APARTMENT MANAGEMENT
グラフはマンション管理業界の管理戸数(対象企業の管理戸数計)の推移をグラフで表したものです。
マンション管理業界の管理戸数の推移を見ることで市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2018年-2019年のマンション管理業界の管理戸数計(主要対象企業23社の売上高の合計)は328万4,550戸となっています。
マンション管理業界の過去5年間の管理戸数の推移
マンション管理業界の管理戸数の推移をみますと、1970年代から急速に増加したマンション供給は2008年のリーマンショックをきっかけにピークダウンしましたが、近年の管理戸数は緩やかな上昇基調となっています。
分譲マンションのストック数と新規供給戸数の推移(国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)
上のグラフは分譲マンションのストック数と新規供給戸数の推移です。ストック数は緩やかな上昇基調となっていますが、新規供給戸数は2010年ごろから停滞しています。供給戸数の減少は管理戸数の伸び鈍化に直結するため、注意すべき動きです。こうした動向を受け、業界では買収によって管理戸数を増やす動きが見られています。
マンション管理会社の多くはグルーブ会社が販売したマンションを管理しており、大手不動産会社の寡占化が進んでいる状況です。マンション管理上位5社の内、独立系は日本ハウズイング一社のみで、残りは大手グループの系列会社です。
人手不足問題はマンション管理業界でも深刻化しています。元々、マンション管理員はシニア層により支えられていましたが、近年は他の企業の再雇用などの影響で人材確保が難しくなっています。全体的に管理員のなり手が不足しており、企業は賃金や採用開始年齢の引き上げ、業務効率化を図るなど様々な対策を進めています。
近年、老朽化するマンションは増加していますが、管理費、修繕費の上昇による住民の反発、滞納など課題も多くみられ、企業収益の圧迫も懸念されています。
マンション管理業界は新築の供給減少で市場の伸びは緩やかですが、2025年には8,600億円規模の市場になると予想されています。ただ、長期的には少子高齢化や人口減少などにより新築の供給は減り、市場の伸びは減速すると見られています。
人材の確保や最低賃金の値上げなどで労務費が高騰しているため、今後も管理料が上昇すると見られます。AIやオペレーター等による業務効率化や無人化を始めている企業もありますが、ゴミ出しや清掃、保守点検など人の手を必要とする業務も多く、人員の確保や管理委託費の見直しが課題となります。
また、今後の日本では築年数が経過したマンションが大幅に増加する見込みです。築年数が増加したマンションは修繕費がかかるばかりではなく、老朽化による事故の発生など安全面での考慮も課題となります。いずれ社会的に深刻な問題になるでしょう。
築30、40、50年の分譲マンション戸数の推移(国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)
マンション管理業界は「ストックビジネス」の典型的な例で、管理戸数を伸ばすことで収益を積み上げていきます。一方で、管理戸数を伸ばすにはある程度の資本力も必要となるため、中小企業の淘汰や大手による買収が増えるのではないかと予測されます。
国内事業と並行してマンション管理各社は近年、海外事業も強化しています。大手では日本ハウズイングが1994年から中国、台湾に進出、2016年にはベトナムやシンガポールで清掃会社や建築設備企業を買収し、ASEAN地域の進出に先駆けています。東急コミュニティーも2018年にインドネシアに進出し、東急不動産開発の分譲マンションの管理を開始、2019年にはベトナムでもマンション管理を展開しています。
大手管理会社は経済成長が著しいアジアでの展開を進めています。大手では親会社が建設した物件の管理を受け持つことができるので、管理戸数のストックを積み上げやすい構図にあります。
企業名 | 管理戸数 | シェア | 単位:戸 | |
1 | 日本ハウズイング | 448,774 | 13.7 | |
2 | 大京アステージ | 428,633 | 13.0 | |
3 | 東急コミュニティー | 338,581 | 10.3 | |
4 | 三菱地所コミュニティ | 334,601 | 10.2 | |
5 | 長谷工コミュニティ | 275,084 | 8.4 | |
6 | 大和ライフネクスト | 265,512 | 8.1 | |
7 | 三井不動産レジデンシャルサービス | 205,426 | 6.3 | |
8 | 合人社計画研究所 | 204,652 | 6.2 | |
9 | 住友不動産建物サービス | 190,721 | 5.8 | |
10 | コミュニティワン | 163,916 | 5.0 |