マンション業界の動向や現状、ランキング&シェアなどを分析しています。データは2021-2022年。マンション業界の過去の業界規模の推移をはじめ、マンションの取引件数と価格指数の推移グラフ、最新のマンション価格の状況、各社の取り組みなどを解説しています。
業界規模
2.9兆円
成長率
-0.3%
利益率
7.9%
平均年収
854万円
マンション業界の過去の業界規模の推移を見ますと、2019年までは増加傾向にありましたが、2020年から2021年にかけて緩やかな減少傾向にあります。
国土交通省の調査(2023年3月31日公表)によると、2022年のマンション取引件数は前年比4.0%増の203,985件、マンション価格指数は前年比8.9%増の187.8でした。
マンションの取引件数と価格指数の推移(出所:国土交通省、グラフは業界動向サーチが作成)
マンションの取引件数と価格の推移グラフを見ますと、2020年は取引件数で減少となりましたが、2021年と2022年は2年連続で取引件数・価格ともに増加しています。過去10年の推移では取引件数・価格ともに上昇傾向にあります。
2021-2022年のマンション業界は、巣ごもりや在宅勤務の浸透による旺盛な住み替え需要が業界の業績を押し上げました。ここに、低金利・円安による海外の投資マネーも加わり、首都圏のマンションは需要が超過、価格は大幅に上昇しました。
不動産経済研究所の調査によると、2023年4月の首都圏の平均マンション価格は前年同月比23.1%増の7,747万円でした。これはバブル期の1990年の6,214万円を大きく超える水準となっています。
マンション価格上昇の要因の一つに、大手ディベロッパーの存在も挙げられます。以前のマンション業界は、新規参入や規模の小さなディベロッパーが競合していましたが、こうした会社は淘汰されました。最近では、三井や野村、三菱など大手ディベロッパーが高いシェアを占めており、価格調整をしながらマンションを市場に供給しています。以前にくらべて、マンション価格が下がりにくい環境にあります。
近年では、ホテルやオフィスビルとの競合のため、都市部を中心に用地取得が難しくなっています。マンションの供給が絞られていることがバブル的状況を作り出しており、マンション価格の上昇に歯止めがかかりません。空前の超低金利といわれローンが組みやすくなっていますが、需要に対して契約率が振るわない状況にあります。
さらに最近では、海外の不動産価格の上昇が日本の不動産価格にも影響を及ぼしています。インフレ傾向にある欧米や不動産価格が高騰している中国に比べて、日本のマンション価格は割安に映ります。外国人投資家が首都圏のマンション価格を引き上げているのも一つの要因と言えるでしょう。
※はマンション関連の部門売上高。2021-2022年のマンション業界売上高ランキングを見ますと、首位が三井不動産、2位が三菱地所、大和ハウス、野村不動産、住友不動産と続きます。
2021-2022年はマンション供給会社大手5社中3社が増加、2社が減少となり、業績に明暗が分かれる1年となりました。
近年のマンション業界は都心での用地獲得が難しくなっています。そのため、用地獲得が比較的容易な埼玉や神奈川、千葉県で販売を強化しており、そのエリアは徐々に郊外へと広がっています。
昨今は人件費や資材費、地価の高騰で首都圏のマンション価格は下がりにくい状況で、大手デベロッパーの寡占化も進んでいます。供給過剰による値崩れが起きにくい中、需要は旺盛なため、マンション価格の高騰に歯止めがかかりません。
こうした動向を見据えて、大手ディベロッパーは新築マンションから中古マンションに軸足を移しています。消費者も新築マンション価格の高騰から、比較的値段の安い中古を検討する層が増えており、「マンション=新築」という従来のトレンドが変わり始めています。
こうした消費マインドの変化に伴い、住友不動産は東京都心の高級中古マンションを専門に扱う仲介店の展開を強化。新宿や麻布、日本橋、品川など人気エリアに開設。三井不動産も中古マンションの仲介に注力し、グループ間の連携を強化して顧客の囲い込みをはかります。
さらに近年では、高騰するマンションに見切りをつけて、消費者が戸建住宅へとシフトする動きも見られます。テレワークの影響で、「もう一部屋欲しい」というニーズや住環境を重視する流れも戸建住宅の追い風となっています。今後もマンション価格は高値圏で推移すると見られ、しばらくは厳しい状況が続きそうです。
マンション業界の売上高ランキング&シェアをはじめ、純利益、利益率、総資産、従業員数、勤続年数、平均年収などをランキング形式でまとめました。各種ランキングを比較することでマンション市場のシェアや現状、動向を知ることができます。
順位 | 企業名 | 売上高(億円) | シェア | |
1 | 三井不動産 ※ | 6,438 | ||
2 | 三菱地所 ※ | 3,794 | ||
3 | 大和ハウス工業 ※ | 3,730 | ||
4 | 野村不動産HD ※ | 3,082 | ||
5 | 住友不動産 ※ | 2,336 | ||
6 | 東急不動産HD ※ | 1,399 | ||
7 | 東京建物 ※ | 1,205 | ||
8 | タカラレーベン ※ | 1,091 | ||
9 | プレサンスコーポレーション | 997 | ||
10 | 積水ハウス ※ | 906 |
※三井不動産は分譲事業、三菱地所は住宅事業、大和ハウス工業はマンション事業、野村不動産HDは住宅事業、住友不動産は不動産販売事業、東急不動産HDは住宅分譲事業、東京建物は住宅事業、タカラレーベンは不動産販売事業、積水ハウスはマンション事業の売上高です。シェアとはマンション業界全体に対する各企業の売上高が占める割合です。シェアを比較することでマンション市場における各企業の占有率を知ることができます。矢印は対前年比の増減を表しています。下記のランキングをクリックするとそれぞれマンション業界の詳細ランキングページにジャンプします。
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三井不動産、三菱地所、大和ハウス工業、野村不動産HD、住友不動産、プレサンスコーポレーション、東急不動産HD、タカラレーベン、東京建物、飯田グループHD、積水ハウス、穴吹興産、エスリード、フージャースHD、明和地所、新日本建設、コスモスイニシア、ゴールドクレストの計18社
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