運送業界の動向や現状、ランキングなどを解説

倉庫や物流など運送のシステム

運送業界の動向や現状、課題とランキングなどを分析しています。運送業界の過去の業界規模の推移をはじめ、宅配便個数の推移グラフ、ネット通販の影響と人材不足などの課題、各社の海外展開の動向などを解説しています。

運送業界(2021-2022年)

運送業界の推移と基本情報

業界規模

13.9兆円

成長率

3.0

利益率

4.5

平均年収

610万円

  • 13年
  • 14年
  • 15年
  • 16年
  • 17年
  • 18年
  • 19年
  • 20年
  • 21年

運送業界の過去の市場規模の推移を見ますと、2015年から2021年まで緩やかな増加傾向にあります。運送業界の規模は大きく、日本経済への影響が大きな市場です。成長率はやや高めなのも特徴的です。

運送業界の動向と現状(2021-2022年)

宅配便が前年比2.4%増加 ネット通販拡大の追い風続く

国土交通省の調べによると、2021年度の宅配便取扱個数は、前年比2.4%増の49億5,323万個でした。うち構成比の98%を占めるトラック運送は前年比2.0%増の48億8,206万個でした。

宅配便取扱個数の推移(出所:国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)

宅配便取扱個数の推移を見ますと、2021年度にかけて増加傾向にあります。とくに、2020と2021年度の成長が著しく、直近の2年で大きく増えていることが分かります。

2021年度の宅配便取扱数の企業別シェアは、首位がヤマト運輸でシェア46.6%、佐川急便28.0%、日本郵便20.2%となっています。これら3社でのシェアが約95%を占めており、宅配便では事実上、上位3社の寡占状態となっています。

近年はネット通販市場の拡大に加え、フリマアプリによる個人間取引も増えており、宅配便の取扱個数が増加しています。さらに、新型コロナウイルスの影響で、消費者のEC利用率が高まっています。経済産業省によると2021年の国内における物販系ネット市場規模は前年比8.6%増の13.2兆円を記録し、右肩上がりとなっています。

ここ数年のネット通販市場の拡大が、運送業界の業績を大きく引き上げています。2021年から2022年は、経済再開の動きからネット通販の需要は一旦落ち着くことが予想されますが、コロナ禍で落ち込んだ製造業関連の荷動きには回復の兆しが見れます。一方で、燃料代の高騰や人手不足、交通網の渋滞など課題も多くあり、収益性の向上や業務効率化などが求められます。

運送業界 売上トップ5(2021-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 日本郵政 20,030
2 ヤマトHD 17,936
3 日本通運 17,632
4 SGホールディングス 15,883
5 近鉄エクスプレス 9,804

※は郵便・物流事業の売上高。2021-2022年の運送業界の売上高を見ますと、首位が日本郵政、2位がヤマトHD日本通運SGHD近鉄エクスプレスと続きます。

2021-2022年は上位5社中3社が増収、1社が横ばい、1社が減収となりました。業界全体としては増収を記録しています。

運送業界の課題は人材不足、2024年問題 進む「業務効率化」

高度な物流システムのイメージ

近年のインターネット通販の成長による宅配便の増加は、運送業界には大きな追い風です。一方でドライバーや作業員の人材不足は深刻化しており、業界の課題となっています。

さらに、2024年には時間外労働の上限がドライバーにも課されることとなり(いわゆる「2024年問題」)、より効率的な運営が求められています。こうした動向を受け、運送業界では同業他社や異業種間での業務提携を行っており、業務効率化や省人化を進めています。

近年では運送会社と共に過疎地などの路線バスやタクシー、電車などの交通機関が宅配便を輸送する「客貨混載」を開始しています。2020年3月には、宮崎県の村営バスとヤマト運輸佐川急便、日本郵便の3社が初の共同配送を開始、物流の効率化に加え地域のインフラ活性化にも一役買っています。

また、宅配大手のヤマトHDは、成長するECや企業間配送に対応するために都市部を中心に「ラストワンマイルネットワーク」の構築を展開しています。オープン型宅配便ロッカー「PUDO」などの整備を進め、物流ネットワーク全体の効率化を目指します。

SG HDでは、AI活用で配送伝票業務を自動化、集荷時の荷物情報読み取りの自動化、集配コースの平準化などを進めています。日本郵政は都営地下鉄の一部のコインロッカーで荷物を受取れる「はこぽす」のサービスを開始しています。

一方、荷主側でも新たな物流網ができ始めています。ネット通販大手では「自前物流」を構築、アマゾンは地域限定の配送業者と契約、さらに個人事業主に直接配送を依頼する「アマゾンフレックス」を、アスクルも同様に「エコ配フレックス」を始めています。

2022-23年の運送業界のニュース

2022-2023年の運送業界の主なニュースを抜粋してみました。直近の運送業界の動向を把握するのにお役立て下さい。

海外展開の動向 運送大手はアジア圏の展開を加速

世界的な運送システム

日本の運送大手各社は、海外事業も展開しています。

国内の運送市場は、宅配便需要の伸びにより堅調な推移を見せていますが、将来的には人口減少などを背景に国内のネット通販も成熟、需要は頭打ちを迎えることになるでしょう。輸送大手では、今後を見据え成長著しいアジア市場への海外進出を強化させています。

宅配大手のヤマトホールディングスはおよそ25の国と地域で展開。主な地域は米国、欧州、そしてアジア市場である台湾、上海、シンガポール、香港での宅急便ネットワークを広げる狙いです。米国のテキストロン社との共同開発「空飛ぶトラック」は2025年の実用化を目指しています。

運送大手のSG HDはシンガポールに海外事業の統括拠点を設置、中国や台湾、フィリピンやタイ、スリランカやインドの東南アジアや南アジア地域、アメリカや中東、アフリカにも進出しています。2020年2月には、ベトナムにおける3温度帯(ドライ、冷蔵、冷凍)管理輸送の支援をしています。

さらに、総合物流の日本通運は陸、海、空と多様な物流網を持ち、日本をはじめとする、米州、欧州、東アジアや南アジア、オセアニアの5極体制展開。大メコン圏の関係国であるタイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、中国の5ヶ国で越境トラック輸送を開始しています。

運送大手の日立物流は米州、欧州の他、中国、台湾、韓国、タイ、インドネシア、インド、ベトナム、オーストラリアなどに物流会社を開設。2022年3月現在で28の国と地域で展開しています。

近年の運送業界は、成長するネット通販の恩恵を受け、業績を拡大させてきました。ポストコロナでは、停滞していた企業間物流も回復傾向にあり、運送業界へのニーズは日々高まっています。一方で、人材不足や2024年問題などの課題もあり、収益性の向上とさらなる業務効率化が求められています。

運送業界 ランキング&シェア

運送業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することで運送市場のシェアや現状、動向を知ることができます。

運送業界 売上高&シェアランキング(2021年-2022年)

順位 企業名 売上高(億円)
1 日本郵政 20,030
2 ヤマトHD 17,936
3 日本通運 17,632
4 SGホールディングス 15,883
5 近鉄エクスプレス 9,804
6 日立物流 7,436
7 センコーグループHD 6,231
8 セイノーHD 6,076
9 山九 5,538
10 SBSホールディングス 4,034

※日本郵政は郵便・物流事業の売上高です。シェアとは運送業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することで運送市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれ運送業界の詳細ランキングページにジャンプします。

その他のランキング

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運送業界 対象企業一覧

日本通運、日本郵政、ヤマトHD、SGホールディングス、日立物流、近鉄エクスプレス、セイノーHD、センコーグループHD、山九、鴻池運輸、福山通運、SBSホールディングス、ニッコンHD、日新、トナミHD、丸全昭和運輸、ハマキョウレックス、日本郵船、丸和運輸機関、名鉄運輸、C&Fロジホールディングス、アルプス物流、ゼロ、阪急阪神HD、ロジネットジャパン、新潟運輸、日本ロジテム、ニヤクコーポレーション、エスライン、丸運などの計41社

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