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目次
グラフは高速道路業界の業界規模(対象企業の6計)の推移をグラフで表したものです。
高速道路業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の高速道路業界の業界規模(主要対象企業6社の売上高の合計)は3兆5,605億円となっています。
高速道路業界の過去11年間の業界規模の推移
高速道路業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2018年まではおおむね増加傾向にありましたが、2018年から2020年までは減少傾向で推移しています。
下のグラフは、高速道路5社の2012年から2020年までの売上高の推移を表したものです。
高速道路業界5社の売上高の推移(出所:各社有価証券報告書より、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフによると、年によって売上高にばらつきがあるのが特徴的です。なかでも2012年から2020年までの上位3社の順位は大きく変動しています。一方、2019年から2020年になると5社ともに減少しました。
高速道路各社の2020年の売上高は、東日本高速道路は前年比5.5%減の1兆1,946億円、西日本高速道路は同14.4%減の9,309億円、中日本高速は15.1%減の8,755億円となりました。
2020年の高速道路業界は、新型コロナによる感染拡大の影響を大きく受けました。外出自粛や経済活動の停滞により交通量や料金収入が減少、加えてSAやPAの利用も減り、飲食およびお土産等の物販売上も減少しました。そのため、上位3社ともに減収、さらに会社設立以来の初の赤字を記録しました。
2020年の高速道路業界の売上高ランキングを見ますと、首位は東日本高速道路、2位が西日本高速道路、3位が中日本高速道路、首都高速道路、阪神高速道路と続きます。業界トップの東日本高速道路は前年の1兆2千億円台を割り込んだものの、1兆円台はキープすることができました。
一方、西日本と中日本高速道路は、1兆円代を割り込む形となりました。ここ数年、西日本と中日本高速道路は2位争いをしており、今後も状況に応じて順位が入れ替わる可能性があります。
近年、高速道路業界では、道路や橋梁の老朽化が課題の一つに挙げられています。
高速道路は開通から40~50年経過しており、東日本、西日本、中日本の3社では「高速道路リニューアルプロジェクト」を実施し、インフラの老朽化対策に注力しています。
東日本道路の「高速道路リニューアルプロジェクト」
高速道路では経過年数に伴う橋やトンネルの老朽化の進行、加えて交通量や大型自動車の利用増加、凍結剤散布による道路の劣化なども重なり、老朽化が加速しています。
東日本高速道路の発表によると2015年時点で経過年数が30~50年以上の道路の割合は4割となっており、このまま進むと2030年には8割に増加することが予測されています。
今現在、東日本高速道路と中日本高速道路の2社においては、30年を経過した道路が4割にのぼります。中日本が管轄する明神高速道路に至っては、30年以上経過した道路が約6割を占めており、抜本的かつ大規模なリニューアルが必要となります。こうした点から、NEXCO3社はそれぞれ、2030年まで大規模な「高速道路リニューアルプロジェクト」を実施しています。
2020年の高速道路業界は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり落込みが見られました。一方で、コロナ禍におけるECの利用増加で物流は比較的堅調に推移しました。日本の物流を支えるうえでも高速道路の修理・修繕は欠かせず、プロジェクトの重要性は今後も増してくることでしょう。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | 東日本高速道路 | 11,946 | 33.6 | |
2 | 西日本高速道路 | 9,309 | 26.1 | |
3 | 中日本高速道路 | 8,755 | 24.6 | |
4 | 首都高速道路 | 3,575 | 10.0 | |
5 | 阪神高速道路 | 1,963 | 5.5 | |
6 | 東京湾横断道路 | 57 | 0.2 |