、東建コーポレーション、パーク24、森ビル、阪急阪神HD、森トラスト、ケイアイスター不動産、ナイス、スターツコーポレーション、日鉄興和不動産、MIRARTHHD、プレサンスコーポレーション、日本ハウズイング、近鉄グループHD、三栄建築設計、サムティ、リログループ、コスモスイニシア、カチタスなどの計143社
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不動産 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | 三井不動産 | 22,691 | |
2 | 三菱地所 | 13,778 | |
3 | 大東建託 | 11,030 | |
4 | 東急不動産HD | 10,058 | |
5 | オープンハウスグループ | 9,526 |