ビジネスホテル業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2022-2023年。ビジネスホテル業界の過去の業界規模の推移をはじめ、国内ビジネスホテルの宿泊者数と稼働率の推移、コロナの影響と売上高ランキング、ワーケーションや長期滞在など今後に向けた各社の取り組みなどをご紹介しています。
業界規模
0.5兆円
成長率
9.7%
利益率
28.6%
平均年収
520万円
ビジネスホテル業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2020年、2021年と大きく落ち込みましたが、2022年には回復しています。
下のグラフは、国内のビジネスホテルの宿泊者数と稼働率の推移を示しています。観光庁の「宿泊旅行統計調査の速報値」(2023年2月公表)によると、2022年の国内ビジネスホテル宿泊者数は前年比34.5%増の2億2,255万人、稼働率は同28.2%増の56.8%でした。
国内ビジネスホテルの宿泊者数と稼働率の推移(出所:観光庁、グラフは業界動向サーチが作成)
グラフを見ますと、2011年から2019年は右肩上がりに増加し、なかでも2019年の宿泊者数は大幅増を記録しました。一方、2020年は宿泊者数・稼働率ともに前年から約4割減、2021年も横ばいと過去10年間で2年連続の低水準を記録しました。2022年は宿泊者数・稼働率がともに大幅増に転じ、コロナ前である2019年の比較すると約8割の水準まで回復しています。
2022年-2023年のビジネスホテル業界の動向をみますと、3年ぶりの行動制限のないゴールデンウィークや夏休みを迎え、コロナ禍からの回復が見られた年でした。渡航制限の緩和によりインバウンド需要が回復し、国内では旅行支援も加わったことで、宿泊者数、稼働率、客単価ともに前年を上回りました。また、感染患者の受入による一棟貸しが想定よりも長引いたことも業績に寄与しました。
2022年10月には国内向けの「全国旅行支援」や、訪日外国人の受け入れも始まり、2022年1月から9月まで40~50%台で推移していた稼働率も、10月以降は60%を突破しています。2023年の10月と12月は訪日外客数が2019年水準を越えました。今後インバウンドのさらなる需要が期待されています。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | |
1 | アパグループ | 1,382 | |
2 | ルートインジャパン | 1,216 | |
3 | 東横イン | 807 | |
4 | 共立メンテナンス ※ | 576 | |
5 | スーパーホテル | 409 |
※共立メンテナンスはドーミーイン事業の売上高。2022年のビジネスホテル業界の売上高ランキングを見ますと、首位がアパグループ、2位がルートインジャパン、3位が東横インと続きます。トップのアパグループは、FCなどを含めるとホテル数は719棟、10万室を突破(2023年2月現在)しており、圧倒的なホテル数を誇ります。
ルートインジャパンは全国で「ルートイン」を展開、ホテル数は2023年1月現在331棟を有しています。東横インは2023年3月末現在でホテル数は335施設、2020年には7万室を突破していてます。
近年のビジネスホテルは、海外旅行者の取り込みで規模を拡大してきました。一方、2020年以降はコロナ禍の影響でインバウンド需要は蒸発、テレワークの普及で出張需要も減少するなどビジネスホテルの利用が低迷しました。各社は『長期滞在プラン』を打ち出すなど、新たな需要獲得に向けた様々な取り組みを始めました。
ドーミーインを展開する共立メンテナンスは2021年3月22より、新しいワークスタイルプランとして『WORK PLACE DORMY』を開始しています。同プランは共立メンテナンスの「ドーミーイン」「リゾートホテル」「社員寮」の3つの施設をオフィスとして活用することができます。
共立メンテナンス提供の新たなワークスタイルプラン「ドーミーインの都市型ワーケーション」
とくに、ドーミーインでは全国88施設のビジネスホテルで『都市型ワーケーション』プランを展開中です。4泊以上や最大730泊など全4つのプランで、無料のランドリーや大浴場、冷蔵庫付きルームなどのサービス提供しています。また、今後も顧客満足度の向上に向けた大規模リニューアルや、第三の柱として「高齢者住宅事業」を育成しています。
藤田観光においても、全国21施設が利用可能な30泊限定のサブスクリプションサービスを期間限定で展開しました。また、コロナ禍ではビジネスホテル事業の依存が高いことが課題となり、「椿山荘」や2023年に開業した「箱根ホテル小涌園」の事業強化を図っています。
アパグループにおいてはコロナ禍でも攻めの戦略で、新規オープンやFCを拡大してきました。2023年12月には大江戸温泉アセットマネジメントを買収、2027年3月末には15万室を目指すほか、海外事業では米国でのコーストホテルの拡大を掲げています。
2020年から2022年前半はコロナ禍の影響が大きく、ビジネスホテルの稼働率は低調でした。一方、2022年10月以降は国内外の旅行需要が増加傾向にあります。円安の影響もあり海外から多くの渡航者が訪れ始めており、ビジネスホテル需要のさらなる回復が期待されています。
ビジネスホテル業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでビジネスホテル市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | アパグループ | 1,382 | ||
2 | ルートインジャパン | 1,216 | ||
3 | 東横イン | 807 | ||
4 | 共立メンテナンス ※ | 576 | ||
5 | スーパーホテル | 409 | ||
6 | グリーンズ ※ | 299 | ||
7 | 藤田観光 ※ | 205 | ||
8 | ワシントンホテル | 175 | ||
9 | エイチ・アイ・エス ※ | 89 | ||
10 | ABホテル | 87 |
※共立メンテナンスはドーミーイン事業、グリーンズはチョイスホテル事業、藤田観光はWHG事業、エイチ・アイ・エスはホテル事業の売上高です。シェアとはビジネスホテル業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでビジネスホテル市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれビジネスホテル業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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アパグループ、ルートインジャパン、東横イン、共立メンテナンス、スーパーホテル、グリーンズ、藤田観光、ワシントンホテル、エイチ・アイ・エス、ABホテル、リソルHD、ポラリス・HD、メタプラネットの計13社
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ビジネスホテル 売上高ランキング(2022-23)
企業名 | 売上高 | ||
1 | アパグループ | 1,382 | |
2 | ルートインジャパン | 1,216 | |
3 | 東横イン | 807 | |
4 | 共立メンテナンス | 576 | |
5 | スーパーホテル | 409 |