土木業界の動向や現状、ランキングなどを研究

土木工事をしている様子

土木業界のレポート。データは2022-2023年。動向、現状、ランキング、シェアなどを研究しています。土木業界の過去の市場規模の推移をはじめ、主要土木会社5社の売上高の推移、老朽化が進むインフラの現状、課題である人手不足問題への各社の取り組みなどを解説しています。

土木業界(2022-2023年)

土木業界の推移と基本情報

業界規模

2.2兆円

成長率

0.8

利益率

3.9

平均年収

734万円

  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年
  • 22年

土木業界の過去の業界規模の推移を見ますと、ほぼ横ばいで推移しています。

土木業界の動向と現状(2022-2023年)

2022年の土木大手はやや増加へ 老朽化や防災など需要底堅い

土木会社大手4社の売上高の推移(出所:各社決算資料、グラフは業界動向サーチが作成)

上のグラフは大手土木会社4社の売上高の推移を示したものです。2012年から2020年にかけては緩やかな増加が見られたものの、2020年から2021年は減少傾向にあります。一方、2022年は増加および横ばいで推移しています。(※インフロニア・HDは2021年10月に統合したばかりの会社なので、グラフの対象外にしています。)

2023年3月決算の土木大手4社の業績は、NIPPOが前年比0.2%増の4,375億円、日本道路が0.6%減の1,553億円、東鉄工業が8.6%増の1,246億円、東亜道路工業が5.9%増の1,187億円となりました。

2022年は主な土木会社29社中13社が増加、12社が横ばい、4社が減少を記録しました。全体的には小幅な増加に転じた一年でした。

2022年の土木業界では前年の大型案件の不足を背景に、一部企業の期首手持工事高が昨年から縮小しました。また、防衛関連などの政府建設が高水準を維持、民間建設においては製造業を中心に一部で回復の兆しが見られました。

土木業界では首都圏の再開発に加え、インフラ老朽化の整備や防災関連など引き続き底堅い需要が続くものと見られます。一方、国内の受注競争は激しくなっており、採算性の低下が懸念されます。また、人件費の高騰も収益圧迫の原因となっており、決して楽観視はできない状況です。

土木業界 売上トップ5(2022-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 NIPPO 4,375
2 インフロニア・HD 3,957
3 日本道路 1,553
4 東鉄工業 1,246
5 東亜道路工業 1,187

※は土木関連の部門売上高。2022年の土木業界の売上高ランキングは、首位がNIPPO、2位がインフロニア・HD日本道路と続きます。

土木業界では再編の動きが広がっています。首位のNIPPOは、ENEOS HDとゴールドマンサックスの設立会社によるTOBが2021年12月に成立しました。一方、2位のインフロニア・HDにおいては、2021年10月に前田建設前田道路、前田製作所による3社合同持株会社を設立しています。2022年3月には日本道路が清水建設の連結子会社になりました。

高度成長期から50年「老朽化進むインフラ」 改修需要の拡大

土木建設のイメージ

土木業界は、道路や河川、ダムや上下水道、空港や鉄道などのインフラ建築を担っており、インフラ整備は経済活動や人々の生活を支える重要な役割を果たしています。

1960~70年代の高度経済成長期に整備されたインフラは、現在50年以上が経過し老朽化が進んでいます。高速道路や橋、トンネルといったインフラの老朽化がさらに進行すれば、いずれ大事故につながる恐れがあり、改修工事が必要な時期に突入しています。

国土交通省によると、50年以上経過するインフラ建築の割合は、道路橋(長さ2m以上)では、2020年の30%が20年後の2040年には75%に、トンネルは22%から53%、港湾岸壁では21%から66%、河川管理施設(水門等)では10%が38%へ、下水道管きょは5%から35%と多くが50%を超えます。

インフラ12分野の維持管理・更新費用においては、2018年度の5.2兆円が、30年後には6.5兆円にも膨らむと推計されており、今後30年で必要となる費用は最大で194.6兆円にも及ぶと考えられています。

近年、相次ぐ豪雨災害の増加をきっかけに、老朽化したインフラを見直す動きも各地で見られています。政府はメンテナンス強化によるインフラの「長寿命化」や、自然災害になどに備えるための「国土強靭化」を掲げており、地方公共団体や民間共に連携、今後は老朽化対策による需要の拡大が予想されます。

人手不足が深刻化 担い手の確保と賃金の改善が課題

道路を工事している様子

土木業界では、インフラの老朽化対策や災害による復旧工事を背景に、需要の底堅さを見せていますが、一方で人手不足は深刻化しています。

人材不足の原因には、重労働なうえに低賃金や休日取得の低さ、団塊の世代の一斉退職などが挙げられます。また、汚い、きつい、危険という「3K」の負のイメージが未だに根付いてることも大きな影響を与えているでしょう。

2023年12月現在、「土木」の有効求人倍率は7.43倍と、依然として高い水準にあり、働き手不足が伺えます。こうした状況を踏まえると、人材不足が続くことで技術の継承不足、点検やメンテナンス業務の不足も懸念されます。

こうした動向を受け土木業界では、人材が少ない中でも生産性の向上を目指し、機械化やIT化などデジタルを活用し省人化を図っています。川田テクノロージーズでは、溶接工場でロボットを導入、さらに溶接技術継承にとXDR技術を用いた「3D溶接部可視化マスク」の開発に着手しています。

少子高齢化の進展により労働人口は今後も増々減少することから、土木業界における人材確保は急務となっています。賃金の見直しも含め、抜本的な改善が期待されるところです。

土木業界 ランキング&シェア

土木業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで土木市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

土木業界 売上高&シェアランキング(2022年-2023年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 NIPPO 4,375
2 インフロニア・HD 3,957
3 日本道路 1,553
4 東鉄工業 1,246
5 東亜道路工業 1,187
6 川田テクノロジーズ 1,180
7 ライト工業 1,149
8 ピーエス三菱 1,093
9 世紀東急工業 924
10 松尾建設 894

※インフロニア・HDは舗装+土木事業の売上高です。シェアとは土木業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで土木市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ土木業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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土木業界 対象企業一覧

NIPPO、インフロニア・HD、日本道路、東鉄工業、東亜道路工業、川田テクノロジーズ、ライト工業、ピーエス三菱、世紀東急工業、松尾建設、ショーボンドHD、日特建設、不動テトラ、日本国土開発、ビーアールHD、佐藤渡辺、三井住建道路、富士ピー・エス、日本基礎技術、テノックス、日本乾溜工業、太洋基礎工業、ナカボーテック、コーアツ工業、日建工学、サイタHD、大盛工業、麻生フオームクリート、地盤ネットHDの計29社

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