TRAVEL
目次
グラフは旅行業界の業界規模(対象企業の17計)の推移をグラフで表したものです。
旅行業界の規模の推移を見ることでその市場の大まかな現状や動向を把握することができます。
2020年-2021年の旅行業界の業界規模(主要対象企業17社の売上高の合計)は1兆3,290億円となっています。
旅行業界の過去6年間の業界規模の推移
旅行業界の過去の推移を見ますと、2015年から2019年までほぼ横ばい、2020年には大幅に減少しています。
観光庁の発表によると、2020年の訪日外国人旅行客数は前年比87.1%減の411万人でした。前年に比べ2,777万人の減少で、大幅減となっています。
訪日外国人旅行者数の推移(出所:日本政府観光局、グラフは業界動向サーチが作成)
2020年は新型コロナウイルスの世界的な流行に伴う、各国の渡航制限の影響により、訪日外国人客数は大幅に減少しています。これに伴い、訪日外国人旅行者や日本人の海外旅行者数も大幅に減少し、旅行業界は甚大な被害を受けました。
2019年までに好調に増加していたインバウンド需要は、事実上蒸発しました。現在も各国の渡航制限は本格的に緩和されておらず、今後の見通しは立っていません。当面は外国人旅行者の消費は期待できない状況が続きます。
海外旅行が壊滅状態の中、国内旅行への需要喚起が期待されています。2020年7月からは政府主導による『Go To トラベル』が始動。クーポンによる刺激策で、宿泊代や観光での利用の一部が割引になります。2020年秋を中心に一定の効果は見られましたが、2021年の冬には再びコロナの感染拡大がみられたことから、政策は立ち消えに。今後の導入も不透明な状況が続きます。
2020年の旅行業界の売上高ランキングを見ますと、全社が前年よりも大幅減を記録しています。ランキング上位ではエイチ・アイ・エスが前年比46.8%減、JTBが前年比71.1%減、KNT-CTが前年比77.2%の減少を記録しています。純利益でも各社、大幅赤字を記録しています。
続いて、2020年から2022年の直近の海外旅行者の動向を詳しく見ていきましょう。
下のグラフは訪日外客数の月別の推移を示したものです。日本政府観光局によると、2022年4月の訪日外客数の推計は139,500人で、コロナ前の2020年1月と比較すると94.8%の減少でした。
月別 訪日外国人旅行者数の推移(出所:日本政府観光局、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、訪日外国人旅行者数は新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年2月ごろから大幅に減少し、2020年4月には2,917人を記録。その後、数千~数万人の低水準で推移しています。2020年12月には58,673人と若干の増加が見られましたが、2021年6月には再び1万人を割り込む結果となっています。ちなみに、2021年7月の増加は東京オリンピックによる各国選手・関係者の訪日による増加とみられます。
訪日外国人や日本人の海外旅行者数は2020年4月以降、低水準で推移しており、海外旅行の需要は壊滅状態が続いています。海外では一部の国でロックダウン解除の動きが見られますが、本格的な渡航制限解除の動きはしばらく先になりそうです。
続いて、2020年から2022年の直近の国内旅行者の動向を詳しく見ていきます。
以下のグラフは国内の旅行者数とその消費額の推移を示したものです。日本政府観光局によると、2022年3月の国内旅行者数は1,869万人で、国内旅行の消費額は9,780億円でした。
国内旅行者数と旅行消費額の推移(出所:日本政府観光局、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、新型コロナウイルス感染拡大が始まった2月ごろから大幅に減少し、その後上昇傾向に。2021年7月には政府の『Go To トラベル』キャンペーンも奏功し、2020年8月から11月には高水準で推移しています。
2021年1月には再びコロナ感染拡大による「緊急事態宣言」が発令し、減少に転じましたが、2021年3月には感染に落ち着きが見られ、再び増加に転じています。2021年10月から12月は2020年の『Go To トラベル』を超える消費額が見られました。グラフのとおり、国内旅行は海外旅行に比べて回復の戻りが早く、コロナ収束後の需要の拡大が期待されます。また、政府による「Go To トラベル」も国内旅行の需要喚起には一定の効果があることがグラフから読み取れます。
国内大手旅行会社のエイチ・アイ・エスによると、2022年には2019年の水準まで回復することを「想定シナリオ」としています。また、国際航空運送協会(IATA)によると、2021年の世界の航空需要がコロナ前の2019年の半分になるとの見通しを発表しています。コロナの状況により、シナリオは大きく崩れる可能性はありますが、業界では国内旅行から回復が始まり、数年かけて海外旅行へと需要が回復してゆくというイメージを持っているようです。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア | 単位:億円 |
1 | エイチ・アイ・エス | 4,302 | 32.4 | |
2 | JTB | 3,721 | 28.0 | |
3 | クラブツーリズム ※ | 1,508 | 11.3 | |
4 | KNT-CTホールディングス | 878 | 6.6 | |
5 | JR東海ツアーズ ※ | 815 | 6.1 | |
6 | 日本航空 ※ | 555 | 4.2 | |
7 | リクルートHD ※ | 538 | 4.0 | |
8 | ANA HD ※ | 394 | 3.0 | |
9 | 日本旅行 | 237 | 1.8 | |
10 | 東武鉄道 ※ | 124 | 0.9 |